【詳細】舞台『お勢、断行』福本莉子 インタビュー

2017年の『お勢登場』に続く世田谷パブリックシアター×倉持裕のタッグで、2020年2~3月に上演を予定していた『お勢、断行』。開幕の2日前、新型コロナウイルス感染症の拡散防止のためツアー公演含め全公演をやむなく中止した。今回、2年の時を経て、待望の上演が決定!

『お勢登場』では、江戸川乱歩によるケレン味あふれた8本の短編を、卓越した構成力で見事舞台化し好評を得た劇作家/演出家・倉持裕。今回は、極彩色に広がる乱歩の迷宮世界を踏襲しながらも、稀代の悪女・お勢という魅力的なキャラクターをモチーフに、善悪せめぎ合う全く新たな謀略の物語を立ち上げる。

本公演独自の世界観を構築するにあたり、大きな要素となる音楽を担当するのは、椎名林檎を始め多くのミュージシャンの作品に参加し、多彩な活動を続ける斎藤ネコ。「大正末期から昭和初期の時代が持つ、狂騒的で混沌とした雰囲気を出してくださると思います」と、倉持も大きな期待を寄せる。

出演者にも魅力的なキャストがそろった。自らも悪事に染まりながら、企みを巡らす人間たちに正義の鉄槌を下さんとする主人公・お勢には、あどけない表情と凛とした佇まいの対照的な魅力が光る倉科カナ。倉持作品には本作が二度目の登場だ。第8回東宝シンデレラグランプリで、映画「思い、思われ、ふり、ふられ」での柔らかな透明感と確かな演技力が印象的な福本莉子は、倉持とは本作が初顔合わせ。物語の中心となる謀略の被害者・資産家の娘で、おっとりとしたお嬢様らしい外見ながら、その奥に秘めた強い意志を感じさせる役どころを演じる。

また、これまでも倉持作品に出演してきた江口のりこ、池谷のぶえ、堀井新太、粕谷吉洋、千葉雅子、大空ゆうひ、正名僕蔵、梶原善と、強力な布陣でお届けする。

目まぐるしく展開する人間模様の中、正義と悪の暴力について、時にユーモアを、時に背筋が凍るような恐ろしさを交えつつ、倉持独自の感性で紡がれる新たなストーリーのもと、個性豊かでチャーミングな俳優たちが、乱歩的迷宮を駆け巡る新作現代演劇だ。

今回、本作で資産家 松成千代吉の娘・晶(あきら)を演じた【福本莉子】を直撃!お勢役の倉科カナとの共演秘話や、晶と自分自身とで似ている部分、稽古の合間の息抜きにやっていること、映像では感じられない舞台ならではの体験について、たっぷりと語ってくれた!
Q.普段映画やドラマで活躍されていますが、本作への出演が決まった時、どのようなお気持ちでしたか?

福本莉子(以下、福本):このお仕事が決まる前に倉持裕さんの舞台を観に行って、すごくファンになってずっと「出たい」と思っていました。今回、念願の倉持作品に参加できてすごく嬉しかったです。

Q.台本を読んでどのような感想を持ちましたか?

福本:初めて読んだ時は「少し難しいな」と思ったのですが、稽古初日に本読みがあって、実際にキャストの方々が演じている姿を見たり、声を聞いたりして「こういうお話なんだ」と自分の中で繋がりました。台本を読んでいた時には思いもしなかったところで笑いが起きて「この舞台、すごく面白い」と思いました。江戸川乱歩原案で、ちょっとダークな印象ですが、笑えるところは笑えるし、私と同世代の方々にもぜひ観ていただきたいです。

Q.稽古をされている最中かと思いますが、倉持さんの演出はいかがですか?

福本: この作品は2年前に、今回とほとんど同じキャストの方々で稽古をして、劇場でゲネプロまでやって、1度完成形に近いところまでたどり着いていました(※新型コロナウイルス感染拡大予防のため、全公演中止)。そんな中、私はこの作品に初参加で、そのカンパニーにゼロから入るというのは、すごくプレッシャーがありました。ですが、その中で倉持さんが「わからないことがあったら気軽に何でも聞いてね。晶はすごく難しい役だよね」と言ってくださいました。人によって態度を変えたり、場合によって思っていないことを言ったりすることも、時にはあると思います。本音ではこう思っているけど、建前として違うことを言うとか。そういった思いが入り乱れている作品で、晶も純粋無垢でピュアな役ではあるけど、晶も晶で心の中で思っていることがあるんですよ。「本音みたいなものを考えすぎてしまうと混乱するから、とりあえず晶は台本に書いてあることを純粋に捉えてやってみようか」と倉持さんがおっしゃって。今それを実践しているところです。

Q.今回演じる晶とご自身とで、共感する部分や似ているところはありましたか?

