【詳細】映画『事故物件 恐い間取り』亀梨和也 インタビュー

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2020-08-28 19:00:00
「事故物件」…それは殺人・自殺・火災による死亡事故等があった“いわくつき”の部屋。そんな事故物件に住み続けている1人の芸人がいる。彼の名は松原タニシ。<事故物件住みます芸人>として活動するタニシ氏の実体験による著書で、「恐すぎて部屋に入れない」読者が続出したベストセラーノンフィクション「事故物件怪談 恐い間取り」が映画化。映画『事故物件 恐い間取り』が、亀梨和也を主演に迎え、本日2020年8月28日(金)より全国公開中。

KAT-TUNのメンバーとして絶大な人気を誇り、数々のドラマ・映画にも出演する亀梨。売れない芸人・山野ヤマメ役として、ホラー映画には本作で初出演となる。監督を務めるのは、『リング』(98)で日本映画界のホラーブームを牽引しその後も数々のヒット作・話題作を生み出し、『スマホを落としただけなのに』(18)の大ヒットも記憶に新しいホラー映画の巨匠・中田秀夫。

また脇を固めるのは奈緒、瀬戸康史、江口のりこ、木下ほうか、MEGUMI、真魚、瀧川英次、宇野祥平、高田純次、小手伸也ら豪華俳優陣に加え、有野晋哉・濱口優・団長安田・クロちゃんをはじめとした松竹芸能の芸人が多数出演。事故物件に住んだら一体どうなるのか!? そこで起こった、想像を絶する恐怖とは?

今回、主人公で、事故物件に住むことを“無茶ぶり”される売れない芸人・山野ヤマメ役を演じた亀梨和也を直撃!! 芸人のお友達との心温まるエピソードや、『野ブタ。をプロデュース』の放送当時からずっと変わらずに思い続けてきたもの、売れない芸人を表現するうえで心がけたこと、コロナ禍での過ごし方、今の立場に来るまでに犠牲にしたものなど、秘エピソードが盛りだくさん♪
Q.ホラー映画初出演ということですが、出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

亀梨和也(以下、亀梨):お話をいただいたときは、すごく悩みました。ホラー作品をエンターテイメントとして楽しむ側ではありましたが、こういう(ホラー映画ならではの)文字が(ポスタービジュアルに)並ぶようなものに、自分が作り手として参加していいものなのか、「どう向き合えるのか」などはありました、正直。

でも、松竹さんとのお仕事のつながりの中で、前回『PとJK』という作品をやらせてもらったときのスタッフさんであったり、ホラーで中田監督という巡り合わせもそうそうあるものではないので、腹をくくって、自分でしっかり準備をして、役作りもそうですけど、できる限りの向き合い方をして挑ませてもらおうということで、お話を受け取りました。

Q.役に挑むにあたって、具体的にどのような準備をされましたか?

亀梨:関西弁で芸人の役ということなので、若手芸人さんたちが出演している劇場を観に行きました。お友達でまさに売れない芸人がいて、「売れてない芸人」じゃないですよ、「売れない芸人」がいて(笑)。

一同:(笑)。

亀梨:そう言って僕はいつもいじっているんですけど(笑)。(彼は)「まだわからんやろ!」と言っているんですけど(笑)。そんなやり取りをするぐらい仲が良いお友達がいて、彼に「ちょっと疑似体験させてくれ」と言って。自分が亀梨和也じゃないところで、今夜過ごしてみようってことで。今夜って言っても、寝室でともに、とかではないですよ(笑)。街に繰り出して、普段若手の芸人さんたちが飲み食いしているような場所に連れて行ってもらって、一緒に時間を過ごしてみました。残念ながら合コンはなかったんですけど(笑)、芸人さんの仲間の方と一緒にごはんを食べさせてもらったり。僕は一番下っ端という体(てい)だったので(笑)、「飲み物大丈夫ですか?」「すみません、飲み物なくなりましたー!」って言ったりとか、そういう経験を何日かしました。彼が大阪出身なので、関西弁でずっとしゃべるようにしたりとか。「あっ、今のちゃうわ」「何がちゃうねん!」とずっとやったりとか。

実際松原タニシさんが書いていて、体験談でもあるので、タニシさんが出演されてきた番組を観たりとか、実際にタニシさんとお話しさせてもらって、インタビュー形式で僕もいろいろ聞き出したり、タニシさんのしぐさを真似したり。自分が役に入る前、クランクインする前に、開けられる引き出しをたくさん用意しました。

Q.そうしたお友達の存在が、今回の撮影を通して心の支えになったという感じですか?

