【詳細】映画『野球部に花束を』醍醐虎汰朗 インタビュー

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2022-08-03 17:00:00
『ドラフトキング』『べー革』など、多くの傑作野球マンガを発表し、話題を呼んでいるクロマツテツロウの同名コミックが、ついに初の映画化。2022年8月11日(木・祝)に全国公開。

主人公の黒田鉄平(くろだてっぺい)を演じるのは、映画『天気の子』主人公・森嶋帆高役を2,000人の中からオーディションで勝ち取り、一気に注目を集め、現在、公演中の舞台「千と千尋の神隠し」でハクを演じることでも話題、映画・ドラマ・舞台、ミュージックビデオと多方面に活躍の場を広げているネクストブレイク筆頭の醍醐虎汰朗。チームメイトの桧垣主圭(ひがききみよし)役には、ミュージカル「刀剣乱舞」や「テニスの王子様」など 2.5次元作品で注目を集め、近年はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」、TV「SUITS/スーツ2」(CX)など活躍の場を広げ続けている黒羽麻璃央が演じる。さらに、どう見ても堅気に見えない、コンプライアンス全無視の野球部の監督である、原田監督には、映画やドラマでの怪演ぶり、バラエティ番組で見せるマニアックな一面が際立つ髙嶋政宏が演じている。監督・脚本は 『荒川アンダーザブリッジ』 で林遣都、『虹色デイズ』 で佐野玲於、中川大志、高杉真宙、横浜流星、長野五輪スキージャンプ競技を題材にした『ヒノマルソウル』では、眞栄田郷敦ら若手俳優を抜擢し、ブレイクのきっかけを作ってきた飯塚健。

今回、本作で主人公・黒田鉄平を演じた【醍醐虎汰朗】を直撃!「体育会系の方が大好き」「僕も体育会系なんだろうな」「人生の9割以上はまっすぐ生きている気がする」と語る醍醐。坊主頭にすることへの抵抗はあまりなく、同級生役の黒羽麻璃央らとともに部活の雰囲気を楽しみ、士気を上げるためにあまり現場で座らないよう心がけたという。また、「共感度120%の時代逆行型青春エンターテイメント」である本作にちなみ、高校野球の魅力や「仲間っていいな」と感じた経験、10代のうちにやっておいた方がいいことについて、SGS読者に向けてたっぷりと語ってくれた!
Q.今回実写映画で初の主演ということで、楽しみな『ワクワク』と緊張で『ソワソワ』の感情を行ったり来たりしていたそうですが、楽しみだった部分と緊張した部分について詳しく教えてください。

醍醐虎汰朗(以下、醍醐):実写映画初主演だったので、初めてということに対する楽しみと、飯塚健監督の作品に出演するのが初めてだったので、クランクインする前に緊張感がすごくありました。飯塚監督の素晴らしい作品を拝見していたので、「そこで主演だ」というプレッシャーがありました。

Q.実際に飯塚監督の作品に出演してみて、どんな関係性が作れたと思いますか?

醍醐:親父という感じです(笑)。一から十まで面倒を見てくださるというか。もちろんお芝居のことも仕事のこともそうなのですが、それ以外のところで、大人として、男として、みたいな人間性の部分も、すごく気にかけてくださって。「勉強したいです」と言ったら、映画のリストを20本くらい送ってくださいました。「ありがたいな」と思います。

Q.原作のマンガを読んで、どのような印象を受けましたか?

醍醐:めちゃくちゃ笑った記憶があります。僕も部活をずっとやっていたので、理不尽さや「自分の力ではどうにもならない感じの大きい波にのまれる」感覚に対して「懐かしいな」と思いました。「キャラクターが個性的で、掛け合いがとても面白いマンガだな」という印象を受けました。

Q.特に面白かったのはどのシーンですか?

醍醐:強いて言うなら、先輩にいきなり坊主にされるシーン。「あんなことある(笑)?」という。せめて「明日までに坊主にして来い」とかじゃないですか。「やばいな、この雰囲気」と思いました。面白かったですね。

Q.「坊主頭は中学生以来で、自分ではないみたいで新鮮な気持ちだった」とのことですが、周りの人からの反応はいかがでしたか?

