【詳細】映画『赦し』松浦りょう インタビュー

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2023-03-17 16:00:00
娘を殺された元夫婦と、犯行時に未成年だった加害者の女性。癒やしようのない苦しみに囚われた3人の葛藤を見すえ、魂の救済、赦しという深遠なテーマに真っ向から挑んだ問題作『赦し』 が、2023年3月18日(土)よりユーロスペース、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

7年前に高校生だった娘の恵未をクラスメートに殺害されて以来、酒に依存して現実逃避を重ねてきた樋口克のもとに、裁判所からの通知が届く。懲役20年の刑に服している加害者、福田夏奈に再審の機会が与えられたというのだ。大切なひとり娘の命を奪った夏奈を憎み続けている克は、元妻の澄子とともに法廷に赴く。しかし夏奈の釈放を阻止するために証言台に立つ克と、つらい過去に見切りをつけたい澄子の感情はすれ違っていく。やがて法廷では夏奈の口から彼女が殺人に至ったショッキングな動機が明かされ、澄子は裁判から身を退くが、復讐の殺意に駆られた克はある行動を起こすのだった……。

本作のメガホンを執ったアンシュル・チョウハンは、長編第2作の『コントラ』(19)では、エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭でグランプリ、北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツで第1回大林賞を受賞したインド出身の気鋭監督。国内外で注目度が高まっている監督が、これまでの作風を一変させ、重厚でリアリスティックな語り口を披露した『赦し』は本格的な裁判劇でもある。法廷における裁判官、弁護士、検察官、証人のやりとりを臨場感たっぷりに描出し、スリリングな展開と、登場人物たちが抱く不安、迷い、痛みをシンクロさせた濃密な映像世界から目が離せない。

怒りと憎悪の呪縛に囚われた主人公、克を演じるのは、フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサと組んだ主演作『義足のボクサー GENSAN PUNCH』が記憶に新しい尚玄。元妻の澄子に扮するのは、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した『台風家族』『ひとよ』などで多彩なキャラクターを演じてきた MEGUMI。深い喪失感を共有しながら、対照的なベクトルで裁判の成り行きを見つめる元夫婦の複雑な思いを表現。さらに、澄子の現在の夫を演じるオリエンタルラジオの藤森慎吾、裁判長役を毅然と体現した真矢ミキがドラマに厚みを与える。そして、夏奈役に抜擢された松浦りょうのキャスティングも見逃せない。映画デビュー作「渇き。」など独特の存在感を示してきた新進女優が、本作における最大の発見としてあらゆる観客を驚嘆させるだろう。

今回、本作で福田夏奈を演じた【松浦りょう】を直撃!真矢ミキ、MEGUMI、アンシュル・チョウハン監督との撮影中の思い出や、役作りで徹底した部分、作品を通して伝えたいことのほか、好きなファッションやスイーツ、幸せを感じる瞬間など、気になる素顔が垣間見えるお話も盛りだくさん♪
Q.物語のカギを握る重要な役でしたが、3回のオーディションを経て本作への出演が決まった時、どのようなお気持ちでしたか?

松浦りょう(以下、松浦):もともとアンシュル・チョウハン監督の大ファンだったので、すごく嬉しかったです。オーディションはすごくピリピリした雰囲気で、私1人に対してスタッフさんが10人くらいいて、緊張して全然うまくできなくて。オーディションが終わった後は胃が痛くなってしまうくらい緊張がすごかったです。

Q.ポスタービジュアルの、松浦さん演じる福田夏奈の目線が印象的だと話題になっています。普段はモデルとしても活躍されていますが、周りの方からの反響をどのように受け止めていますか?

松浦:普段の私を知っている方からは「りょうちゃんじゃないみたい」「りょうちゃんだとわからないくらい顔が違う」と言われました。

Q.表情はどうやって作ったのですか?

松浦:このシーンは何度やってもOKが出なくて。監督の中で撮りたいイメージがあったらしくて、何度もやらせていただきました。何度やってもOKが出ないという焦りで、あまり覚えていないんです。この時私は役に入り込んでいて、松浦りょうではなく福田夏奈になっていたので、その場で自分の思った感情で表現していました。
Q.難しい役ですが、撮影に入る前にどのような準備をされましたか?

