【詳細】映画『アナログ』幾田りら&内澤崇仁 Wインタビュー

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2023-10-05 17:00:00
ビートたけしによる原作小説を、主演に日本を代表する実力派俳優・二宮和也、ヒロインに話題作への出演が続く波瑠を迎え映像化する映画『アナログ』が、10月6日(金)全国公開。二宮和也演じる主人公の悟と、波瑠演じる携帯を持たない謎めいた女性・みゆき。喫茶店で出会ったふたりが交わした、たったひとつの大切な約束。「毎週木曜日に、この場所で会いましょう」。携帯電話で気軽に連絡が取れる現代に、あえて連絡先を交換せずに、週に一度だけ“会うこと”を大切にしてゆっくりと関係を紡いでいく…。

2人の恋愛を通じて描かれ、コロナ禍を経た今だからこそ実感する“会うこと”の大切さ。いつの時代も変わらない愛の原点=〈大切な人にただ会える喜び〉を描いた、この秋一番の感動作。

今回、本作のインスパイアソング「With」を書き下ろした【幾田りら】と、劇伴及び「With」のプロデュースを担当した【内澤崇仁】を直撃!シンガーソングライター“幾田りら”として、そして“小説を音楽にするユニット”YOASOBIのボーカルikuraとしても活動する幾田と、4人組バンド「androp」のVocal&Guitarを務める内澤。作詞作曲、編曲の際に意識したことや、お互いの作った音楽を聴いた感想、作品を観ていいなと思ったシーンのほか、自身の愛用しているアナログなものや、ファンの方に言われて嬉しかった言葉、10代のうちにやっておいたほうがいいことについてもたっぷりと語ってくれた!
Q. 作品をご覧になって、どのような印象を受けましたか?

内澤崇仁(以下、内澤):人を愛する素晴らしさや、人と人とのつながりみたいなものを大切にしたいと思いました。

幾田りら(以下、幾田):人と人とが紡ぐ絆や、愛ってなんだろうということをすごく考えさせられました。どういったことが思いやりや愛になっていくんだろう、その過程を考えさせられるような物語でした。

Q. ビートたけしさん原作ということで、クスッと笑えるシーンもたくさん登場します。いいなと思ったシーンについて教えてください。

内澤:アドリブがけっこう多かったと聞いていて。焼き鳥屋さんで悟と男友達2人が集まってワイワイやるシーンは何度観ても笑えました(笑)。わちゃわちゃしている感じが、リアリティがあるというか。長回しで撮っていて、実際に使われたシーンは少しだったそうですが、だからこそ3人のリアルな感じや人間性が凝縮されていて、すごく面白いと思って観ていました。

幾田:悟とみゆきの2人のやり取りの中で、初デートとして悟が食事に誘う時に「新じゃがに似てるって言われたことがあったかな」と言われてみゆきが「たしかに」と言うところも、絶妙な間合いの笑いがすごく面白くて。2人がこれから仲よくなっていきたくて、お互い探り探りな感じが初々しくて好きです。
幾田りら

Q. 「With」は一部のストーリーを切り取るのではなく、出会いから未来につながるような、物語のすべてが凝縮された曲になっています。曲を作る上で意識したことについて教えてください。

幾田:お互いのことを想い合うその気持ちをそのまま描いたというか。悟目線で書いた曲だと思う方も多いかも知れないですが、みゆきからのアンサー的な気持ちも含めた上で、2人の会話のような、お互いがお互いを想い合う、ということを描きたいと思いました。

Q. 「With」の歌詞は、「携帯電話」や「喫茶店」といった具体的な言葉が出てこず、映画と切り離したプロポーズソングとしても成立しています。何か意識されたことはありますか?

幾田:作品の核にある「アナログ」というもの、人と人とのつながり、愛の形というものを、そのまま自分のフィルターを通して曲にした形です。
内澤崇仁

Q. 内澤さんは、幾田さんのインスパイアソングについてどう思いましたか?

内澤:学ぶことがたくさんありました。こういう風に落とし込めばいいのか、とか。映画だけに寄っていないというか。自分のフィルターを通したということで、真実味のある、嘘のない歌詞になっているんだと思いました。

