【詳細】映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 広瀬すずインタビュー

Interviews 映画
2017-08-21 20:29:00
原作・岩井俊二×脚本・大根仁×総監督・新房昭之×アニメーションスタジオ「シャフト」が最強タッグを組み、イマジネーション豊かな世界を紡ぎ出す、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。声の出演は、話題作への出演が相次ぐ広瀬すず、声優初挑戦となる菅田将暉が務め、同世代のなかでも圧倒的な人気・実力を誇る二人のほか、声優界のトップランナー・宮野真守と、ジャンルの垣根を越えた豪華キャストが集結したことでも話題沸騰中!

そんな話題作でクラスのマドンナ的存在・なずなを演じ、声の出演は今回が2度目となる、広瀬すずに、注目の歌唱シーンについて、気になるアフレコ現場や菅田将暉、宮野真守とのエピソードについて、作品・広瀬すずの魅力を余すことなくインタビュー!
Q.アニメーション映画への声の出演は、『バケモノの子』に続いて2度目ということですが、今回オファーをされ脚本を読んでどんな感想をお持ちになりましたか?

広瀬すず(以降:広瀬):「今回の映画の脚本を書かれているのが大根さんで、会話のリズムだったり、掛け合いの話している内容だったりが実写の映画っぽいなと思いました。前回、声のお仕事をした《バケモノの子》は、割と現実逃避できるようなファンタジーの世界へと、台本を読んだだけで入っていけるような作品でしたが、今回はそれよりも、普段自分でやらせて頂いている実写の映画と良い意味で、あまり大きな違いを感じなかったので、一気に気が楽になりました。」

Q.影があったり、小悪魔的な要素があったり、分からないからこそ男の子たちはなずなちゃんに惹かれるのかなと思うんですが、広瀬さん自身はなずなちゃんはどんな子だと思って演じられましたか?

広瀬:「色っぽい。でも、背伸びをしなくちゃいけない瞬間が、生活していく中で自然とたくさんあった子なんだろうなって思います。だから、普段から典道君よりも3〜4歳くらい歳上の感覚なんだろうな、って思ったり。でも、お母さんに連れ戻されちゃう場面や、自転車に乗って逃げるところなどで不意に出る、瞬間瞬間に少女らしさが垣間見えて、そこが可愛らしいというか。あっ、なずなも普通の中学生なんだなって感じさせてくれました。

だから普段はしっとり喋るように意識してましたが、瞬間瞬間で、突っ張っているというか裏声にはならないくらいのパーンとしたハリのある声を出すことで、観る人に“なずな”も中学生なんだな、って少女感を感じて欲しいなと思って演じました。」

Q.なずなの持つ色っぽさも、声の出し方や発声の仕方を変えて表現した感じだったんですか?

広瀬:「そうですね。ゆったりと喋るように。プールのシーンもそうですが、トーンが落ち着いていたりとか息が混じっていたりとか、中学生らしくなくて逆にいいかなって思って、やっていました」

Q.演じる上で苦労したシーンやセリフなどは?

広瀬:「連れ戻されるシーンとかは、絵もなんとなくペンで描いてあるだけだったので、タイミングとかは指示されてましたが、どうやればいいか分らず戸惑いました。でも、監督に自由にどうぞっておっしゃってくださったので、私自身の感覚で、お母さん役の方とのやりとりがない状態でも、なずなの声だけで何とかやり抜くことができました。

絵に合わせて、同じ動作を入れると声の出方って変わるじゃないですか。手を振った時にバって出る息と声と弱さみたいなものが、やっぱり、動かないと出せなかったり。声のお仕事では、走りながらとかはあったけど、割と動作が混じってのお芝居というのが初めてだったので、タイミングだったりがやっぱり難しいなって思いました。」
Q.そういう面では、普段の演技との違いというか、難しいところもあったんですね。

広瀬:「アニメーションは、表情だったり、動作だったり、動き方だったりとか、新房さんやいろんな方の力が混ざって“なずな”が出来上がっていくので、自分の知らない“なずな”がそこにいたり。声のお仕事では誰かと対面して、体を触れ合わせて、ということがないので、そういう面でやっぱり、難しいなって思います。」

Q.迷ったところとかを宮野さんにアドバイスをもらったりは?

広瀬:「宮野さんとは、初日でしか一緒じゃなくって、なのでそんなに収録でもお会いしていないので、具体的なアドバイスをいただいたとかはなかったです。でも、確か一番最初に撮ったのがプールのシーンで、そこから入ることができたので、一気になずなの世界観となずなから見えているもの、距離感などをつかむことができて、私、菅田さん、宮野さんの3人が揃ってできたっていうのは、凄く大きかったです。宮野さんが居てくれるだけで心強くて、入る前のドキドキが一瞬にして解けたり、宮野さんの存在に助けていただいたな、って強く感じます。」

Q.菅田さんとのアフレコ現場はどんな雰囲気でしたか?

