【詳細】映画『おいしい給食 Road to イカメシ』市原隼人 インタビュー

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2024-05-23 17:00:00
時は80年代。給食をこよなく愛する中学教師、甘利田幸男。その飽くなき給食道を描き続けてきた食ドラの金字塔「おいしい給食」。23年10月期にシリーズ第3弾ドラマ「おいしい給食 season3」放送。ドラマ3シーズン、劇場用映画2本と作品を重ねるごとに熱烈なファンを増やし続けた話題沸騰中の食ドラが、再びスクリーンに帰ってくる。函館に舞台を移し、時代も遂に平成に突入。映画『おいしい給食 Road to イカメシ』が5月24日(金)に公開される。

天上天下唯我独尊・ブレない男、甘利田幸男を演じるのは、言わずと知れた主演・市原隼人。甘利田が教育係を務める女教師に大原優乃。甘利田を完膚なきまでに打ちのめす食のライバル生徒を演じるのは田澤泰粋。他に栄信、いとうまい子、六平直政、高畑淳子、小堺一機らお馴染みのレギュラー陣が勢揃いするほか、新たに石黒賢が参戦!泣いて笑って、おなかがすいて、老若男女が楽しめる、極上の給食スペクタクルコメディがここに誕生!!

今回、本作で【甘利田幸男】を演じた市原隼人を直撃!! 続編の制作が決まった時の気持ちや、函館ロケの思い出、「笑わせるよりも笑われたかった」という学芸会の練習のシーン、町長役の石黒賢やヒロイン 大原優乃とのシーンを演じた感想のほか、市原自身が今「無我夢中」になっていることについても熱く語ってくれた!

滑稽な姿を見せながらも、好きなものを好きと胸を張って言える甘利田先生の姿から「人生ってもっと楽しんでいいんだ」と勇気をもらえること間違いなし!
Q.ドラマ版3シリーズ、映画2本と、作品を重ねるごとにファンを増やし続けています。第3弾「おいしい給食 Road to イカメシ」が5月24日に公開します。舞台を函館に移しましたが、ドラマ版の放送中、視聴者からの反響をどのように受け止めていましたか?

市原隼人(以下、市原):どこへ行っても「おいしい給食見てます」と声をかけていただきます。タクシーに乗ると運転士さんから「おいしい給食の!」、定食を食べていると店主から「おいしい給食の!」、お寿司屋さんの大将からも「おいしい給食の!」と。こんなにもいろんな方に認知していただけるようになって、嬉しい限りです。もう夢のようです。

毎回「やりきった、もう2度とできないかも」と思いながら創り上げました。コンセプトは変わらず、お子様が観ても目を背けさせないように、人生のキャリアを積まれたご年配の方が観てもしっかり楽しめるように、王道のエンターテイメントを創りたいという想いがあります。唯一無二の世界観の中に、社会派でもあり、人生の糧となるようなセリフ、核心を突くようなセリフもたくさん溢れているんです。原作のないオリジナル作品ですので、現場の制作陣、技術、演出スタッフ、俳優が一丸となって、様々なものを生み出す可能性に満ち溢れています。こういった作品は意外と少なくて。気が付いたら第3弾を作ることとなり、続編を熱望してくださったお客様のお気持ちの賜物ですので、恩返しをする想いで、制作にかかわったすべての人間が奮い立ちました。とてつもなくパンチのきいた、すごく面白い第3弾ができました。
Q.吹雪のシーンやきれいな海など、函館らしい風景も登場します。函館ロケの思い出や、函館のよかったところについて教えてください。

市原:これまで僕らの主戦場は摂氏40度を超える夏でした。今回初めて実際の地名が出てきて、冬が舞台になったんです。台本の冒頭で「私は極端に寒がりだった」というモノローグから始まるのですが、それを見た瞬間、「これは面白くなるに決まっている」と感じました。実際も、すごく寒かったです(笑)。教室の中にストーブがあり、ストーブの真後ろにライバルの生徒が座っているなど、函館という場所が「おいしい給食」の新たな面をたくさん引き出しています。豊かな食の産地で、日本の宝である北海道で撮影させていただけたからこそ、その要素がふんだんに入っています。

Q.続編の制作が決まった時の率直な感想を教えてください。

市原:「今度こそやりきれるのか?」という気持ちが押し寄せました。精神的な面でも、体力的な面でものとてもハードな作品ですので。まず甘利田はたくさん動かなくてはいけないので体重を10kg落としてから、しっかり身体を作ってから現場に入らないといけなくて。尺の関係で全部は使われていないですが、給食を食べているシーンは長回しで何度も撮っています。分量もそうですが、完全にキャパを超えてしまって、今回は給食を食べながら意識が飛びました。給食を前に高揚して踊っている姿や、食べているところは、全部自分で動きを考えていきます。ナレーションとも合わせないといけないので、ある程度シーンを構築して現場に入らないといけないんです。

今回も台本をいただいてすぐに読めませんでした。役に向き合うプレッシャーや、やりきれるかなとか、腹を決めるのに時間がかかったのですが、お客様に求めていただけるのは役者冥利に尽きますので、続編を求めて下さった皆さまに楽しんでいただきたいという力強い想いで現場に立っていました。
Q.椅子から転げ落ちるシーンが印象的ですが、市原さんのアドリブですか?

