【詳細】映画『FUNNY BUNNY』中川大志 インタビュー

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2021-04-23 18:06:00
2012年に上演されて大いに反響を呼んだ、飯塚健監督のオリジナル戯曲を映像化した映画『FUNNY BUNNY』が、主演に中川大志を迎え、2021年4月29日(木・祝)より全国の映画館とauスマートパスプレミアムにて同時に上映及び配信される。

舞台版では謎が謎を呼ぶという緻密なプロットが演劇ファンを熱狂させ、のちに飯塚自らの手によって小説化もされている。自称小説家の剣持聡と親友の漆原聡は、愛くるしいウサギの着ぐるみに扮して、区立図書館に向かう。その目的は図書館を襲撃するため。果たして2人の目的とはー?そして数年後、物語はもう1つの事件「ラジオ局電波ジャック」へと展開する。ウサギの着ぐるみによる[図書館襲撃]と[ラジオ局電波ジャック]、2つの事件に隠された謎と悲しい真実が明かされた時、おかしくて、切ない物語は加速する。自殺志願者を見分ける能力を持つ、自称“小説家”の剣持聡。彼が自らの正義のもとで繰り広げる奇想天外な騒動が、人生につまずき、暗澹たる思いをする若者に、再び生きる希望を与えていく。

主人公の剣持聡を演じるのは、『四月は君の嘘』『きょうのキラ君』『坂道のアポロン』など数多くの作品で着実に経験を積み、NHKの「なつぞら」で国民的人気を得た中川大志。そんな剣持を囲む共演者として、中川演じる剣持の相棒・漆原聡役に、映画やドラマ、舞台で独自の個性を発揮する岡山天音。その他、関めぐみ、落合モトキ、田中俊介、森田想、レイニ、ゆうたろう ら若手俳優が集結し、東京03の角田晃広、菅原大吉が脇を固める。

今回、「世界を救うのはいつだって、想像力だ」と豪語する、小説家志望の主人公【剣持聡】を演じた中川大志を直撃!! 映画化が決まる前からこの小説を愛読していて、自身の中で剣持像ができ上がっていたという。そんな剣持の魅力について「どんな状況でも楽しむことを忘れない」「物事に対して、自分の命を懸けられる」「言葉に魔法があり、人の痛みがわかるからこそ物が言える」と分析!一癖も二癖もあるアクの強いキャラクターだが、圧倒的な行動力を持ち、様々なロジックを散りばめた“剣持語録”を披露する姿は、まさにコロナ禍で先の見えない2021年に求められている、ヒーロー像そのもの!!

その他、初共演した岡山天音、落合モトキとの撮影秘話や、宮城県の夜の図書館での緊迫したシーン、自身の宝物、幻のバンド、友達や先生に支えられた学生時代、ゲン担ぎの方法など、素顔が垣間見えるエピソードも♪

全国の映画館と、中川が『意識高すぎ!高杉くん』シリーズのCMを務めるauの、スマートパスプレミアムにて上映及び配信される本作。コロナで不安の尽きない状況である中、自らも心に傷を持つ剣持が、死の縁に立たされた人に放つ言葉に、多くの人々が心揺さぶられるだろう・・・。
Q.今回、「暗鬱たる2021年に鮮やかな風穴を開けるダークヒーロー」剣持聡という役柄でしたが、役が決まった時どのようなお気持ちでしたか?

中川大志(以下、中川):何年か前にこの小説を(飯塚健)監督からいただいて、ずっと手元にありました。映画化という話になる前の段階から好きで読んでいて、まさか自分がやるとは思わず出会った作品でした。監督と何回かお仕事が続いて「いつか映像化したい」というお話を聞いていて、今回形になりました。まっさらな状態で、読者として読んでいたので、自分の中に剣持像や、それぞれのキャラクター像ができ上がっていました。「剣持はこういう男であってほしい」という思いがあったので、それを自分が体現できるかな、というのがすごくプレッシャーでした。

Q.自分の中に剣持像があったとのことですが、どういった部分に共感しましたか?