亀梨:心の支えと言いますか(笑)。そうですね、心強かったですね。まったく芸人さんの世界を知らないで、ではなく、彼経由で「ちょっと劇場にライブを観に行きたいんだけど」と声をかけることができて。僕もあまり(劇場に)行ったことはないので、ライブのDVDは観ていますが、どうやってチケットを買うのか、とか、どういうタイミングで行くのか、とかわからなくて。関係者を通じてではなく、普通の客席で観たので、僕が行くのに迷惑がかからないように、彼が準備してくれたのは、すごく心強かったです。

Q.本作の中でヤマメは、幼少期からの「おばあちゃんを笑わせたい」という思いを軸に、芸人としての活動を行っています。亀梨さんはご自身の幼少時代から、最近だと『野ブタ。をプロデュース』の再放送もありましたが、その当時からずっと変わらずに思い続けてきたものや、今振り返って、改めて自分で成長したな、と感じる部分はありますか?

亀梨:成長で言うと、ある種「怖さ」を知っていくこと、というのが一番大きな変化なのかな。それが成長なのかはわからないですけど、やはり年々、怖さを知るし。「まだ早いよ」とよく言われるんですが、体力的なことも。やはり10代、12歳からこの仕事をしていて、立場ももちろん、ちょっとずつは変わってきてはいます。物理的な作業として、自分は12歳の時から(アイドルとして)過ごしていて、デビュー前の自分も知っていて、デビュー直後の自分も知っていて、段階を踏んできているので、一つ一つのお仕事に対するマインドとか、持ち方、捉え方というのも実際変わってきている部分もあって。正直、もちろん大前提でありがたいな、と思ってこのお仕事をさせてもらっていますけれど、なにも取材がない時代に、取材が一つでも決まったらものすごくうれしかったわけですが、どうしても今日みたいに、20社弱あると言われると「おおっ!!」と思うこともあるし(笑)。ありがたい大前提ですよ(笑)。そういう変化の中でどういうふうにお仕事と向き合っていくか、というバランスが自分の中で取れなくなったら、それは考えなきゃいけないな、とは思います。

僕は今34歳なんですが、12歳で入って、デビューは20歳でした。今でいうと、20歳を越えてデビューしているジャニーズの後輩たちもいっぱいいるので、何とも言えないですけど、その当時は、僕の感覚で言うと、「10代でデビューできないといよいよやばいんじゃないか」という、そういう時代の真っただ中だったので、デビューが遅いほうではありました。8年かかったから。嵐さんで言うと、みなさん15、16歳でデビューされているわけですから。

とはいえ、18歳ぐらいから、舞台であったり、ドラマであったり、ライブでは、それこそ15、16歳ぐらいかな、単独でKAT-TUNでやらせてもらったりとか、ドラマや映画に18歳ぐらいで主役という立場でやらせてもらえる機会があったりとか、10代でCDデビュー、KAT-TUNの前に、ジュニア時代にドラマの主役でCDデビューとか、そういう環境を過ごさせてもらってきた部分もあります。だから、なんだろうな、すごく立場が変わっていったな、とか、そういう感覚は正直ないです、ほとんど。

ただ、どうやって今の自分を継続したり、成長させたりしていけるのか。不安を覚えたことに対して、そこに向き合える技術、体力を、100%ではないですけど、少しずつつけていくことが、これからもっと成長しなきゃいけないところだな、と思います。
Q.中田監督は、現場で亀梨さんからアイデアをもらったそうですが、具体的に監督にどういったアイデアを出しましたか?