福本:晶は父親のことがすごく好きで、仲が良いんです。私も実際、父とは割と仲が良いほうで。父は大阪に住んでいるのですが、東京に来る時は連絡をくれて、2人で買い物や食事に行きます。晶と父親との関係性と割と近いので、理解できるところではあります。

Q.役作りで工夫したのはどういった部分でしょうか?

福本:大正時代末期が作品の舞台で、今と違って言葉がお嬢さま風なので「そういう言葉遣いに慣れていかないとな」と思います。所作なども「可愛らしく見えたらいいな」と思っています。

Q.今回の衣裳は着物ですか?

福本:晶はワンピースで可愛らしい感じです。デザイナーさんが、時代考証的に無理のない範囲で遊び心を加えてデザインしてくださっています。

Q.もともと歴史ものはお好きだったのですか?

福本:「大正ロマン」と言われている時代の建築物は素敵ですよね。和洋折衷な感じがかっこいいと思います。時代物の作品はお仕事でやるとなると読みますが、普段はあまり読む機会がないんです。独特の世界観なので、こういう時にどっぷり江戸川乱歩の世界観に浸れるのは楽しいですね。今回、斎藤ネコさんが、ちょっと不穏な空気だけどかっこいい音楽を作ってくださっています。

Q.台本を拝見したところ、無言のシーンなど、黙っている時間が多い印象を受けました。表情や間の取り方など、台詞なしでの表現はどのように工夫されていますか?

福本:ストレートプレイは全て台詞なので、その中で緩急というか、メリハリをつけるのはすごく技術が必要だなと思いながら稽古をしています。約2時間の公演で、観客を飽きさせない見せ方みたいなものが、キャストの方々のお芝居を見ていて勉強になりますし「これから研究していけたらな」と思っています。

Q.お勢役の倉科カナさんとの場面が多いですが、共演してみてどのような印象を受けましたか?

福本:倉科さんは、稽古中の課題を書かれているのかわかりませんが、毎日すごくメモを取られています。倉科さんのお勢は特に台詞量が多いし、長台詞もあります。今の言葉ではなく、昔の言葉、私たちの聞きなれない言葉で長台詞を言うので「お客さんにそれを届けるのはすごく難しいだろうな」と思います。お勢とお芝居をしていると、倉科さんの役に対する姿勢のかっこよさがすごく伝わってきます。

Q.「稀代の悪女」という設定ですが、お勢の人物像についてどう思いますか?

福本:つかみどころがないですよね。本当はどう思っているのかが見えない。でも晶はお勢のことを慕っているので「お勢と晶の関係性を、稽古をしながら徐々に深められたらな」と思います。

Q.稽古の合間の息抜きになっていることは何ですか?

福本:稽古場にピアノがあって。稽古が始まる前に体感トレーニングをしているのですが、ピアノをこっそり弾いています(笑)。自分の出番がない時にピアノのところへ行って、ちょっと弾いて息抜きをしたり。幼稚園から中学生くらいまでピアノを習っていて。今まで弾いてきた曲の中で、サビの部分など覚えているところを何曲か弾いて、こっそり気分転換しています(笑)。

Q.福本さんと同世代の女の子がこの作品を観るとしたら、見どころはどういった部分でしょうか?

福本:人間の裏表や、「何が善で何が悪なのか」といったことがこの作品のテーマになっています。私はこの仕事を始めてから舞台を観に行くようになったのですが、映像では感じられない体験を劇場ではできます。動画配信サービスなどで、いつでもどこでも映像作品に触れられて、すごく便利な時代だけど、一歩踏み出して劇場に来てもらったら、また新しい体験ができると思います。この作品を観てわからない部分があってもいいと思うし、それでも何か面白かった、ここ印象的だったな、と少しでも思ってもらえたら嬉しいです。気負わず、気軽な気持ちで観に来てもらえたらと思います。

Q.誰と一緒に観てほしい作品ですか?

福本:友達同士で一緒に観に行って、終わった後「ここってどういうことだったんだろう?」と考察しても楽しいだろうし「もう1回観に行こうよ」と同じ友達と観に行ってもいいし、また違う友達を誘ったりしても。もちろん家族とでも。ツアー公演もあり、それぞれの都市、いろいろな劇場でやらせていただくので、ぜひ。お待ちしております!

