【詳細】映画『ハナレイ・ベイ』佐野玲於インタビュー

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2018-10-17 20:03:00
2018年10月19日(金)に全国公開される、映画『ハナレイ・ベイ』で、カウアイ島にあるハナレイ・ベイでサーフィン中に命を落とす息子・タカシを演じた佐野玲於。

原作は、世界に名作・話題作を発信し続ける作家、村上春樹の珠玉の短編作品「ハナレイ・ベイ」。サーフィンに明け暮れる思春期の息子タカシ(佐野玲於)と、シングルマザーで彼を育ててきた母親サチ(吉田羊)の姿を描いた、<人生で一番大切な人>に会いたくなる、感動の物語だ。

近年は俳優としても頭角を現す佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)。佐野のタカシ役への抜擢は、監督が「彼はタカシが持っていなくてはならないものを持っている。この人ならタカシを演じられる」と確信してのものだった。佐野自身も、脚本を読み「(タカシが)自分でしかないから、怖かった」と話すほど、自分と重なる面が多かったという。劇中での吉田と佐野の姿は、まさに母と息子。2人の間を流れる空気感があまりにもナチュラルで、映画を観た人は思わず、サチとタカシに、自身の親や子供の姿を投影して観てしまうのではないだろうか。

そんな、本作で俳優として新たな顔をみせた佐野に、自身とタカシの共通点、初サーフィンで感じたこと、帰りたくなくなってしまうほど美しかったというカウアイ島での撮影秘話、さらには、ついつい集めてしまうファッションアイテムについてなど、本作の見所とともに、佐野玲於の魅力的な素顔をお届け。
Q.まず、2016年に「HiGH&LOW THE LIVE」を見に行った時に、監督が「すごく輝いている」と佐野さんのことが気になり、その後初めて会った時「彼はタカシが持っていなくてはならないものを持っている。この人ならタカシを演じられる」と確信し、オファーされたとお聞きしました。佐野さんご自身、このような経緯でオファーされていかがでしたか?

佐野玲於(以下:佐野):「いやぁ、びっくりしました。それとともに、嬉しかったですね。ライブに足を運んでいただいて、そこには沢山の出演者がいたのにもかかわらず、自分に演じてもらいたいって思ってくださったことは凄く有難いです」

Q.村上春樹さんの原作を読まれましたか?

佐野:「はい。読みました。今まで、村上春樹さんの作品を沢山読んできたわけではなかったんですけど、でも、村上春樹さんの存在はもちろん存じ上げていたので、最初「おぉ~!!」って嬉しく思いました。やっぱりファンも多い方ですし、海外でも活躍されている素晴らしい方が書かれた作品の実写映画に関わることができて、凄くいい経験になりましたし、有難かったです」

Q.原作を読んで、タカシを演じる上で参考にした部分もあったのでしょうか?

佐野:「一回目は読み込まず、結構さらっと読ませていただいて。その後に松永監督が仮で書いた台本をいただいて読んだんです。その時、もちろん原作の世界観へのリスペクトがありながらも、どちらかというと、松永監督が描く世界観を大事にしなきゃなって思ったんです。それを根底においた上で、タカシってどんな人間なんだろうって考えるようにして、演じた感じですね」
Q.結構タカシに関する情報量が少ないように見受けられたんですが、そのあたり結構想像を膨らませながら役にあたっていた感じだったんでしょうか。

佐野:「いえ、意外とそんなこともなくて。タカシの人生って、自分の人生みたいだなって思ったんです。タカシにとってのハワイとサーフィンが、自分にとってはダンスだった、ただそれだけで。タカシと同じような人生を自分も歩んでいるんですよね。親に対しての態度とか、家庭環境とか、好きなものとか、凄く自分と近い。近いというかほぼ一緒だなって思ったくらい。なので、タカシ=自分みたいな気持ちで、自然に演じられました」

Q.では、過去の佐野さんの姿が、少しタカシに投影されているような感じ?

佐野:「そうですね。というかもう自分でしかないから、怖かったですね。撮影が終わって、出来上がった映像を観た時に、「うわっ俺じゃん」って思ったくらい。でも、それが結果、よかったというか。だから、自然にタカシでいれたのかなって思いますね」

Q.吉田羊さんと対峙した時、すぐにお母さんっぽい雰囲気を羊さんから感じられたんですか?

佐野:「そうですね。羊さんは、完全に母親でしたね。「この人母親だなぁ」って思いました。いい意味で、遠慮なく自分もいさせてもらえて、羊さんも遠慮なく自分の親でいてくれて。

あと、余計なことを考えないようにしました。ただただ自分は、この作品で、吉田羊さんのサチがいて、自分という息子がいるということでしかなかったので、自分はただ息子でいることだけを考えました。こんな風にしようとか色々考えずに、自然体で息子としていることを大事に」
Q.素の自分に近い自然体で演じられたんですね。では、映画というフィルターを通してますけど、ファンの方に素の自分の一面を見られるってどんな感じなんですか?