中川:どんな状況でも楽しむことを忘れないところです。ユーモアがすごくあって、ジョークを言ったり、普通だったら焦るだろ、という状況でも常に楽しんでいたり。物事に対して、自分の命を懸けられる男、というか。それはある種、覚悟が決まっていないとできないことです。それぐらい人生を全力で生きているというか。その強さやユーモアというのは、抱えているダークな部分、闇、過去、そこから来ているんですよね。人間はバランスを取れないと、傾いて崩れてしまいます。だから、自分の過去や弱さを人には見せません。そういうところから来る剣持のユーモアやお茶目さが、剣持のベースにあるところかな、と思います。
Q.作品を観て「剣持最高!こんなに魅力的な青年がいるんだ、かっこいいな」と思いました。監督と役作りをするうえで、具体的にどのような相談をしましたか?

中川:人物像というか、核の部分についてはほとんど話をしていないです。監督の書いた原作なので「そこにあまり縛られたくない」と監督ご自身もおっしゃっていました。何年も前に書いた原作なので、そこに縛られると、遊びや幅がなくなっていってしまうそうです。今まで何本も(監督と一緒に)やってきましたが、僕が考えた剣持像について監督と話す時間は、今回ほとんどなかったです。話してはいないですが、キャラクターたちの親が監督なので、自分が剣持役をやりながら抱えているものや、背負っているものは、監督が全部わかってくれている、すくい上げてくれるという安心感がありました。
Q.剣持には得体のしれない正義感があって「何を考えているのだろう」と思う部分がありました。台詞も多くて、剣持の深みを中川さんご自身が出している感じがしました。難しい役柄だったと思いますが、いかがですか?

中川:難しかったです。クレイジーな男なのですが、言葉に魔法があるというか、そこにみんながついていって、ウサギが増えていく話なので、本当に説得力がないと、まったくこの映画が成立しません。その説得力とは何なのだろう。やはり自分の経験でしかないんですよね。人の痛みがわかるからこそ物が言えるし、現実がわかっているからこそ「そんな甘くねえよ」という残酷さもある。剣持の背負っている痛みのようなものを自分も背負わないと、言葉が薄っぺらくなってしまう。「こいつ、何を言っているんだよ」という痛いやつになってしまうから、そこにどれぐらいお客さんがついて来られるか、お客さんを引っ張っていけるか、魔法のようなもので説得力を出す、というのが一番の課題でした。

Q.剣持が図書館で、ゆうたろうさん演じる田所との過去を回想するシーンでは、語りがダイレクトに胸に響いて、怒りを感じたり、はらはらと涙が止まらなかったりしました。お芝居の力が伝わってくる、本当に大変なシーンだったと思います。演じていて、いかがでしたか?

中川:(回想シーンは)本当の意味で岡山天音さん演じる漆原と初めて親友になれたというか、一人で背負わなければならないことを、みんなにも感じてもらえた、ちょっと軽くなった瞬間でした。図書館のシーンはけっこうヘビーで、かなり疲れました。夜から朝まで撮影して、というのを何夜も何夜もやっていたんです。連日連夜。ずっと夜の図書館でやっていて、今何時なのかもわからない。図書館というワンシチュエーションだからこそ、空間をお客さんも感じられる。没入してもらえる感じになればいいな、と思います。
Q.岡山さんとのシーンや、ザ・レディオユースのメンバー・菊池役を演じた落合モトキさんとのシーンが印象的でした。同世代の若い俳優さんと共演して、影響を受けた部分や、刺激された部分などはありますか?