松浦:殺人を犯してしまった方のインタビュー記事をとにかく読み込みました。また、刑務所の生活をできるだけ再現して、孤独を感じて役を作り上げていきました。

Q.被害者の写真をぼかしたり、遠くから歩いてくる様子を写したり、寝ているシーンと寝ているシーンをつなげたり、カメラワークが独特だと思いました。完成した作品を観て、松浦さんが印象に残っているシーンを教えてください。

松浦:福田夏奈が独房で泣きながら不安に駆られるシーンは、監督から「もっともっと」と言われて。本当に過呼吸になっているんじゃないかと思うくらい息が荒くなりました。今思うと思い出深いのですが、すごく苦しいシーンでした。ですが、完成した映画を観た時にそれがすごく効果的というか、重要なシーンになっていて、やはりアンシュル監督はすごいな、と思いました。

Q.アンシュル監督ならではの演出だと感じたのは、どのような部分でしょうか?

松浦:監督は自分の芯があって、強い意思を感じる方でした。監督の中のイメージから少しでもはずれると、絶対にOKが出なくて。監督のやりたいことが明確だからこそ、演じる側としても迷いなく出来たので、すごくやりやすかったです。
Q.真矢ミキさんやMEGUMIさんなど豪華キャストの方々の演技を見て、勉強になったのはどのような部分でしょうか?

松浦:真矢さん演じる裁判長に判決を下されるシーンでは、裁判長の言葉を聞いているだけでボロボロ泣いてしまいました。ですが、監督に「泣くな!極刑を言い渡された子に見えるから泣いたらダメ」と言われたので、結果的には違うアプローチでお芝居をしました。アンシュル監督は、台本の内容を頭に入れた上で、役作りさえ完璧にしてくれれば台詞を変えてもいい、という考えの方でした。なので、そのシーンも全て台本通りというわけではなく、真矢さんが考えてきてくださった台詞を、判決を言い渡す際に言ってくださいました。真矢さんの台詞は本当に重みがあってすごく心に響き、感情がバッと溢れました。改めて、周りに影響を与えられるお芝居ができる事って、とても素晴らしいなと思いました。

MEGUMIさん演じる澄子さんは、すごくつらかっただろうなと思います。澄子さんが証言台に立って発言しているシーンの時、福田夏奈として隣で見ていたのですが「彼女のためだったら自分の隠している過去を打ち明けたい」と思わせてくれるくらい、すごく痛々しく見えました。自分が秘密を言わないことが失礼なのではないかと、澄子さんを見て感じました。
Q.今回の役を演じて成長したと思った部分について教えてください。

松浦:監督から「完璧に役作りしなさい」と言われていたので、「絶対に自分に負けない」と自分の中で修行だと思い、徹底して役作りする事ができたので、俳優としての自信になりましたし、成長できたんじゃないかなと思います。

Q.作品を通してどのようなことを伝えたいですか?

松浦:何かに悩んでいたり、苦しんでいたりする方に観ていただけたらと思います。「自分だけじゃない」と思わせてくれる作品です。

Q.夏奈の高校時代も演じましたが、松浦さんご自身はどのような高校生でしたか?

松浦:私は福田夏奈と少しだけ似ていて、学生時代、友達を作ろうと強く意識せず、孤立していました。集団の中では、周りに合わせて思っていないことを言わないといけなかったりするじゃないですか。そういうのがすごく苦手で、自分に対して変に正義感が強くて、自分に嘘をつきたくないと常に思っていました。人に意見を合わせることができていたら、もっと学校生活が楽しかったのかなと思います。
Q.SGSは、10代から20代の原宿系ファッションが好きな女の子が読者層です。原宿周辺や都内で、好きな場所や思い出の場所はありますか?

松浦:服飾について学ぶ大学に通っていたので、大学生の時は原宿によく行っていました。原宿は思い出の地です。裏原の古着屋さんを一日中巡っていました。

Q.今日の衣装はどのようなイメージで選んだのですか?