ありがとうございました。

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[プロフィール]
福本莉子
2000年11月25日、大阪府出身。
沢口靖子、長澤まさみ、上白石萌歌らを輩出した第8回「東宝シンデレラ」オーディションにてグランプリと集英社賞(セブンティーン賞)をW受賞し、『のみとり侍』(18/鶴橋康夫監督)で映画デビューを果たす。その後はドラマや舞台など幅広く活動。その他の主な出演作に、『思い、思われ、ふり、ふられ』(20/三木孝浩監督)、映画単独初主演となった『しあわせのマスカット』(21/吉田秋生監督)、『君が落とした青空』(22/Yuki Saito監督)などがある。ドラマ「消えた初恋」(21/EX)ではヒロインを好演し話題に。「金魚妻」(22/Netflix)、「昭和歌謡ミュージカル また遭う日まで」(22/NHKBS)に出演。2022年5月には『20歳のソウル』(秋山純監督)、7月には映画『今夜、世界からこの恋が消えても』(三木孝浩監督)公開のほか、10月には舞台『アルキメデスの大戦』ヒロイン・尾崎鏡子での出演を控えている。

『お勢、断行』トレーラー



<あらすじ>
大正末期、資産家の松成千代吉の屋敷に身を寄せた女流作家、 お勢(倉科カナ)がいる。
その屋敷には、千代吉の娘(福本莉子)と住み込みの女中(江口のりこ)、そして千代吉と小姑(池谷のぶえ)からの圧力に苦しむ後妻(大空ゆうひ)がいた。
ある日、千代吉に屈辱を受けた代議士(梶原善)は、 後妻と結託し、松成家の財産をすべて奪い去ろうと、千代吉を狂人に仕立て上げる計画を練る。
女中、精神病院の医院長(正名僕蔵)、貧しい電灯工事夫(堀井新太)らを巻き込み、首尾よく進むかに見えたが、第一の殺人がおき、計画は思わぬ惨劇へと突き進むーーー

舞台概要


【お勢、断行】
日程:2022年5月11日(水)~5月24日(火)
会場:世田谷パブリックシアター
原案:江戸川乱歩
作・演出:倉持 裕
音楽:斎藤ネコ
出演:倉科カナ 福本莉子
江口のりこ 池谷のぶえ 堀井新太 粕谷吉洋 千葉雅子
大空ゆうひ 正名僕蔵  梶原 善
上演時間:約2時間(休憩なし)
ロビー開場:開演の45分前
客席会場:開演の30分前
料金:全席指定 S席(1階席・2階席)、A席(3階席)
[一般] S席/S席(注釈付) 7,500円、A席/A席(注釈付) 5,500円
[高校生以下(当日要証明書提示)] S席/S席(注釈付) 3,750円、A席/A席(注釈付) 2,750円
[U24 *] S席 3,750円、A席 2,750円
[友の会会員割引 *] S席 7,000円、A席5,000円
[せたがやアーツカード会員割引 *] S席 7,300円、A席 5,300円

補助席
[一般] 7,000円
[高校生以下(当日要証明書提示)] 3,500円
[U24] 3,500円
* 前売りのみ取扱い
※S席(注釈付)・A席(注釈付)は見切れ席です。舞台の一部が見切れたり、落下防止の手すりが視界に入る可能性がございます。
※補助席は、背もたれあり、肘掛なし、座面クッションは薄いものになります。
※補助席の友の会会員・せたがやアーツカード会員割引はございません。
※未就学のお子様はご入場いただけません。
※開演後は本来のお席にご案内できない場合がございます。ご了承ください。
※1申込につき1公演1席種4枚まで

チケット取扱い:世田谷パブリックシアターチケットセンター
03-5432-1515(10:00~19:00)
世田谷パブリックシアター オンラインチケット、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、カンフェティ 

<ツアー情報>
[兵庫公演]
日程:5月28日(土)12:00/17:00、5月29日(日)12:00
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

[愛知公演]
日程:6月4日(土)18:00、6月5日(日)13:00
会場:春日井市民会館

[長野公演]
日程:6月12日(日)13:00
会場:まつもと市民芸術館 主ホール

[福岡公演]
日程:6月16日(木)19:00
会場:福岡市民会館 大ホール

[島根公演]
日程:6月19日(日)14:00
会場:島根県民会館 大ホール

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