広瀬:「一緒に録ったシーンもあったんですが、セリフ以外はあまり会話する時間もなくて、差し入れを凄い沢山いただいて、本当に美味しい物だらけだったので、それを2人で黙々と食べるっていう(笑)。

喋った内容も食べに行こうって言われたことくらいしか覚えてなくって(笑)。あと少し関西弁の話しをしたりとか。本当に1日〜2日位しか一緒でなかったので、会話という会話があまりできなかったです。」

Q.菅田さんへの印象は?

広瀬:「天才肌というのは昔から思っていて、テレビで観ても凄いな、って思っていたんですが、やっぱりこの人って本当に凄い人なんだなって今回改めて思いました。

声のお仕事が初めてで全然わからないっておっしゃっていたのに、なんでも来い!みたいな姿勢で。構えて、受けて、出す力、そのどれもがこんな人初めて見たかもしれない、ってくらい強いというか。それができる人って難しいことなので、中々いないと思うんです。あんなに堂々とマイクの前でお芝居している姿を見て、私も置いていかれない様に頑張らなくちゃっ!、て思わせてもらえて凄く刺激的でした。」
Q.なずなが歌うシーンでは、広瀬さんの歌声が美声でとても印象に残っているのですが、実際歌われていかがでしたか?

広瀬:「あれは一人で収録したんですが、本当にどうしましょうって感じでした。でも、なずながお母さんが歌っていたのを聴いて、なんとなくうる覚えじゃないですが歌っているっていう軽さがあったから、まだ気が楽でした。完コピまではしないでなんとなく単純に歌ってみて、楽しくなって気持ちよくなって、一気にそこでファンタジーの世界に入るっていう。

アフレコ時は初号の段階で、映像を観ながら歌っていたわけではなかったので、出来上がった映像を観て、こんな風にファンタジーの世界が広がっていたんだなって知りました。想像の中に、どんどんなずなの人間像みたいなものが広がっていって、素敵なシーンになったと心に残っています。」

Q.お気に入り、印象に残っているシーンは?

広瀬:「台本を読んで早くやりたいなって思ったのはプールのシーンで、出来上がった映像を観てから良いなって思ったのは電車の中とか、電車から降りて石をポンポンポンって渡るシーンとか、結構好きです。」

Q.吐息とか色っぽいシーンがありますが、それは監督にアドバイスをもらったりしたんですか?

広瀬:「監督はこういう風にしてくださいっていうのがほとんどなくて、大丈夫かなって思うくらいでした(笑)。でも、吐息はいくつかバリエーションは録りました。なずなはそこまで多くなく、たぶん典道君の方が多いと思いますが、5パターン位、録りました。ちょっと長めだったり、どこか笑って聞こえる息だったり、基本色っぽい喋り方が多かったです。」

Q.お気に入りだったけど使われなかったものはありましたか?

広瀬:「意外と全部使われていて、やり直して何回も何回もやるっていうのが本当になくって。1〜2回でOK!ってことが多かったです。前回の《バケモノの子》の時の収録ではキャストの方が全員一緒に収録したので、全員に見られているって状態が、かなり恥ずかしくて。

でも、今回は、現場にいらっしゃっていた、キャストも、スタッフさんも割と少なくて、だからやれるだけやろうと思って、結構色々もっとこうした方がいいですかね?って、自分から監督に積極的に聞いたりもできたので、割と意見が合致してから収録することができました。後々に、あそこはもっとこうしてれば良かったかな、って思うこともなく、録ることができました。」

Q.そういう意味では、広瀬さんが思うなずなと、広瀬さん自身が近い部分があったんですかね?

広瀬:「ありますね、多分。性格的な部分が似ているというより、共感できる部分が多々あって。意外となずなの行動だったり、何を思っているかとか、典道君たちは分からないとと思うけど、私はそれが分かるなって感じられるところが多かったです。」

Q.監督や大根さんは“なずなちゃんのことがわからないからいい”とおっしゃっていましたが、広瀬さんはなずなの色んな行動の理由もなんとなく分かる感じだったんですか?