醍醐:「うわ、坊主じゃん!」よりも先に「頭の形綺麗だね」と友達に言われました。「そこなんだ」と思いました(笑)。

Q.坊主頭にすることに対して、抵抗はなかったですか?

醍醐:あまり抵抗はないですね。「明日坊主にしろ」と言われても。俳優の仕事が好きなんだと思います。
Q.今回演じた黒田鉄平とご自身との共通点は、どこだと思いましたか?

醍醐:「最終的にまっすぐ」みたいなところは、自分と似ているのかな。僕も頭の中でいろいろ考えたり、ひねくれる瞬間、落ちこむ瞬間もあるのですが、人生の9割以上はまっすぐ生きている気がして。純粋さでもないですが、一つの物事に対してひたむきに取り組むところは、似ている部分もあるのかな。黒田のキャラクターとしての魅力は、高校一年生ならではの、かっこつけているけどかっこついてない感じ、本人が気づいていない感じが「可愛らしいな」と思いました。

Q.黒田の「秘めたまっすぐさ」「ひたむきさ」という部分に共感したのですね。

醍醐:そうですね。僕は日常で何か起こった時に、0か100かでやる気がします。友達と揉めて、ちょっと言い合いになっても、ネチネチしない。その場で全部解決したい、翌日に持ち越したくない、そんな感覚です。

Q.野球部の雰囲気も共感できますか?

醍醐:僕も体育会系なんだろうな、と思います。「根性で生きよう」と決めています(笑)。できれば男らしく生きたいな。「気合で乗り切った方がかっこいいな」と思います。

Q.醍醐さんは運動神経のいいイメージがありますが、今回野球をやってみていかがでしたか?

醍醐:難しかったですね(笑)。投げるのはある程度できるし、昔からバッティングセンターにも行っていました。ですが、キャッチャーとしての捕球は突き指をせずにボールを捕れなかったです。どうしても変なところに当たってしまって、痛かったです。

僕はスポーツ全般そうなのですが、スタートはけっこう人よりできたりするのですが、知れば知るほど「プロの人たちってほんとうに凄いんだな」と野球に関して特に思い知らされました。肩の強さもそうですが、丁寧さなど、純粋な技術の差が目に見えて出る。「深いな」と思いました。野球が上手な人を尊敬しました。

Q.練習はどのくらいしましたか?

醍醐:2週間くらいです。専属のコーチの方がいて、最初は本当に投げる動作、キャッチャーの構えからスタートして、ちょっとずつ球を速くして、という練習をしました。
Q.野球部の監督役の髙嶋政宏さんとのシーンも多かったですが、共演されていかがでしたか?

醍醐:頭の中はけっこうピンクなのですが(笑)、すごくいい方なんです。僕は圧倒的に年下なのですが、現場で気にかけて、ずっといろんな話をしてくださいました。僕が出演した舞台「千と千尋の神隠し」の演出家が、ジョン・ケアードさんだったのですが、僕がこの作品を撮っていた頃は、まだ舞台の稽古に入っていなくて。髙嶋さんは何度かジョンとお仕事をしていたそうで、「稽古の時こうやって入ったらいいよ。こんなスピード感で進むけど、焦らなくて大丈夫だよ」といろいろ教えてくださって、ありがたかったです。

Q.髙嶋さんのアドリブシーンがあったそうですが、どのようなシーンでしたか?

醍醐:叫んだり、急に突っ込んできたり。怖かったですね(笑)。ビックリでした(笑)。髙嶋さんが急にフェンスを「バーン」とやるので「えーっ!」と思いました。面白かったです。
Q.小沢仁志さんがまさかの高校球児役で、登場するたびに迫力満点でしたが、いかがでしたか?

醍醐:すごく優しい方で、気さくに話してくださるのですが、なにせ顔が怖くて(笑)。顔が怖いから一歩引いて話すじゃないですか。「失礼なんだろうな」とわかりながらも、普通の人と同じ感覚で「おはようございます」とはいけなくて。「やはり任侠系なのかな」と思ってしまって。ガチガチでしたね。

Q.黒羽麻璃央さんや市川知宏さん、三浦健人さん、駒木根隆介さんと同級生役で共演されましたが、誰がムードメーカーでしたか?