中川:天音くんとがっつり共演するのは、ほぼ初めてでした。モトキさんは、僕が個人的にすごく好きな役者さんで、初めてご一緒したのですが、すごく嬉しかったです。

天音くんとは、台本についてめちゃくちゃ2人で話しました。天音くんは時間さえあればずっと台本を読んでいる方です。見落としていることは何かないかな、とすごく大事に台本を読んでいる方なので、台本の理解や解釈については、すごく話しました。でも、答えがないこともいっぱいあるんですよ。それについては想像でしかない。ミステリーな部分もあるので、僕ら役者が想像力で補っていくしかない、というのを天音君と2人で話して、考えたことを監督に持って行ったり、監督に聞いたり、そういう時間はすごく刺激的で楽しかったです。

「図書館襲撃」と「ラジオ局電波ジャック」、映画2本分のような作品ですが、モトキさんとのシーンも、剣持が他人のことにあれだけ首を突っ込むというのは、相当エネルギーがいるし、覚悟がいることです。親友や家族だと話は別だと思うのですが、結局は他人です。関わらなくてもいいわけですが、そこに全力で踏み込んでいけるというか、全力でぶつかっていける剣持のエネルギーは、本当にすごいと思います。

宮城県の図書館で撮影した後、東京に戻って来たのですが、モトキさんが苦しんでいる姿と、宮城県での自分の姿が重なって、剣持の気持ちになることができました。
Q.ウサギの着ぐるみがゲン担ぎとして登場します。中川さんご自身が何かゲン担ぎでやっていることはありますか?

中川:赤いパンツを映画の公開日や、撮影のクランクインの日にはいています。いつからやりだしたのかわかりませんが、赤のパンツをたまたま買ったのでしょうね(笑)。一枚だけ持っていたのですが、赤なんかあまりはかないな、じゃあせっかくだし、気合を入れて今日、赤をはいてみようかな、というのが初日で、そこからなんとなく続けています。

Q.「世界なんて、想像力で変えられる」というキャッチコピーが素晴らしいな、と思いました。想像力の大切さについて考えたり、いろいろなメッセージが感じられたりすると思います。中川さんご自身も剣持を見て、影響された部分や、考えたことはありますか?

中川:「想像力」という部分が常に剣持のワードとしてあるのですが、僕も含めて、生まれた時からインターネットがあって、人と顔を合わせなくても繋がることができます。新型コロナウイルスの影響もあって、顔を見たことがないし、会ったこともないという人と仕事をしている人もいると思います。直接深いところで、面と向かって繋がっていくということが少なくなっている時代だし、情報も調べればいくらでも出てきます。「何だろう」と気になったことをすぐ調べて、分かった気になることがたくさんあると思います。人とのやり取りでもそうですが、でもそれが一番怖いことだと思います。やはり答えがないとか、見えないことだからこそ、ちょっとの想像力で人に優しくなれたり、自分が前を向けたり、そういうことがたくさんあります。「想像」というのは、全人類に与えられた権利で、誰も邪魔できるものではありません。自分が今見えているものは、これがすべてなのだろうか。でも、もしかしたら違うかも知れない。人の気持ちなどを決めつけてしまうのではなく、事実がどうなのかわからないこともいっぱいあるから、そういう中で考えるきっかけになったら、と思います。子どもたちや若い人に観てほしい作品だな、とすごく思います。少し刺激が強いかも知れないですが(笑)。
Q.SGSは、10代から20代の原宿系の女の子を対象にしたサイトです。図書館で宝の地図を探す場面がありますが、ご自身にとっての宝物は何ですか?

中川:飼っている犬です。フレンチブルドッグの女の子。ちょうど2年ちょっと飼っていて、家で一緒にごろごろしたり、テレビを観ながらだらだらしたり。お散歩に行ったり、ドッグカフェに行ったりしています。

Q.中川さんご自身の図書館やラジオにまつわる思い出について教えてください。

中川:図書館はあまり行っていないのですが、ラジオはよく聞きます。子どもの頃から車の中で流れていて、今も家で聞いたり、自分で車を運転しているときに聞いたりして、すごく好きです。

Q.「ザ・レディオユース」というバンドが作中に出てきますが、ご自身にとって「伝説」と思えるバンドや、幻の名曲などはありますか?

