【詳細】映画『茜色に焼かれる』和田庵インタビュー

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2021-05-20 18:00:00
画像左から、片山友希、尾野真千子、和田庵 

石井裕也監督最新作となる映画『茜色に焼かれる』が、主演に尾野真千子を迎え、2021年5月21日(金)より全国公開される。

この世界には、誰のためにあるのかわからないルールと、悪い冗談みたいなことばかりがあふれている。誰もが自身を偽り、まるで仮面の生活を強いられているかのように。そんな、まさに弱者ほど生きにくいこの時代に翻弄されている一組の母子がいた。哀しみと怒りを心に秘めながらも、わが子への溢れんばかりの愛を抱えて気丈に振る舞う母。その母を気遣って日々の屈辱を耐え過ごす中学生の息子。果たして、彼女たちが最後の最後まで絶対に手放さなかったものとは?

あえてまさに今の世相に正面から対峙することで、人間の内面に鋭く向き合ったのは、毎年のように質の高い作品で、今や日本映画界を牽引する石井裕也監督。多難の時代に逆風を受けながらも、自身の信念の中でたくましく生きる母親・田中良子を演じるのは、尾野真千子。実力派女優の尾野が、厳しい社会を生き抜く母親を驚くべき存在感で体現。尾野の新たな代表作の誕生となった。

良子の息子で、13歳の純平を演じるのは『ミックス。』(17)でも存在感を出した次世代の注目株・和田庵。その純平が憧れを抱く良子の同僚・ケイには『あの頃。』(21)の新進女優・片山友希。そして、交通事故で命を落とす夫・陽一をオダギリジョー、良子とケイを見守る風俗店の店長を永瀬正敏が演じ、それぞれ確かな人間力を見せてくれる。

今回、混沌とした時代と社会の中で、自らの正義を見出そうとする中学生【田中純平】を演じた和田庵を直撃!! 純平について「自分だったら耐えられない」と語る和田。幼い頃に高齢ドライバーによる事故で父を亡くし、尾野真千子演じる母が花屋のバイトと夜の仕事を掛け持ちしても家計は苦しく、学校でいじめにあっているという苦難続きの役どころだ。初共演した尾野とは、泣く演技について話したり、尾野の気迫ある演技に立ち向かっていくなどし、「計り知れないぐらいの経験になった」と語る。

茜色の希望をたなびかせて、もがきながらも懸命に生きようとする良子と純平。その勇気と美しさに、きっと誰もが心を揺さぶられ涙する。社会のゆがみがいよいよ表面化している現代なればこそ生まれ得た、激しくも深い魂の軌跡。これは、あなた自身の現実、今日を生きる私たち自身の物語だ。
Q.今回、どういった経緯で出演が決まりましたか?

和田庵(以下、和田):昨年の夏までカナダに留学していて、本作が帰国後の最初のお仕事でした。自己PRの動画を送って、そこからオーディションという形だったのですが、動画を送った段階ではそんなに手ごたえはありませんでした。一次オーディションで「今までどういうふうに演技に向き合ってきたか」「今後どうしていきたいか」を話したのですが、それを石井監督に絶賛していただいて、すごく嬉しかったです。一次オーディションの帰り道に、合格の通知が来ました。オーディションは昨年の7月で、撮影は8月でした。

Q.本作の企画を読んで、どういうふうに感じましたか?

和田:1年半カナダに留学して、その間は休業という形で、帰国してお仕事を再開するとなって、本当に空白の1年半だったので、すごく緊張しました。自分の台詞がすごく多くて、「こんなにできるかな」という不安と喜びがありました。「R‐15」の作品なので、大人な内容だな、と思いました。僕が演じた純平は、理不尽な環境で育った男の子で、尾野真千子さんの息子役ということですごくプレッシャーでしたが、自分の中で燃えるところもありました。僕はあまり緊張しないタイプなのですが、すごく緊張しました。
Q.演じていて大変だったところや、苦労したところはどういった部分でしょうか?