亀梨:僕は、役柄のアイデアを出すというのは、あまり好きではないのですが、自分の感覚を提示させてもらったというか、最初の台本の突き合わせの段階で、一度監督とお話しさせていただく機会がありました。本作では、売れない芸人という役柄でした。 決して自分を過剰に見ているわけではないですけど、映画を観るお客さんが、亀梨和也を売れない芸人として捉えるときに、腑に落ちるワードではない、というのはありました。ただ、作品を楽しんでもらうために、そこは越えなきゃいけないところであり、お芝居ですから、普段存在している亀梨と正反対の、お客さんの前で(ネタが)スベるというのが、すごく重要なポイントでした。

一同:(笑)

亀梨:売れない芸人を表現するときに、当初の予定では普通のコントだったんですよ。で、スベる。でも、スベってるだけで、お客さんのリアクションって面白いのかな、って。もちろんそれでも作れるんですけど、映画だから。でも実際の劇場で、スベリを目の前にしたお客さんに対して、もっと説得力がほしいな、と思って。ちょっと模索してるじゃないけど、10年やってなかなか芽が出てない感じってなんだろうな、って思ったときに、女装とかまで持っていったほうが、空回ってる感がわかりやすいのかな、と思いました。

あとは、現場でやりながら、こうかなあ、とか、こっちのほうがやりやすい、とか、見やすいとか、模索しました。現場レベルで言ったら、チームプレーなんです。カメラマンさんがいて、小道具さんがいて、演出の方たちがいて、照明さんがいて、監督がいて、僕がいて。

今回、セットを組んだものもありますけど、実際の物件を使うことが多かったんですね。本来なら「こちら側から撮りたいのでこちらの壁をはずします」ということがいろいろあるんですよ。そういう作業が(実際の物件だと)なかなかできないので、みんなで協力プレーをして、ずっとカメラの後ろにひっついて、こういうところ(柱の影)でスタンバイしたりとか(笑)。

一同:(笑)。

亀梨:その辺りは、みんなで手作りしながらやりましたね。
Q.新型コロナウイルスの影響で今、生活環境が大きく変わってきていると思います。また、作品の中でヤマメは、「人を笑顔にしたい」という思いがあって芸能活動をしています。亀梨さんご自身は、このコロナ禍の中で、「こういうことを目標に芸能活動をやっているんだ」といった思いはありますか?

亀梨:ライブができることは当たり前ではないし、テレビのお仕事もそうだし、できない環境になってしまったことに対しては、対応の方法も、変えなきゃいけないスタイルもあると思います。

僕は雑誌の連載を持っていたり、ラジオのレギュラーがあったりするのですが、(外出自粛期間中は)「今の現状で、何ができるのか」を考えることに時間を注ぎましたね。ラジオは、SNSではないですけど、みんなで楽しめるものを何か作れないかな、だとか。雑誌で言ったら、自分が家で撮影したものをカメラマンさんに見せて、それをもとに何かいいものができないかな、だとか。バラエティのプロデューサーさんにも、電話をかけてやり取りする機会があって、何かできないのかな、とか。テレビに関しては、やはり再放送、『野ブタ。をプロデュース』もそうですけど、できることがあったら、やっていくようお願いしますとか。高校生のインターハイも中止になって、スポーツに対して、できることはないのかなあ、と話したりとか。

本来なら改めなくていいところまで改めなきゃいけない、改めて考えなくちゃいけない。そういうことが起きた感じかも知れないですね。それはプラスに意識をして、しっかり捉えたいと思います。今あるものというのはもしかしたら間違いで、新しいもののほうがいいのかな、と思えたとしたら、逆に、改めて確認してよかったわけですから。

Q.今回の山野ヤマメは、芸人を10年やっているけれど売れなくて、それこそ、最後のチャンスということで、事故物件に住み始めます。芸人として売れるために犠牲を払ったわけですが、亀梨さんご自身は、成功するためにどこまでだったら犠牲を払えますか?実際に今の立場に来るまでに、犠牲にしたな、と思っているものはありますか?

亀梨:青春は犠牲にしました。

一同:(笑)。

Q.どんな青春ですか?