市原:全部アドリブです。痛かったです。日々傷の絶えない現場でした(笑)

Q.ダンスの動きもアドリブなのでしょうか?

市原:その回ごとの物語に合わせた動きにしていまして。今回は北海道の踊りであるソーラン節をオマージュさせていただきました。一つ一つ意味があるんです。ほかの役では一切見せない動きを、全部「おいしい給食」に詰め込んでいます。いろんなアドリブをたくさん詰め込んでいますので、そこも楽しんでいただきたいです。

Q.シーズン2、シーズン3と進んでいくにつれて、綾部監督からおまかせされる機会も増えましたか?

市原:アドリブに関しては、シーズン1から変わりません。綾部監督にお願いして「オリジナル作品だからその環境をフルに活用したい、可能性を潰さないでいただきたい、カットしてもいいので挑戦させてください」と提案してから始まりました。気が付いたら毎回キャパオーバーになって。もうこれで終わりだと思いながら続いています。
Q.先生役を長く演じてきて、意識が変化した部分はありますか?

市原:シリーズを重ねていくことで、甘利田をどう進化させていくかを考えました。ですが、行きついた答えが「変わらないことが甘利田なんだ」と。一見ちょっと変わって見える甘利田を演じる意義というものは、進化するというよりも、変わらずにあり続けることが大事なのかな、と。

Q.ドラマ版と同じキャストの方々が勢ぞろいしています。映画の撮影中のエピソードで、思い出に残っていることはありますか?

市原:子どもたちの笑顔が本当に大好きでした。緩急のある現場で。シリアスなシーンでは息をするのも忘れるほど芝居としっかり向き合っているのですが、カットがかかれば笑顔があふれます。モニターの前にペンギンのようにわーっと群がって、みんなすごく楽しそうにしている姿が愛おしくて。一緒に撮影できているのが嬉しかったですし、同時に子どもたちの貴重な思春期の2ヶ月をともにさせていただくわけですから、精一杯意義のあるものにしようと奮い立っていました。終わったら達成感と別れる寂しさでみんな泣いていて、僕も同じ思いで涙を流しました。
Q.学芸会の劇「ホワイトマン」は、裁判官や弁護士、しょうゆ屋など生徒がいろいろな役割を演じていて、まさに全員が主役の劇だと思いました。甘利田先生が生徒にお手本を見せるシーンもありますが、演じていていかがでしたか?

市原:とにかく本気になろうと。「始めるまでちょっと時間ください」とお願いして。思い切りやるしかない、と感じていましたので。今できるすべてを尽くしました。笑わせるよりも笑われたかったんです。滑稽でも、笑われても、好きなものを好きと胸を張って言える勇気を持つ甘利田先生の背中を見ていただき、皆様の人生の活力にしていただきたいです。チャップリンの名言「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」を象徴しています。甘利田として給食に振り回されていたい、という思いで演じました。
Q.映画とドラマ版でどのような違いがあると感じていますか?

市原:ドラマでは描き切れない物語性、人間臭さがより映画では描かれています。今回のテーマは「全員が主役」。お客様も含めて主役なんです。ドラマでは見せることができないそれぞれの登場人物の思いを感じられます。ドラマはある程度時間が決まっていて、ここに給食が出てきて、ここで新たな事件が起きて、という流れになっているのですが、映画ではそれを何倍も凌駕するような群像劇といいますか人間臭さとすべての流れをくつがえす様なハプニングがあります、ぜひ劇場でお楽しみいただきたいです。

Q.「場所が変わる」「ヒロインが変わる」という面では映画『男はつらいよ』シリーズに通じるものがありますよね。

市原:演じるうえで寅さんを意識しているわけではないのですが、いろんなものに感化されている作品です。日本人が愛してきた作品のオマージュがたくさんあります。
Q.大原優乃さん演じる比留川 愛は、これまでのヒロインとは違って「甘利田先生を近くで見ていたい」とアタックしてきます。作中でも恋愛要素が多めに描かれていますが、演じていていかがでしたか?

