【詳細】映画『世界は僕らに気づかない』堀家一希 インタビュー

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2023-01-10 18:00:00
2022年度の大阪アジアン映画祭にて「来るべき才能賞」を受賞し、その後ドイツ、韓国、ニューヨーク、香港、オランダ、シカゴ、フィリピンなど世界各地で高評価を得た話題作『世界は僕らに気づかない』が、 2023年1月13日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamura ル・シネマほかにて全国公開される。

トランスジェンダーである自らの経験を元に制作した『僕らの未来』が国内外で注目を集め、2022年公開の『フタリノセカイ』で商業デビューを果たした飯塚花笑監督が、レプロエンタテインメント主催の映画製作プロジェクト「感動シネマアワード」にて製作したオリジナル⻑編第五作。8年の構想期間を経て結実した本作の主人公・純悟を任されたのは、『東京リベンジャーズ』(21 年/英勉監督)でのパーちん役など、その存在感ある演技が輝く堀家一希。複雑なバックグラウンドを抱える難しい役柄かつ映画初主演という重圧もある中で、飯塚監督との深いコミュニケーションと共に丁寧に役作りをした結果、悶々として自分の本当の感情を吐露できない純悟を見事に演じきっている。息子である純悟への深い愛情を抱きつつ、感情的に厳しい態度もとってしまう母親・レイナを演じるのは、スコットランド人の父親とフィリピン人の母親を持つガウ。本格的な演技は初挑戦ながら、観客の視線を釘付けにするパワフルな演技を披露している。

今回、本作で主人公・純悟を演じた【堀家一希】を直撃!純悟の魅力や共感するところ、オール群馬ロケの思い出、LGBTQに対するイメージの変化のほか、好きなファッションや2022年を振り返って心揺さぶられた瞬間など、気になる素顔が垣間見えるお話もたっぷり♪
Q.ご自身が演じた純悟の魅力や、似ていると思うところ、共感するところについて教えてください。

堀家一希(以下、堀家):もっとLGBTQにフォーカスしたお話になる予定だったのですが、僕のパーソナルな部分というか、僕自身の経験を飯塚花笑監督と話す機会があり、それを反映してくださったので、比較的役と近い距離だったと思います。言いたくても言えない、いろいろ感情的になるシーンがあると思うのですが、喧嘩している時も本当は振り向いてほしいから喧嘩している。台詞だけ読むと喧嘩しているだけなのですが、キャッチコピーに「世界で一番嫌いな人、世界で一番愛する人」とあるように、嫌いだからではなく、好きだから喧嘩している。日常でも「なんでこんなにイライラするんだろう?」という時もあると思うのですが「もしかしたら好きだから、相手に対して期待しているから怒っているんじゃないか」という発見があるかも知れないです。

Q.監督と深いコミュニケーションを取ったそうですが、監督から言われた言葉で心に残っていることはありますか?

堀家:朝食で鮭のムニエルを食べるシーンの時に「これが最後だから、本気でお母さんに伝えてね」と監督に言われて、泣きそうになりました。
Q.フィリピンの食事や宗教、歌なども登場しますが、フィリピンの文化はどれくらい勉強しましたか?

堀家:監督が「フィリピンパブ嬢の社会学」という本を読んでいたので、それをお借りして僕も読みました。役と似た境遇にいる当事者の方に話を聞いたりもしました。

Q.母親役のガウさんとのぶつかり合いなど、感情をあらわにするシーンや泣くシーンがありますが、演じるうえでどのように気持ちを持って行きましたか?

堀家:もちろんそういうシーンは緊張するのですが、撮影中は自分のスイッチを切りたくなくて、絶えず緊張していました。集中力を切らさずにずっとやっていて、物事を見る目とか、何かを判断する時も「純悟だったらどうするか」と考えてずっと1ヶ月間生きていました。無理に何かしなくても、自然に出てくるものがあったという感覚です。
Q.純悟は高校生らしい短髪ですが、髪型は堀家さんのアイディアで決まったのですか?

堀家:髪形に関しては、ちょうどドラマ「君と世界が終わる日に」と映画『東京リベンジャーズ』の撮影を並行していて、坊主にしていたんです。その名残だったので、この長さでやるか、いっそのこと坊主でやるかの中で選択しました。

Q.オール群馬ロケですが、撮影で思い出に残っていることを教えてください。

堀家:ほぼ毎日撮影で、実際に約1ヶ月、純悟の部屋で暮らしていました。母親役のガウさんの部屋に助監督さんがいて、2人暮らしをしていたんですよ(笑)。撮影が終わるたびに一緒に帰ったり、その日の振り返りを話したりするのが楽しかったです。部屋の仕様がわかってきて、引き戸の重さなどが体に馴染んでくるのが、役にも生きてくるのかな、と思いました。実際に生活をしたことによって、自分の芝居に還元できたと思います。
Q.昨今LGBTQを扱った作品がたくさん作られていますが、もともとどんなイメージを持っていましたか?本作に出演したことで、イメージが変わったなどはありますか?