広瀬:「多分それは、男性と女性で全く違ってくると思うんですが、男性は探っても探っても一生分からないんじゃないかなって思います。年頃というか、中学生くらいの女の子の気持ちってなんとなく複雑じゃないですか。特にこういう環境にいる子ならなおさら。それで、勝手に大人になっちゃっている部分とか、何をしても自分の今の力じゃ変えられないことも分かっているし、子供だってことも分かっている、年齢が追いついていないことだということも。

だけどなずなは、その中でどこか余裕を持たなくちゃって。

だから、自分に対してのものと、外に出すものが真逆だったりと、私も割とそういうタイプで。焦っていても顔に出さないし、出せないし、言わないし、言えないし・・・。

だけどそれも、たぶん客観的に自分のことを観れているから自分自身を分かっているんだろうなって思えるし。反射的に気になることに対して指摘するところとか、例えば駅で話している時にちょっと強めに「それは心中でしょ」っていうシーンとか、なんか気になったんだろなって思うし、私もなんとなく理解できるんです。」

Q.なずなが理解できていたのは、広瀬さんだけだったんですかね?

広瀬:「いやー男性が多い現場ですからね(笑)でも掴めない、雲の上にいるような存在っていうなずな像みたいなものは、逆に男性にしかつくれないんだろうなって思います」

Q.憧れのヒロイン感がありますもんね

広瀬:「そうですね。ヒロインって感じだけど、近寄ってきたらいつか、嫌でもオトされそうなその強さがあるというか、男気があるというか(笑)。その魅力は多分、男性じゃないとつくれないんだろうなって思います」

Q.映像が出来上がっていない状態でのアフレコだったということですが、そういう面では女優さんとしては演じやすい環境だったんですか?

広瀬:「間とか、全部自分に合わせてもらえたので、私は演技しやすかったですね。だけど、新房さんは絵を描くとき大変だったんじゃないかなって思います。《バケモノの子》の時は割と尺も決まっていたので、そこにセリフを合わせるっていうのが本当に難しかったんですが、今回は凄く自由にやらせてもらいました。」
Q.また声のお仕事はやってみたいですか?

広瀬:「《バケモノの子》の時、本当に楽しくって、また絶対にやりたい!って思っていたので、今回お話をいただいた時は、もうガッツポーズだったんです!私も含め周りのキャラクターも人間だったから余計にガッツポーズで(笑)

前作では、私は同世代の女の子役でしたが、私以外ほぼバケモノだったので、本当に難しくて、アニメーションだからできるものだけど、人間じゃなかったらどうしようって恐怖感もだんだん出てきて(笑)

でも、やってみたいなってやっぱり思うし、アニメーションのお仕事は世界が広がるし、もっともっと色んな役所をやってみたいと思っています。声だけで今は全力を出しているので、男の子とか、人間以外とかはまだ難しとは思いますが。それこそ、《バケモノの子》の時の、宮崎あおいさんの少年だったり、役所広司さんのバケモノだったりと本当に声だけで「あっ、少年だ」って、「あっ、バケモノだ」って聞こえてくるから、凄いなって今でも尊敬してしまうほどです。

私もいずれ、男の子だったりと挑戦してみたい憧れはあります。でもそこで必要となってくる技術だったり、そこに追いつくための高い壁はまだまだ高いです(笑)」

Q.もし、好きな時に戻ってやり直せるとしたら、いつのどんな瞬間に戻りたいですか?(もしくは、悩んでいて、決めきれずに決めてしまったことなど)

広瀬:「この仕事を始めたこと(笑)。一番最初は、断りきれなかったっていうのが大きかったんです。今まで全部自分の道を自分で決めたことがなくて、それが多分、運が強いっていうことでもあるけど、悪いことでもあるし。バスケをやっていたんですけど、バスケを始めたのも人数合わせで勝手に入れられていて、断れなくて、8年も続けていたっていうのがあって。高校も、東京だねって事務所の方に言われて、自分の中では葛藤が結構あったのですが、誰にも言えず、東京に来て、仕事も断りきれず、始めちゃって。大学も行く準備ができないまま卒業しちゃってって感じだったので、自分で決めたことがないんです。なので、まずはバスケのところからやり直したい、自分で決めたいなって思います(笑)いまだに小さいことでもいう勇気がないというか、流れに流されながらすべて身を任せている感じで、それで多分自分が経験できないものも経験できる機会が増えたんですけど、でもこのままでいいのかなって思うこともあって。だからどこかで自分で決められる力がないと、ずっとなんか川に流されていく感じでどうなるんだろうって未知だなって思うので、まずはバスケ。バスケも正直全然やりたくなかったので、小2からやり直したいですね(笑)」

Q.花火やプール、海といった夏を象徴する風景が多く登場する作品ですが、広瀬さんは今年の夏にやりたいことはありますか?