市原:比留川先生は一歩前に踏み出せない、勇気を持てない人を象徴するキャラクター。勇気を出して一歩踏み出すのは怖い部分があると思います。今の環境に慣れて、新たな環境に飛び込むことをやめてしまうこともあるのですが、比留川先生の姿を観て、勇気を持つきっかけになっていただけたらと思います。おいしい給食ならではのラブシーンで、こんなにも試写室で爆笑したのは役者人生初めてだと思うくらい(笑)。僕も演じていながらもドキッとするようなシーンになりまして。胸を締め付けられるような、顔を手で覆って、指の隙間から見てしまうようなシーンなのですが、しっかり裏切らない結末を迎えるので楽しみにしてください。
Q.映画に新たに、町長役として石黒賢さんが出演されています。共演されていかがでしたか?

市原:甘利田が対立する大きな軸が等々力町長。対立する人間ですら、その人なりの正義があって、人は一面では測り知れない面があるんだなと改めて感じられる人物です。「給食をどう食べるのが正解なのか?」がテーマなのですが、なにかものを提示するにもマナーが必要で、いただく人にもマナーが必要で、押し付けになってはいけないなと感じました。それぞれが相手のことを思いやる気持ちが大事なのだな、と。どんな関係性でも100%相手の気持ちを理解することはできないと思います。ですので、相手のことを理解しようと思う最初の1%を持ち、そこからこつこつ積み上げていくことが大切なんだと改めて感じました。
Q.忍川中学校の校訓は「無我夢中」ですが、市原さんご自身が今「無我夢中」になっていることについて教えてください。

市原:芝居しかないです。何度も嫌いになって、また好きになってを繰り返して、腐れ縁のような感覚です。普段人が見られないような景色をたくさん見させていただいて、その中でたくさん学ばせていただいている。生涯未完成、日々通過点としていつか一世一代の芝居をしてみたいと夢みてます。

Q.SGSは10代から20代の女の子に向けたサイトです。中高生の読者も多いですが、読者に向けて見どころを教えてください。

市原:滑稽な姿を見せながらも、笑われても、好きなものを好きと胸を張って、人生を謳歌する勇気を持つ甘利田先生をご覧いただき「人生ってもっと楽しんでいいんだ」とぜひ思っていただきたいです。舞台は1989年、日本の古き良き心、令和の時代になって忘れかけているものを思い出させてくれます。笑いがたえないとても面白い作品になっていますので、ぜひ映画館でお楽しみください!

ありがとうございました。

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[プロフィール]
市原隼人
1987年生まれ。神奈川県出身。
2001年に映画「リリイ・シュシュのすべて」で映画主演デビュー。2003年「偶然にも最悪な少年」で日本アカデミー賞新人賞受賞。主な作品にドラマ『おいしい給食』シリーズ、ドラマ『ウォーターボーイズ2』(04年)、映画『チェケラッチョ!!』(06年)、ドラマ『ROOKIES』(08年)、映画『神様のパズル』(08年)、ドラマ『猿ロック』(09年)、映画『極道大戦争』(15年)、ドラマ『不機嫌な果実』(16年)、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』(17年)、映画『ブルーハーツが聴こえる~人にやさしく~』(17年)、ドラマ『リバース』(17年)、映画『サムライせんせい』(18年)、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22年)、ドラマ『正直不動産』(22年)、映画『レッドシューズ』(23年)などに出演。24年は、ドラマ『正直不動産2』や、舞台『中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~』などに出演。近年は写真家としても活動。6月~は主演作品WOWOW『ダブルチートseason2』の放送が始まる。

ストーリー

霊長類最強の給食愛。
給食道を極めんとする者たちの、うまそげバトルロイヤル、いざ開幕!!

1989年、冬。中学教師・甘利田幸男は、北の地に降り立った。隠し持った真の目的はアレを味わう事。だが赴任から一年以上経つもアレが献立に登場する事は無い。相変わらず給食のために学校へ行き、食のライバル粒来ケンと毎日密かにしのぎを削っている。一方、新米教師の比留川愛は甘利田に憧れを抱き、近くにいたいと願っていた。ある日、忍川中学が給食完食のモデル校に選定される。忍川町では町長選挙を前にして、政治利用に使われようとしていたのだ!不穏な空気を察知した甘利田は、おいしい給食を守るために立ち上がる!そんな中、アレとの頂上決戦の幕が上がろうとしていた。

予告


映画概要


【おいしい給食 Road to イカメシ】
2024年5月24日(金)公開
監督:綾部真弥
出演:市原隼人
大原優乃 田澤泰粋 栄信
石黒賢 いとうまい子 六平直政 高畑淳子 小堺一機
主題歌:「君の花~3rd session~」(AMG MUSIC)
制作プロダクション:メディアンド
企画・配給:AMGエンタテインメント
配給協力:REGENTS
製作:「おいしい給食」製作委員会

公式サイト:映画『おいしい給食 Road to イカメシ』
公式X:@oishikyushoku
公式Instagram: @oishi.kyushoku

©2024「おいしい給食」製作委員会

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