亀梨:制服を着て女性と時間を過ごした機会、というのは圧倒的に少ないでしょうね。あとは、デートをしたり。デートを、まったくしてこなかったわけではないですけど。そういった部分は、犠牲と言えば犠牲ですけど、必然と言えば必然というか。なんだろうな、必然というくくりで捉えてきた。今でもそうですけど。やはり、私生活において、この地位にいたいからとか、ここにいたいからとか、何々したいからとか、だからここまで犠牲にしようとか、そういう感覚ではないというか。いっぱいサウナに入りたいから、水風呂に入るとか、そういう感覚です(笑)。

一同:(笑)。

亀梨:みんなに楽しみを与えるために、なるべく目立ったデートはしないとか(笑)。

一同:(笑)。

亀梨:そこのところかな。今後、もしかしたら気持ちは変わるかもしれませんけど。これまでに、それをすごく犠牲にしてきたとは考えていないというか。

マジシャンが、人に嘘をつきたくないなんて、できないじゃないですか。それと同じような感じで、(私生活を)全部見せちゃうとできない。僕の仕事が成立しないというか、それは亀梨和也としての感覚なのだけれど。ジャニーズ全員がそうだ、とは思わないですし。それは僕の価値観です。

ヤマメで言ったら、自分が事故物件に住むことに関して「誰かを笑わせることで生きる」という信念のもと、(事故物件に)住めているのは、それは犠牲とはあまり思わないかな。

そういうふうに(自分自身も)思っていたい、というのはあります(笑)。

[プロフィール]
亀梨和也
1986年2月23日生まれ、東京都出身。
1999年、「3年B組金八先生第5シリーズ」で連続ドラマ初出演。TVドラマ出演作品に、「野ブタ。をプロデュース」(05)、「妖怪人間ベム」(11)、「怪盗 山猫」(16)、「ボク、運命の人です。」(17)、「ストロベリーナイト・サーガ」(19)など。映画出演作に、『俺俺』(13/三木聡監督)、『バンクーバーの朝日』(14/石井裕也監督)、『ジョーカー・ゲーム』(15/入江悠監督)、『PとJK』(17/廣木隆一監督)、『美しい星』(17/吉田大八監督)がある。ホラー映画には本作が初出演。

<ストーリー>

売れない芸人が、「事故物件」に住んでみた―
芸人の山野ヤマメ(亀梨)は、中井大佐(瀬戸)とお笑いコンビ<ジョナサンズ>を組んでいたが、全く売れず、結成から10年目となり、これ以上続けても無理だと感じた中井から、コンビを解散し放送作家になると告げられる。

突然ピン芸人となり途方にくれるヤマメは、番組プロデューサーの松尾雄二(木下)からTV番組への出演を条件に「事故物件に住んでみろ」と無茶ぶりされ、殺人事件が起きた物件で暮らすことに。そこは一見普通の部屋だったが、初日の夜、撮影した映像には白い“何か”が映っていたり、音声が乱れたり、様々な怪奇現象が。

OAした番組は盛り上がり、ネタ欲しさにさらなる怪奇現象を求めるヤマメは、不動産屋の横水純子(江口)に新たな事故物件の紹介を依頼。その後も様々な怪奇現象に遭遇し、ヤマメは“事故物件住みます芸人”としてブレイクしていく。

一方、<ジョナサンズ>のファンで、メイクアシスタントの小坂梓(奈緒)は、人気が出るほど危険な状況に陥っていくヤマメを密かに心配する。だがレギュラー番組も決定したヤマメは、次なる事故物件を求めて再び不動産屋・横水の元を訪れる。
そしてある事故物件で、ヤマメの想像を絶する恐怖が待っていた―

予告編


映画概要


【事故物件 恐い間取り】
2020年8月28日(金)全国ロードショー
原作:松原タニシ「事故物件怪談 恐い間取り」(二見書房刊)
出演:亀梨和也
奈緒 瀬戸康史 
江口のりこ MEGUMI 真魚 瀧川英次 木下ほうか
加藤諒 坂口涼太郎 中田クルミ 団長安田 クロちゃん バービー
宇野祥平 高田純次 小手伸也 / 有野晋哉・濱口優(友情出演)
監督:中田秀夫
脚本:ブラジリィー・アン・山田
音楽:fox capture plan

公式サイト:映画『事故物件 恐い間取り』
公式Twitter:@jikobukken2020
公式Instagram: jikobukken2020

©2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会

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