Q. 編曲する際、どんなことを考えてどのようにアレンジしましたか?

内澤:最初のデモの段階ですごく素敵な曲だと思いました。自分は何ができるんだろうとプレッシャーを感じ、難しいなと思いました。今回は劇伴とエンディングテーマ、インスパイアソングを自分が担当することで、一貫性を持たせることができるので、そこに注力して、違和感がないようにしました。

Q. 内澤さんの編曲を聴いて、幾田さんはどのような印象を受けましたか?

幾田:美しいハーモニーと壮大なストリングスのアレンジをしてくださって。自分が書いた言葉に色がついていくような感覚で、本当に感動しました。あまりに感動して、レコーディングの歌を収録する日まで、歌詞を練り直し続けていました。2番のコーラス部分に入ってからのアレンジもすごくダイナミックスがあって。普段だったら照れくさくて書けないような強い歌詞でも、この音楽が背景にあれば大丈夫だと思って書き直した部分もあって。「世界中の誰より一番近くで 君を信じ続けていく」というのは、口で言うと恥ずかしくなってしまうようなストレートな言葉なのですが、内澤さんのアレンジで強く押し出していただいたことによって、言葉だけで立っていられるようになったというか(笑)。本当にそれくらい素敵で壮大な、感情に寄り添うようなアレンジにしてくださって、すごく嬉しかったです。

内澤:ありがたいです!本当に嬉しい。どんなにまっすぐで難しい言葉であろうが、幾田さんが歌うとちゃんと成立する、説得力を持って耳に届くんだ、と感じました。
Q. 楽曲製作について特にこだわった点について教えてください。

内澤:『アナログ』という映画が、素朴でまっすぐな、ピュアなものを描いているので、音楽を付けるにあたって、ドラマチックで過剰にすると、浮いてしまって世界観を壊してしまう。本当に感情に寄り添うような音楽を作る、というところに力を入れました。

悟はギター、みゆきはバイオリンというモチーフを持って、悟のシーンではギターの音色がメインになっている曲がついて、みゆきのシーンはバイオリンがメインのサウンドが付いているんですよ。2人が歩くシーンではバイオリンとギターが混ざっています。

幾田:私はこの映画を観た後、感情が昂るままに、早速ピアノの前に座って、最後のラストシーンを頭に描きながら、どんな音が欲しいかと考えました。その時に、柔らかいものが降ってくるような、すーっと胸に落ちてくる音楽でありたい、最初は言葉がいらないなと思い、ハミングのような歌い出しにしました。

内澤:そういうことだったんだ!すごく聞きたかったんですよね。どうしてそのフレーズが生まれたのか。

幾田:物語を観た後に、ピュアな恋愛なので、新鮮なものにしたくて。言葉ではなく、讃美歌のような出だしにしました。普段はメロディーを先に作ってから歌詞を書くのですが、今回はメロディーと歌詞が同時に降りてきて、これしかない、と思って。
Q. 劇伴を担当するうえで、タカハタ秀太監督とはどのようなお話をされましたか?

内澤:最初は「自由にやってください」と言われたのですが、監督がイメージしている音が強くあったので、監督とお話をする時は全身を耳のようにして(笑)、聴き洩らさないようにしました。監督がちらっと「ここの台詞を聞かせたいんだよね」と言ったところは絶対にメロディーがかぶらないようにしようとか、「ここから始まってほしい」「ここは音楽が必要だ」というところを聞き逃さないようにメモをしながら作っていきました。いろいろと勉強になりました。音楽で装飾しすぎない、説明しすぎない、というところを、すごく大事にして進めていきました。監督はいろいろオマージュを入れていて、キタノブルー的なものを入れていたり、二宮和也さんとビートたけしさんが共演したTVドラマ「赤めだか」を思わせるシーンがあったり、監督のビートたけしさんへのリスペクトの思いを感じながら曲を作りました。
Q. タイトルにちなんで、ご自身の愛用しているアナログなものや、アナログなものの良さについて教えてください。