佐野:「別にあまり気にならないです(笑)自分がどう見られるかというより、この映画をより多くの人に届けることが自分の役割かなと思っているので。この映画に参加できたことは、自分にとって凄く大きな経験となっていますし、自分という入口を通してこの映画を若い方にも観てもらったり、より沢山の方に届けばいいなと。人によっては重く考えさせられる映画になって、人によっては希望の映画になっていけばいいんじゃないかなって思ってます」

Q.本作は、母親と息子の物語ですが、佐野さんにとって母親はどんな存在ですか?

佐野:「自分にとっては、一人しかいない家族なので、どんな存在か改めて聞かれたら、なんて言っていいかわからないですけど、やっぱり大事な存在じゃないですか。家族はどうしたって、家族ですし。自分がこういう風になれたのも親のおかげですし。だから、一番大事な存在になるんですかね」
Q.サーファーのタカシを演じられましたが、サーフィンの経験がなかったそうで、演じるにあたってどれくらい練習されたんですか?

佐野:「具体的にどれくらいの期間というより、朝仕事前とか、行ける時に海に行って練習しましたね。サーフィンって、自然を相手にするスポーツなので本当に難しくて。凄いスポーツだなって思いました」

Q.やはり、立ち上がるのが一番難しかったですか?

佐野:「それはもう凄く難しいですよ。僕もいきなり、このショートボードで練習させてもらって。とにかく、そのボードで海に出る練習を凄くしました」

Q.今後、ちょっとプライベートでもやってみようかなと思いますか?

佐野:「たまにはやってみたいですね。ただ怪我ができないので、怪我しない程度にしか多分できないと思います。でも、サーフィンをやってみて、海に出るっていいなって、凄く思いました」

Q.ロケ地の海が凄く綺麗ですよね。

佐野:「綺麗ですよね。カウアイ島……500万年前に誕生した島ですよ。凄いですよね」
Q.実際、カウアイ島で撮影をされたということで、行ってみていかがでしたか?

佐野:「山とか海とか自然が本当に凄かったんですけど、カウアイ島で過ごしていると、東京は無駄が多いなって、ストレスや、時間に追われてる所だなって思いました。もちろん東京は、世界から見ても凄いですし、時代の先を行ってる国だなって思っているんですけど、カウアイ島みたいなところに行っちゃうと、本当に一気に何の欲も無くなって、何もいらないって思えちゃうんです。

人の流れとか、流れてる時間とか、環境とか、街並みもあると思うんですけど、そこに完全に自分は溶け込んでしまった感がありました。本当に無駄なものが多いな人間って、みたいな(笑)」

Q.仕事とはいえ、佐野さんご自身、カウアイ島で心が安らいだんですね。

佐野:「そうですね。オアフとも全然違って。

オアフは、観光地というか、バカンスを楽しむ島の印象だったんですけど、カウアイは神秘っていうか。天国なんじゃないかって思うくらい自然が素晴らしくて。

街も、道の駅みたいな街が一個しかないくらい。しかも街って言えるのかなっていうくらい小っちゃいんですよ。もうポケモンで言ったら、マサラタウンみたいなところ(笑)」

一同:「(笑)」

佐野:「オアフがナントカシティなら、カウアイはマサラタウンです(笑)本当に、なんもない。でも、それが凄く良くて。人口6万7千人しかいないんですよ、カウアイ島」
Q.そんな浄化されるような時間の中で、ご自身と向き合うような時間もあったのでしょうか?何か芽生えた感情とか。

佐野:「自分は切羽詰ってたんだなぁって。一回ハワイに行って、肩の荷が降りて、やっと一呼吸できた時間だったかもしれないです」

Q.じゃあ、また行きたいなって思うような場所でもあるんですかね?

佐野:「行きたいですね。行ったらダメになっちゃいそうです(笑)」

一同:「(笑)」

Q.ちなみに佐野さんは、ご出身どちらですか?

佐野:「ほとんど東京です。愛知で生まれて、愛知に住んでたことも数年間ありましたけど、東京の方が多いです」

Q.そんなシティボーイでも、東京を離れてハワイにいくとそういう気持ちになるんですね。

佐野:「全然思いますよ。自分の中で重要な時期を田舎で過ごしたんですよ。確か4、5歳くらいから8歳くらいまでおばあちゃん家に住んでて、愛知県のど田舎で過ごしたんです。

だから、都会でガンガンシティボーイ感もあるように生きてますけど、心は多分そういう感じじゃないのかもなぁって。凄く田舎が好きなんですよね」

Q.撮影で行きつつもそういった良い時間を過ごされてよかったですね。

佐野:「そうですね」
Q.そんな美しい自然の中で吉田さんがセリフもなく、ただひたすら歩いている姿は心にグッときました。佐野さんは吉田さんの演技で印象に残っているシーンはありますか?