和田:大変だったのは、尾野さん演じる良子が神社で包丁を持って、相手を刺そうとしてそれを僕が止める、というシーンです。神社の鳥たちがみんなバサバサと飛んで行くぐらい尾野さんの気迫がすごくて、それを止めるというので、僕も気持ちを持って行かなければいけなくて、そこまで奮い立たせるのが大変でした。そして、そのあとのドロップキック。

一同:笑

和田:今までアクションシーンをやる機会がなかったのですが、前々からやってみたいな、と思っていて、今後もドロップキックをやる機会はないと思うので、新鮮でした。

Q.アクションシーンは、お芝居とはいえ、かなり全力でやっているように見えましたが、その辺りはいかがですか?

和田:尾野さん演じる良子が向かってくる感じ、「殺されるな」という迫力が本当にすごかったので、僕は立ち向かっていくので精一杯でした。

Q.ドロップキックがうまく決まっていますが、何回かやったのですか?

和田:アングルなどもあって5回やりました。着地で僕も転ぶのですが、そのときに痛そうに見せないといけないので、大変でした。
Q.今回演じた役柄で、ご自身と重なる部分や、共感する部分はありますか?逆に、自分だったら「これはありえないな」「耐えられないな」と思ったところはありますか?

和田:自分だったら耐えられないな、と思うところはほとんどです。純平は、自分と性格も家庭環境もかけ離れていて、今までいろいろ大変な思いをしてきたのだろうな、と意識して演じました。いろんなシーンを演じてみて、ところどころ負けず嫌いだな、と思うところがあって、そこは自分と似たものを感じました。

Q.尾野さんの演技を間近で体感して、いかがでしたか?

和田:今まで尾野さんの出演する作品を観てきましたが、画面で観るより間近で見た時のほうがすごいオーラでした。楽屋でも、その場が一気にバッと明るくなるような人でした。今回、家族という役でしたが、普段から優しく親しげに話しかけてきてくださって、現場に入ってからも演じやすい空気にしてくださいました。

Q.尾野さんとは、どんな話をしましたか?

和田:プライベートの話から、演技に関する話、世間話など、いろいろな話をしました。純平が家を燃やされて、階段の隅で泣いているシーンがありますが、撮影の前日ぐらいに「どういうふうに演技で泣いているか」というのを世間話の流れで聞きました。尾野さんは「いつも役になりきって泣いている。役として泣く以外の理由で、全然関係ないことを考えて泣くのは逃げなので、負けているような気がして嫌だ」とおっしゃっていました。尾野さんは「自分は涙もろい」とも言っていて、人情や豊かな感受性を感じました。僕は、役が実際に泣いている理由では泣けないし、純平になりきって泣こうとしましたが、本当に難しいな、と思いました。やはり僕は役者として未熟な部分が多いので、学ぶことも多く、計り知れないぐらいの経験になりました。
Q.尾野さん演じる良子と自転車で2人乗りするシーンが感動的でした。オダギリジョーさん演じる父親が自転車に乗っていて、交通事故に遭って亡くなるところから物語が始まって、何度か重要なアイテムとして自転車が登場します。和田さんご自身の自転車にまつわる思い出があれば教えてください。

和田:僕はスケボーが好きで、カナダ留学中に始めて今もやっているのですが、都内のスケボーが出来る広場まで自宅から最近いつも自転車でそこに行っていて、すごく気持ちいいです。
Q.スケボーをカナダで始めたそうですが、ほかに留学で得たものは何でしょうか?