幾田:高校生の時にフィルムカメラがすごく流行って。そこから「フィルムカメラいいな」と思って、マイカメラを買って、いろいろなところに持って行っています。海外でライブがあった時も持って行って写真を撮っています。現像するまでどう写っているかわからないという楽しみがあります。

内澤:撮れる枚数も限られていますからね。

幾田:色味や温かみがあって、その瞬間を切り取ったというのがフィルムの良さかなと思います。

内澤:僕はギターです。指のピッキングの空気感を大事にしています。古いギターが好きで、1930年~40年代のギターを使って今回の劇伴を作りました。手で弾くからこそ生まれるアナログな温かさは、デジタルにはできないことかなと思います。
Q. SNSなどでご自身の手掛けた楽曲の感想を知ることも多いと思います。ファンの方に言われて嬉しかった言葉や、励みになったことについて教えてください。

内澤:「生きる希望になりました!」くらいのことを言われると、音楽を途中でやめていなくてよかったと思います。つらい瞬間もあったけど、続けていたからこそ、その人に音楽を届けることができた。すごく嬉しいです。

幾田:ライブの前に「あと何日学校や職場で頑張れば、りらちゃんに会える!」と投稿している人を見ると、いろいろ大変なことを乗り越えながら、自分のご褒美に思ってくれているんだ、と感じます。「最高の日にしようね!」と心の中で返事をしながら過ごしています(笑)。

Q. 二宮和也さん演じる悟のような、優しさとヤンチャな部分を兼ね備えた男性についてどう思いましたか?

幾田:少年の心、遊び心を持ったまま大人になっているのがすごく素敵だなと思いました。大人になっても「今日この後どこか行く?」という突発的なことができるのも、ワクワクしていいなと思います。
Q. 波瑠さん演じるみゆきのような、秘密のある女性についてどう思いましたか?

内澤:なかなかいないでしょうね、きっと。ミステリアスさ、携帯電話を持っていないという珍しい状況を、波瑠さんが演じているからこそ違和感なく観ることができると思います。

幾田:携帯を持っていない人ってなかなか出会わないですよね。でもけっこう惹きつけられてしまうかも知れないですね。「どんな人なんだろう?」と自分で探りに行かないと知れない関係。最近はSNSを見て「こういう人なんだ」と事前にわかってしまったりもするので。

内澤:わからないほうが楽しめると思います。
Q. 悟とみゆきは徐々に距離を縮めていき、大切な存在になっていきます。ご自身が今一番大切にしているものや、日々音楽活動をしていくうえで支えになっているものについて教えてください。

幾田:私は自分の心と体が健康でいることです。何万人という人の前でライブをする時に、自分が健康体でないとパワーやエネルギーを持って接することができないので、自分の身の回りの家族や友達、マネージャーさん、音楽活動をさせてくれるチームのみんなとの間柄を、いい関係で保ち続けるというのをけっこう大事にしているかも知れないです。

内澤:素晴らしいですね。僕はライブに来てくれる人や、音楽を聴いてくれる人です。来年15周年なのですが、聴いてくれる人がいなければそこまで長く続かないので、聴いてくれる人は大切です。

Q. SGSは10代から20代までの女の子が読者層なのですが、10代のうちにやっておいたほうがいいことは何だと思いますか?もし10代に戻れたら、やりたいことはありますか?

内澤:おこがましくて何も言えないのですが(笑)、たくさん失敗していいと思います。若いうちだからこそ失敗できると思いますし、怖がらずに失敗をたくさんすることが、今後の人生において役に立つと思います。10代に戻れるとしたら、僕は歌を歌い始めたのが「androp」を始めた頃なので、遅いんですよ。それまでは歌というものにきちんと向き合ってこなかったので、歌の練習をしたいです(笑)。

幾田:ずっと昔から、歌を軸にして生きてきた方だと思っていたので驚きました!

内澤:いやいや、何をおっしゃいますか。ずっとギタリストだったので。フェイク的なものやピッチを正確に速く歌うというのは、難しくてできなくて。10代からやっておけばよかったなと思います。

幾田:私は、中高生時代からきちんと日焼け止めを塗ることです。小学生ぐらいの時は気にせず真っ黒に日焼けしていたので、もう少し気を付ければよかったなと思って(笑)。
Q. 観客には、作品を通してどのようなメッセージを受け取ってほしいですか?