醍醐:本当に部活の雰囲気というか、みんな一緒に盛り上がっていました。誰か一人が騒いで、というよりは、みなさん大人な方なので、日常も高校生ノリで「ウエーイ」とかではなく、普通の話をしていました。美味しいごはん屋さんの話とか、「ここ綺麗な場所だった」「ここの温泉はすごくいいんだよ」みたいな話をしていました。

Q.野球は実際に、誰が一番上手でしたか?

醍醐:麻璃央くんですね。麻璃央くんは一人だけフォームも球のスピードも違うし、多分現場に野球をしに来ていました(笑)。「アップ」という言葉をうまく使って「メイクが終わったらキャッチボールしようぜ、これアップだから」と楽しんでいました。ずっとグローブをパカパカやっていました。
Q.飯塚監督の演出については、いかがでしたか?

醍醐:僕は絶大な信用をしていました。飯塚監督は、意味のないことを嫌う方なので、例えば目線を一つ動かすにしろ「その目線意味ある?」というのを、優しく言うのではなく、ストレートに「お前意味ないだろ、それ」と言ってくださるので、わかりやすく勉強になります。ダメなものには「ダメ」、よかったときは「OK!おい、よかったじゃないか、今の」「ありがとうございます!」みたいな、そういう体育会系の方です。僕は体育会系の方が大好きなので「一緒にやっていて気持ちいいな」と思って。「愛が深い方だな」と思います。

投げられたものをよけるにしても、上体を反らしてよけるよりも、姿勢を低くしてよけた方が、次の姿勢を正すときに、幅が大きいからわかりやすいよね、みたいな。そういうテクニカルな部分もすごく言ってくださるので、楽しかったです。

Q.監督から言われたことで印象に残っているのは、どのようなことですか?

醍醐:山田孝之さんの話をよくされていて。段取りが終わって、テストから本番までの時間、山田さんは自分の動線を延々と歩き続けて、逆算して歩数まで全部完璧に決めて、ひたすらやり続けている、という話を聞きました。なんとなく立ち位置に行くのではなく、自分の完璧に決めた歩幅で何回もやって、それを自然に見せるようなやり方をしているというのが、印象に残りました。

Q.主演として現場に入って、どのような立ち居振る舞いを意識しましたか?

醍醐:監督と最初に話して、「僕も現場の士気を上げることにこだわりを持とう」と思いました。でも年齢が若いので「何かを言うとか、何かをするとかはできないな」と思って。「せめて姿勢で示せたらな」と思い、あまり現場で座らないようにしました。テストの時もへばりついて、カメラのセッティングが終わったらすぐ立ち位置に入って。というのを繰り返したら、みんな似たようなことをしてくれるようになりました。なので、現場も円滑に進むようになったかな。監督に教えてもらったことなのですが、「いいな」と思って。「若いうちはあまり座らないでおこうかな」と思いました(笑)。
Q.「野球に狂え」という言葉が何度も登場しますが、醍醐さんが今、狂うほどハマっているものはありますか?

醍醐:サウナです。隙があれば行きますね、ひたすら。最近3日に一回は行きたいな、という。サウナにめちゃくちゃハマっています。3セット終わった後に、「今日はどの飲み物を飲むか」、決めています(笑)。健康なまま終わるか、炭酸系を飲んでプラスマイナスゼロで終わらせるか決めて、6割くらい炭酸系なんですよ。一杯目が美味しくて。ハマっています。

Q.本作に出演して改めて感じた、高校野球の魅力について教えてください。

醍醐:部活ならではの泥臭さであったり、まだ心が成長しきっていない高校生たちが、いろんな葛藤や悩みとか、いろんなものを抱えながらもひたむきに一つの目標を持って進み続ける。誰よりも気持ちを熱くやっている、というのが高校野球の魅力なのかな。目指す場所が全員一緒で「素敵だな」と思います。
Q.SGS読者である10代から20代の女の子に向けて、注目ポイントや作品の魅力を教えてください。

醍醐:女の子が観て面白くあってくれたら嬉しいのですが、完全に男ノリじゃないですか。男が観たら「わかるー」となる面白さがあるのですが、女の子が観たら「バカだな」と思うんですかね、きっと。「部活をやっている男ってこういう感じなんだよ」という教科書です。

Q.青春らしさを感じるシーンや、「仲間っていいな」と思うシーンもたくさん登場します。醍醐さんご自身は「仲間っていいな」と感じた経験はありますか?