和田:留学する前までは、洗濯や洗い物をあまりせず、両親に頼っていた部分がありました。もちろんメインは語学留学ですが、今後一人暮らしするとなった時に、そういう能力を培っておきたいな、と思いました。ホームステイだったのですが、自分で洗濯などをするので、やっておいて自分のためになったな、と思います。

あとは、英語。コミュニケ-ション能力が高くなったな、と思います。向こうの人は知らない人にも気楽にフレンドリーに話しかけてくださるので、自分のためになったな、と思います。英語を生かして、機会があれば海外の作品に挑戦してみたいです。

Q.SGSは10代から20代の原宿系の女の子を対象としたサイトです。若い世代の方には、少し刺激の強い作品ですが、和田さんと同世代の女の子が観るとしたら、どういった部分が見どころだと思いますか?

和田:すごく大人な内容ですが、刺激の強いシーンも全部通してこの作品の良いところだと思います。楽しんで観てほしいです。
Q.高齢ドライバーによる交通事故や、いじめ、コロナによる貧困など、日本のさまざまな社会問題が詰め込まれています。今高校生である和田さんは、これから大人になって社会を作っていく存在ですが、将来に向けて、一番解決すべきだと思う問題は何だと思いますか?

和田:身近な話になりますが、僕の兄が就職活動をしていて、今就職が困難で、コロナ禍というのもありますが、そんな中でも旅館や航空会社は不景気で退職してしまう人も多いです。兄も就職活動で苦労しているのですが、それでも頑張ってほしいな、というのが一番ですね。

Q.和田さんご自身が、10代のうちにやっておきたいことはありますか?

和田:最近高校生になったばかりで、若いうちしかスケートボードを心から楽しめないと思うので、今のうちに楽しんで、今後に生かせたらと思います。スケボーができるという恵まれた環境を、今のうちに楽しんでおきたいな、と思います。

ありがとうございました。


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[プロフィール]
和田庵
2005年生まれ、東京都出身。8歳から芸能活動をスタートさせ、映画「ミックス。」で俳優デビュー。フジテレビ「隣の家族は青く見える」やHBOアジア「フォークロア:TATAMI」に出演し、注目を集める。その後、語学力と人間力を高めるべくカナダへと留学、2020年夏に帰国。趣味はスケートボード、俳優業の傍らスケートボードの技術も日々、邁進中。

本予告


<あらすじ>

悪い冗談みたいなことばかり起きるこの世界で母ちゃんも、僕も、生きて、生きる。

1組の母と息子がいる。7年前、理不尽な交通事故で夫を亡くした母子。母の名前は田中良子。彼女は昔演劇に傾倒しており、お芝居が上手だ。中学生の息子・純平をひとりで育て、夫への賠償金は受け取らず、施設に入院している義父の面倒もみている。経営していたカフェはコロナ禍で破綻。花屋のバイトと夜の仕事の掛け持ちでも家計は苦しく、そのせいで息子はいじめにあっている。数年振りに会った同級生にはふられた。社会的弱者―それがなんだというのだ。そう、この全てが良子の人生を熱くしていくのだからー。はたして、彼女たちが最後の最後まで絶対に手放さなかったものとは?

映画概要


【茜色に焼かれる】
2021年5月21日(金)より全国公開
出演:尾野真千子
和田 庵 片山友希 大塚ヒロタ 芹澤興人 笠原秀幸 泉澤祐希 前田 勝 コージ・トクダ
前田亜季 鶴見辰吾 嶋田久作 / オダギリジョー 永瀬正敏
監督・脚本・編集:石井裕也
製作:五老剛 竹内力
ゼネラルプロデューサー:河村光庸
エグゼクティブプロデューサー:飯田雅裕
プロデューサー:永井拓郎 神保友香
共同プロデューサー:中島裕作 徳原重之 長井龍
『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ:朝日新聞社 RIKI プロジェクト
製作幹事:朝日新聞社
制作プロダクション:RIKI プロジェクト
配給:フィルムランド 朝日新聞社 スターサンズ
主題歌「ハートビート」/ GOING UNDER GROUND(ビクターエンタテインメント)
R-15+

[HP] 映画『茜色に焼かれる』
[Twitter] @akaneiro_movie

©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

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