松浦:白い衣装で明るいイメージにしました。ボタンは向日葵の形です。

Q.本作では裁判が重要なシーンで、弁護士のバッジも向日葵ですが、それを意識したのですか?

松浦:そういうことにします(笑)。ありがとうございます。

Q.松浦さんご自身が好きな色やお気に入りのファッションアイテム、普段よく着ているファッションについて教えてください。

松浦:向日葵もそうですが、好きな色は黄色です。ファッションとしては、白のコーデが好きですね。全身白コーデにすると気分が上がるし、清潔感がある風に見せてくれます。
Q.エンタメ情報のほか、スイーツ情報も発信していますが、好きなスイーツはありますか?

松浦:さっぱりした甘さが大好きで、果物やゼリー、グミが好きです。グミは常に持ち歩いています。

Q.集めているコスメや、メイクでこだわっているポイントについても教えてください。

松浦:ちょっとメイクをしたいなという時に、赤いリップを塗るだけで締まります。また、日焼け止めを毎日絶対に塗ることを意識しています。日焼け止めにはこだわっています。
Q.松浦さんと同世代の、芸能界を目指す読者に向けて、メッセージをお願いします。

松浦:私が言える立場ではないのですが、自分の好きなこと、目指すものがあるというのはとてもいいことなので、燃え尽きるまでやってほしいです。10代の時間は返ってこないので、今やりたいことがあるというのは本当に素晴らしいことです。「楽しんでください!」と言いたいです。

Q.松浦さんご自身は何をしている時が一番幸せですか?

松浦:やはりお芝居をしている時が幸せです。福田夏奈になっていた時はとても苦しかったけど、人生で一番幸せでした。思い出の一作になりました。

ありがとうございました。


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[プロフィール]
松浦りょう
徳島県出身。2014年に映画『渇き。』でデビュー。その後もTVCM、MV、ドラマなどに多数出演。2019年に大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺~」に出演し、2020年には映画『眠る虫』で初主演を務め、MOOSIC LAB2019長編部門グランプリを獲得。2021年には映画『となりの井戸』LIKE YOUで主演を務める。2023年には現在公開中の映画『赦し』に出演しており、今年公開予定の映画、MVなどの待機作を複数控えている。

STORY

かつて17歳の少女だった夏奈は、同級生の少女を殺害した。あれから7年、20年の刑を受けた夏奈に再審の機会が与えられ、釈放される可能性があると連絡を受けた被害者の父・克と、別れた元妻・澄子。二人はともに法廷に赴き裁判の経過を見守ることになるが・・・。当時の裁判では殺害にいたる経緯を話すことなく、検察の請求のままに刑が確定した夏奈。再審請求は、被害者の親二人の心を大きく揺さぶっていく。7年が経っても決して薄れることのない彼女への怒りと憎しみは、周りを巻き込みながら大きく変転をしていくのだった。加害者の夏奈だけではなく、まるで囚人のように「娘を殺されたこと」への怒りから逃れることのできない、かつての親たち。そこから人はどうやって一歩進んでいくのか?

映画概要


【赦し】
3月18日(土)より、ユーロスペース、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・編集:アンシュル・チョウハン
プロデューサー:山下貴裕 茂木美那 アンシュル・チョウハン
エグゼクティブ・プロデューサー:サイモン・クロウ ランカスター文江
アソシエイト・プロデューサー:前田けゑ 澤繁実 岡田真一 木川良弘
脚本:ランド・コルター
撮影:ピーター・モエン・ジェンセン
音楽:香田悠真
出演:尚玄 MEGUMI 松浦りょう 生津徹 成海花音 藤森慎吾 真矢ミキ 
助成:文化庁
製作プロダクション:KOWATANDA FILMS、YAMAN FILMS
配給:彩プロ  
2022年/日本/日本語/カラー/2:1/5.1ch/98分
原題(英語題):DECEMBER
映倫:G区分

公式サイト:映画『赦し』
公式Twitter:@yurushimovie
公式Instagram: @december_the_film

©2022 December Production Committee. All rights reserved

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