佐野:「むき出しの羊さんみたいな。見たことない感じで。

あと、手形に手を重ねるところとか。あそこの感情の高ぶりには、やっぱり、どこか愛を感じますし、初めて丸裸になった感じが印象的で。劇中で、そこが一個物語の波になっているというか、自分の中では、凄く印象に残ってますね」
Q.サーファーを演じられたということで、オーバーサイズのパーカーやオレンジのキャップを被っていたり、劇中ではスポーティーなファッションをされていますが、佐野さんご自身は、普段どのようなファッションがお好きですか?ファッションのこだわりなど教えてください!

佐野:「その日のムードで、自分は着るものが変わります」

Q.系統にはこだわらない?

佐野:「幅広く好きです。でも古着が多いですね」

Q.では、最近買われたものでお気に入りのアイテムは?

佐野:「Tシャツは年中、冬でも買ってますね。古着のTシャツとかも買いますし。ずっと五年前くらいから古着のTシャツにハマっていて」

Q.見つけるとついつい買って集めてしまう?

佐野:「そうですね。好きなアーティスのTシャツとか、映画のTシャツとか、アニメや漫画のTシャツとか。グラフィックが好きで集めちゃいます」
Q.最後に本作の見所と、読者にメッセージをお願いします。

佐野:「以前、羊さんが、息子を亡くされたファンの方から手紙をもらったみたいなことを言っていたんですよね。「そういう人がいるっていうのを忘れないでください」って、そんな風に書いてあったと。実際に羊さんからそのお話を聞いて、やっぱりそういう人っているんだよなって、それを知った上でこの映画が世の中に届いていった時、そういう人たちが観てくださった時に、どんな風に映るのかなって。

客観的にこの作品を観た時に、自分みたいな息子を持ってる独り親の人っていっぱいいるんじゃないのかなって思って。それこそ羊さん演じるサチみたいに19歳の息子を亡くしてしまった親もいっぱいいると思ったので、そんな人にとっては、希望を持てる作品になるんじゃないかな。サチみたいに時間が10年間止まっている人がいたとしたら、背中を押してくれるような。

きっと、自分世代の子が観ても、何かを感じてくれるような映画になってると思います。親って、時にうっとうしいじゃないですか。僕も親をうっとうしいなって思うこともありますけど...でも、切り捨てられないですし、親にとっても、息子や娘は絶対に大事な存在で。この映画を、自分世代の人が観た時、そういう肉親だからこその繋がりの強さみたいなものを、感じられるのかなって思いますし、それを感じてもらうことがこの映画の目指すところなのかなって思いますね」
[プロフィール]
佐野玲於
1996年1月8日生まれ
東京都出身
「GENERATIONS from EXILE TRIBE」パフォーマー。また、近年は精力的に俳優としても活動の幅を広げ、人気コミックの実写映画化『虹色デイズ』(18)では待望の初主演を果たした。その他の主な出演作はTVドラマ「シュガーレス」(12/NTV)、「隠蔽捜査」(14/TBS)、「GTO」(14/CX)、映画『HiGH & LOW THE MOVIE』シリーズ(16、17)などがある。



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<ストーリー>
それは突然の知らせだった。 ピアノバーのオーナーでシングルマザーのサチは、息子タカシが、ハワイのカウアイ島にあるハナレイ・ベイで亡くなったことを電話で知る。サーフィン中の事故で、大きな鮫に襲われて死んだという。サチはハナレイ・ベイに向かい、もの言わぬ息子と対面を果たした。息子の遺骨と共に日本へ帰ろうとした矢先、彼女はふと足をとめ、息子が命をおとしたハナレイ・ベイへと向かう。サチはチェアを持って海岸に行き、本を読んで時間を過ごした。時折、じっと海を見つめながら。毎年、この「行為」は続いた。タカシの命日の時期にハナレイ・ベイを訪れ、数週間過ごすのだ。同じ場所にチェアを置き、10年間。だが、彼女は決して海には近づかない。ある時、偶然出会った、2人の若い日本人サーファー。まだ世間知らずな彼らに息子の姿をダブらせるサチ。そんな時、2人から〝ある話〟を耳にする。
「赤いサーフボードを持った“右脚のない日本人サーファー”がいる」と…

これは、<人生で一番大切な人>に会いたくなる、希望の物語。

映画概要


【ハナレイ・ベイ】
10月19日(金) 全国ロードショー
原作:「ハナレイ・ベイ」(新潮文庫刊『東京奇譚集』)村上春樹著
脚本・監督・編集:松永大司
音楽:半野喜弘
出演:吉田羊、佐野玲於、村上虹郎、佐藤魁、栗原類

[HP] 映画『ハナレイ・ベイ』

©2018 『ハナレイ・ベイ』製作委員会

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