中川:父親の影響で、THE YELLOW MONKEYさんが好きです。僕が生まれて物心ついた時は、活動を休止されていた時期だったので「実在するのかな」という方たちでした。父親と同じ世代で、リアルタイムで観ていたわけではなかったのですが、2016年に再集結した時は、感動しました。
Q.仲間とともに目的を果たそうとする場面が印象的でした。学校生活や芸能活動の中で「友達っていいな」「仲間っていいな」と思った経験はありますか?

中川:小学生の時から仕事をしていたので、撮影で学校を休んでしまうことがけっこうありました。休んだところのノートを写させてもらったり、先生に協力してもらったり、そういうことがあったから、学校生活と仕事を両立できたとすごく思っています。学生時代の友達には感謝しています。

一番よく集まっているのは、高校時代の友達です。純粋に、毎回作品の感想をもらえるのは嬉しいです。観てくれるだけで嬉しいですが、わざわざ映画館で観てくれるのは特に嬉しいです。「あの役かっこよかったよ」「面白かったよ」それだけで嬉しいです!

ありがとうございました。

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[プロフィール]
中川大志
1998年生まれ、東京都出身。09年に俳優デビュー。テレビドラマ「家政婦のミタ」(11)で一躍注目を浴びる。主な映画出演作に『きょうのキラ君』(17/川村泰祐監督)、『ReLIFE リライフ』(17/古澤健監督)、『坂道のアポロン』(18/三木孝浩監督)、『虹色デイズ』(18/飯塚健監督)、『覚悟はいいかそこの女子。』(18/井口昇監督)など。大河ドラマ「真田丸」(16/NHK)をはじめ、「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」(18/TBS)、連続テレビ小説「なつぞら」(19/NHK)、「G線上のあなたと私」(19/TBS)、「親バカ青春白書」(20/NTV)などに出演。現在、主演映画『砕け散るところを見せてあげる』(21/SABU監督)が公開中。公開待機作には『犬部!』(21/篠原哲雄監督)がある。さらに2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」への出演を控えている。

本予告



<ストーリー>

ウサギが過去を呼び覚ます。

とある図書館に「強盗」しに現れた二人の愛くるしいうさぎ。目的は「絶対借りられない本」を見つけること・・・はぁ!? だが、あっという間に形勢は逆転し、捕らえられてしまう。観念した二人組・剣持と漆原から事の真意が明かされる。「絶対に借りられない本の中に、宝の地図が隠されている」。そこに秘められた驚愕の真実とは!?

月日は流れ、図書館で出会った五人は、またしてもとんでもないミッションをするハメに。それはラジオ局を「襲撃」し「電波」を盗むこと。剣持から語られたのは、まったく売れなかったバンドと幻の名曲に秘められた哀しい真実。果たして無事にクリアできるのか?DJブースのマイク前に立つバンドによる、最後の曲が流れ始めるー。

映画概要


【FUNNY BUNNY】
2021年4月29日(木・祝)より、映画館&au スマートパスプレミアムにて同時ロードショー
出演;中川大志 岡山天音 / 関めぐみ 森田想 レイニ ゆうたろう
田中俊介 佐野弘樹 山中聡 落合モトキ / 角田晃広 菅原大吉
監督・脚本・編集:飯塚健
製作総指揮:森田圭
エグゼクティブプロデューサー:多田一国 大野高宏
プロデューサー:金山 宇田川寧 吉田憲一
共同プロデューサー:田口雄介
音楽:海田庄吾
撮影:小松高志
2021年/日本/103分/カラー/ビスタ/5.1ch/
原作:舞台「FUNNY BUNNY -鳥獣と寂寞の空-」(演出・脚本 飯塚健 /青山円形劇場、2012)、小説「FUNNY BUNNY」(飯塚健/朝日新聞出版)
製作:KDDI
制作プロダクション:ダブ
配給:「FUNNY BUNNY」製作委員会

[HP] 映画『FUNNY BUNNY』
[Twitter] @FUNNYBUNNY2021

©2021「FUNNY BUNNY」製作委員会

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