堀家:僕自身は無知で、そこまで深く考えたことがなかったのですが、この作品の現場に入って調べていく中で「結局はやはり1人の人間なんだな」と思うようになりました。もちろん当事者の方々の受けている差別などを疎かにはできないのですが、実際に演じてみると「愛してほしい」とか「好きな人に振り向いてほしい」とか、根っこの部分の思いは僕たちと一緒。そういうことに気づきました。

Q.「世界で一番嫌いな人、世界で一番愛する人」というキャッチコピーにちなんで、堀家さんご自身が今一番嫌いなものと、今一番愛しているものについて教えてください。

堀家:幽霊が苦手です(笑)。ホラー映画は無理ですね。一番好きなものはラーメン。家系や次郎系、みそラーメンなどが大好きです。群馬県でロケをしている時も車を出してもらって、みんなでラーメン屋さんに行きました(笑)。
Q.SGSの読者層は10代から20代の原宿系のファッションが好きな女の子なのですが、渋谷や原宿周辺で思い出の場所はありますか?

堀家:昔あった思い出深い出来事なのですが、表参道から原宿に向かっていく道で、走ってきた女性に「写真を撮ってください!堀家さんですよね!」と声をかけられました。その思い出が原宿にはすごくあります(笑)。その時初めて、ファンの方から声をかけられたんじゃないかな(笑)。いい思い出です。

Q.今回は高校生役で、制服姿でたくさん出演されていますが、堀家さんご自身は普段、どのようなファッションがお好きですか?

堀家:目立ちたがり屋なので、今日(取材日)の衣装のような、パンチのある服を着たいです。冬なのですが、クリスマスっぽい服は避けたくて、ニットではなく普段あまり着ないヒョウ柄の衣装を選びました。
Q.心揺さぶられる、エモーショナルなシーンもたくさん登場します。2023年の1月に映画が公開されますが、2022年を振り返って最も心揺さぶられた瞬間について教えてください。

堀家:映画祭で韓国に行ったのですが、アデノウイルスにかかってしまって。はやり目にかかって右目がパンパンになってかゆいし、痛いし、熱も出て。帰国できるかどうかもわからず、韓国語もわからず、韓国語の話せるスタッフさんも来られなくて。韓国の病院で言葉がわからない中、1人で待っていなければならず、心細くて寂しかったです。監督が病院に来てくれて助かりました。

Q.異文化親子、母子家庭、再婚、いじめ、パートナーシップ宣誓制度など“今”の日本のリアルが詰まった作品ですが、どんな人に観てほしいですか?公開を楽しみにしている読者に向けて、メッセージをお願いします。

堀家:誰にでも響くものが詰まっているので、みなさんに観てもらいたいです。純悟もストーリーを経ていくにつれて、気づけなかったものにどんどん気づいていきます。人間は絶対に一人で生きていけないと思うし、今不幸だと思っている人も、絶対にそれを何とかしてくれる人がどこかにいます。気づけないのは自分のせいかも知れないし、気づくきっかけになったらいいな、絶対に探したらいるよ、と思います。僕自身もこの作品で飯塚監督など優しい方たちに出会って、すごく助けられました。ぜひ多くの方々に観てもらえたらと思います。

ありがとうございました。
ヘアメイク:速水昭仁
スタイリスト:添田和宏

衣装
ヴァリジスタ グローバル スタジオ(アースマーケティング TEL:03-5638-9771)
ハビィー(ハビィー TEL:03-6555-5451)
ブースティック サプライ(トライム:TEL03-6868-4348)


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[プロフィール]
堀家一希(ほりけかずき)
1997年11月21日生まれ、岡山県出身。
近年では、ドラマ『君と世界が終わる日に』(NTV)、『俺のスカート、どこ行った?』(NTV)、『初めて恋をした日に読む話』(TBS)、映画『泣くな赤鬼』等の話題作に出演。
“パーちん”役の好演が印象的な'21年公開の映画『東京リベンジャーズ』(英勉監督)の続編『東京リベンジャーズ 血のハロウィン編』前編が2023年GW、後編が2023年夏公開予定。
繊細さから力強さまで幅広いキャラクターを演じ存在感を発揮する若手俳優。

STORY

群馬県太田市に住む高校生の純悟は、フィリピンパブに勤めるフィリピン人の母親を持つ。父親のことは母親から何も聞かされておらず、ただ毎月振り込まれる養育費だけが父親との繋がりである。純悟には恋人の優助がいるが、優助からパートナーシップを結ぶことを望まれても、自分の生い立ちが引け目となり、なかなか決断に踏み込めずにいた。そんなある日、母親のレイナが再婚したいと、恋人を家に連れて来る。見知らぬ男と一緒に暮らすことを嫌がった純悟は、実の父親を探すことにするのだが...。

予告編


映画概要


【世界は僕らに気づかない】
2023年1月13日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
脚本・監督:飯塚花笑
出演:堀家一希、ガウ
配給:Atemo

公式サイト:映画『世界は僕らに気づかない』
公式Twitter:@sekaboku_movie

©「世界は僕らに気づかない」製作委員会

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