内澤:人を愛することの大切さや素晴らしさ、自分の幸せを信じて生きるということについて改めて考えさせるストーリーだと思いました。作品を観る方が、改めて考えるきっかけになればと思います。

幾田:音楽は聴いて何かを思い出す、という要素があると思います。映画を観て日々の生活に戻った後も、2人の愛し合う姿から、自分の人生で何か変わったな、というきっかけになったり、愛することの大切さや素晴らしさに気付けるきっかけになったりする音楽であれたら嬉しいです。

ありがとうございました。
[幾田りら]
ヘアメイク:YOUCA
スタイリスト:藤本大輔

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[プロフィール]

幾田りら
2000年9月25日生まれ、東京都出身。シンガーソングライター“幾田りら”として、そして“小説を音楽にするユニット”YOASOBIのボーカルikuraとしても活動している。アコースティック・セッション・ユニット“ぷらそにか”にも2021年8月13日まで所属。2021年7月16日に公開となった細田守監督映画『竜とそばかすの姫』では、主人公・すずの親友役で初の声優に挑戦。12月には、ソニーのワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」のCMにも起用された、milet×Aimer×幾田りら「おもかげ (produced by Vaundy)」でコラボ参加。2022年1月には、ABEMAオリジナル恋愛番組『今日、好きになりました。』への書き下ろし楽曲「スパークル」を配信リリースしストリーミング1億回再生を突破するなど、多方面で精力的に活動を続けている。


内澤崇仁
12月6日生まれ、青森県八戸市出身。4人組バンド「androp」のVocal&Guitar。2009年12月に1stアルバム『anew』でデビュー。メジャーデビューから3年で、国立代々木競技場第一体育館で1万人を動員する単独公演を開催。数々の映画やドラマ主題歌、CMソングを手掛ける傍ら、ソロとしては新田真剣佑と北村匠海のW主演映画『サヨナラまでの30分』での音楽プロデューサーや、映画『君は月夜に光り輝く』の劇中音楽、蜷川実花の個展音楽などを担当。柴咲コウ、坂本真綾、Aimer、miwa、上白石萌音、Da-iCE、有華など様々なアーティストへの楽曲提供やプロデュースも行う。2023年8月には通算13枚目のアルバム『gravity』をリリースし、全国8都市を巡るワンマンライブツアーを開催。10月4日には映画『アナログ』オリジナル・サウンドトラックをリリース。

<STORY>

手作り模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの悟。携帯を持たない謎めいた女性、みゆき。
喫茶店「ピアノ」で偶然出会い、連絡先を交換せずに「毎週木曜日に、同じ場所で会う」約束をする。
2人で積み重ねるかけがえのない時間。
悟はみゆきの素性を何も知らぬまま、プロポーズする事を決意。しかし当日、彼女は現れなかった。その翌週も、翌月も…。
なぜみゆきは突然姿を消したのか。彼女が隠していた過去、そして秘められた想いとは。
ふたりだけの“特別な木曜日”は、再び訪れるのか――。

予告映像


映画概要


【映画『アナログ』】
10月6日(金) 全国ロードショー
二宮和也 波瑠
桐谷健太 浜野謙太 / 藤原丈一郎(なにわ男子)
坂井真紀 筒井真理子 宮川大輔 佐津川愛美 
鈴木浩介 板谷由夏 高橋惠子 / リリー・フランキー
監督:タカハタ秀太 
原作:ビートたけし『アナログ』(集英社文庫) 
脚本:港岳彦
音楽:内澤崇仁
インスパイアソング:幾田りら「With」(ソニー・ミュージックエンタテインメント) 
製作:「アナログ」製作委員会
制作プロダクション:アスミック・エース AOI Pro.
配給:東宝 アスミック・エース

公式サイト:映画『アナログ』
公式Twitter:@analog_movie
公式Instagram: @analog_movie

©︎2023「アナログ」製作委員会 ©︎T.N GON Co., Ltd.

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