醍醐:同じことをやっている仲間、きつければきついほど、それを乗り越えた仲間って、思い返すと今でも仲良くしている人が多いです。当時はきつかったかも知れないですが、その分一生ものの友達ができる。実際に体験するまでは「いや、嘘でしょ」と思うかも知れないですが、時を過ごすとやはり、本当に仲のいい、何でも話せるような仲間ができると思います。「きついのを乗り越えたらこうなるよな」と思います。

Q.醍醐さんがもし10代に戻れたら、やりたいことはありますか?10代のうちにやっておいた方がいいことについて、読者にアドバイスをお願いします。

醍醐:「もっと寝る時間を削って遊べばよかったな」と思います。結局今になったら、遊びの幅も広がったけど、公園で鬼ごっことか、コンビニで買い食いして公園でずっとしゃべるとか、大勢でディズニーランドに行くとか、あの当時だからこそできたことです。昔普通に遊んでいたことが、今見たら青春になるじゃないですか。そういう遊びを十分したと思うのですが、「もっともっとした方がよかったな」と思います。

ありがとうございました。


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[プロフィール]
醍醐虎汰朗
2000年9月1日生まれ。2017年舞台「『弱虫ペダル』新インターハイ篇〜スタートライン」の一般公募オーディションで主演小野田坂道役に抜擢され俳優デビュー。『天気の子』(19)で主人公・森嶋帆高役(声の出演)に選ばれ一躍注目を浴びる。同作で第14回声優アワード新人男優賞を受賞。2.5次元舞台での活動を皮切りに、映画・ドラマ・MVなど数々の作品に出演。舞台『千と千尋の神隠し』(ハク役)でも好評を博した。近年の主な出演作に、【ドラマ】「スイッチ」(20・EX)、「バイプレイヤーズ〜 名脇役の森の100日間〜」(21・TX)、「未来世紀SHIBUYA」(21・Hulu)、【映画】『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)、『太陽は動かない』(21)、『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-「BLUE BIRD」』(21)、【舞台】『弱虫ペダル』シリーズ(17・18)、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズ 主演 日向翔陽役(19・20・21)など。2022年10月には映画『カラダ探し』が公開されるほか、2022年度後期 NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』への出演を控えている。

予告編


<ストーリー>

中学時代の野球部生活に別れを告げ、高校デビューを目指し茶髪に染めて入学した黒田鉄平。夢見たバラ色の高校生活は、うっかり野球部の見学に行ってしまい、あっけなくゲームセット。 新入生歓迎の儀式で早々に坊主に逆戻り、、、練習以前に、グラウンド整備や白線引きにすら怒鳴られる日々。おまけに一目惚れした同級生は、なんと先輩の妹(手を出したら、即死)。そしてヒエラルキーの頂点に立つのは、ヤバい見た目と言動で三年生をも震え上がらせる最恐の監督。強くはない、けど別に弱小でもない。そんな中途半端な並の都立高校野球部で、助け合ったりいがみ合ったりしながらも生き延びていく黒田ら一年生。そして、恐れていたはずの“伝統”に、気がつけば自分たちも染まっていた......。

映画概要


【野球部に花束を】
2022年8月11日(木・祝) 全国公開
醍醐虎汰朗 黒羽麻璃央 駒木根隆介
市川知宏 三浦健人/里崎智也(野球解説者)
小沢仁志/髙嶋政宏
原作:クロマツテツロウ『野球部に花束を ~Knockin' On YAKYUBU's Door~』(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
主題歌:電気グルーヴ「HOMEBASE」(C)macht inc
音楽:海田庄吾
監督・脚本:飯塚健
プロデューサー:金 山 宇田川寧 吉田憲一
製作幹事:KDDI
制作プロダクション:ダブ
配給:日活

公式サイト:映画『野球部に花束を』
公式Twitter:@yakyubuhanataba
公式TikTok: @yakyubuhanataba

©2022「野球部に花束を」製作委員会

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