広瀬:「浴衣を着たいです!できれば浴衣を着てお祭りに行きたいですが、実はそんなに人混みが得意ではなかったりして、人が多いところで堂々と歩けなくて、友達を守らなきゃって思考に入っちゃうんです(笑)。

だから、身内とかだけでも、浴衣を着てホームパーティーみたいなもので、夏の雰囲気だけでも味わえたらいいなって思います」
Q.これから映画を観る方に特にココに注目してほしい、シーンやセリフを教えてください。

広瀬:「作品のチラシとかを見ると割と綺麗だなって印象が強いですが、映像で動きのある絵のタッチがその綺麗だなって印象の上を超えるどこかマニアックな雰囲気がプラスされているので、アニメファンの方達が観ても十分楽しめそうな独特なファンタジー感を堪能してもらいたいです。

それと、アニメーションだけど、例えば、典道君たちが学校へ登校するシーンなどで、本当にスタッフさんが何人か実際に歩いた映像をベースに、絵を描いているので、よりリアルな動きが表現されてアニメであるのに現実味もあって。

そういった細かなところとか、美しい色合い、ファンタジー感が強めなところなど、アニメーションだからこその芸術のような美しさは大きなスクリーンで観るとより鮮明に心に刻まれると思います。大人の方も絶対楽しめるし、今までにないアニメーション映画に仕上がっているなと思うので、これはぜひ劇場で観て共感してもらいたいです。」

Q.最後に、10代の女の子に特に注目してほしい本作の見所や読者の皆さんへメッセージをお願いします。

広瀬:「今の高校生でも、女の子の方が感性が大人だから、重なる部分があると思います。なずなの女の子ならではの複雑な心情の中で、自分の力でこうしようとか、誰かが助けてくれたりとか、そういった部分がよりリアルな距離感で観れるんじゃないかなって思います。一つ一つの行動に対して、もしかしたら共感できる部分もあるかもしれません。

もっとこうしたいのに、ああしたいのにって思うのに、年齢が追い付かないって言うのが私自身も以前、結構大きかったんですが、それはなずなも同じなんだろうなって・・・。だから、なずなの自分の力で何かをしようっていう行動力には凄く尊敬したので、そういった心が観ている人にも芽生えてくれたらいいなって、思います。」

映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」予告3

<ストーリー>
夏休み、とある海辺の町。花火大会をまえに、「打ち上げ花火は横からみたら丸いのか?平べったいのか?」で盛り上がるクラスメイト。そんななか、典道が想いを寄せるなずなは母親の再婚が決まり転校することになった。「かけおち、しよ」

なずなは典道を誘い、町から逃げ出そうとするのだが、母親に連れ戻されてしまう。それを見ているだけで助けられなかった典道。「もしも、あのとき俺が…」

なずなを救えなかった典道は、もどかしさからなずなが海で拾った不思議な玉を投げつける。すると、いつのまにか、連れ戻される前まで時間が巻き戻されていた…。

何度も繰り返される一日の果てに、なずなと典道がたどり着く運命は?

[プロフィール]


広瀬すず
1998年6月19日生まれ
静岡県出身
2012年、雑誌「Seventeen」の“ミスセブンティーン”に選ばれ、専属モデルに。「幽かな彼女」(13年/CX)で女優デビュー。『海街diary』(15)で、第39回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか数々の賞を受賞。主な出演作に『ちはやふる-上の句・下の句-』(16)、『四月は君の嘘』(16)、『怒り』(16)、『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(17)、『三度目の殺人』(17)、『先生!』(17)など。アニメーション映画への声の出演は、『バケモノの子』(15)に続いて2度目。


映画概要


【打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?】
8月18日(金) 全国東宝系にて超大型ロードショー!
声の出演:広瀬すず、菅田将暉、宮野真守/松たか子
原作:岩井俊二
脚本:大根仁
総監督:新房昭之 
企画・プロデュース:川村元気
監督:武内宣之
キャラクターデザイン:渡辺明夫
音楽:神前暁 
主題歌:「打上花火」DAOKO×米津玄師(TOY’S FACTORY)

[HP] 映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

[Twitter] @uchiage_movie

©2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会

この記事の関連キーワード

映画

以下のハッシュタグを付けてツイッターに投稿すると、その投稿内容が自動で抽出されこちらのページに表示されるようになります。

Comment - 1

らーふか rafuka9/3
ナズナが歌うシーンがあるのですが、とても綺麗な歌声で驚きました!広瀬すずさんは歌手にも向いているかも知れませんね!映画の内容もとても良くて感動しました!

Tweet - 0

Tweet Loading

Related News

News Categories

News Search

Coming Up