【詳細】映画『殺さない彼と死なない彼女』ゆうたろうインタビュー

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2019-11-04 10:12:00
「何度読んでも泣いてしまう」「心が洗われる」「明日も頑張って生きようと思える」――Twitterに投稿された四コマ漫画が多くの読者の胸を打ち、熱狂的な支持を集める漫画家・世紀末の処女作にして代表作『殺さない彼と死なない彼女』(KADOKAWA刊)が実写映画化。2019年11月15日(金)より全国公開される。

W主演の間宮祥太朗&桜井日奈子が演じるのは、「殺す」が口癖でスマホ依存症の無気力少年・小坂れいと、「死にたい」が口癖の心優しきネガティブ少女・鹿野なな。

さらに、恒松祐里、堀田真由、箭内夢菜、ゆうたろう、金子大地、中尾暢樹ら、2019年最注目の瑞々しい魅力溢れる若手俳優たちの豪華競演が実現。小坂(間宮祥太朗)と鹿野(桜井日奈子)、2人と同じ高校に通うきゃぴ子(堀田真由)と地味子(恒松祐里)、撫子(箭内夢菜)と八千代(ゆうたろう)、不器用で純粋な彼らが織りなす3つの物語は、やがて思いがけない結末へ——。

今回、天真爛漫な少女・撫子に日課のように告白されるも、「“好き”って感情がよくわからないんだよ」と戸惑う草食男子・八千代を演じたゆうたろうを直撃!! 「八千代君は自分との共通点が多い」と語るゆうたろう。告白されて心境が変化していく役を演じてみての感想や、撮影を通して俳優として鍛えられた部分、箭内・恒松・堀田ら共演者から受けた印象など、秘エピソードが満載♪
Q.オファーを受けたとき、どのように感じましたか?

ゆうたろう:まだ正式に決定していないときに、顔合わせのような形で監督とお話ししていく中で決まったんです。お会いする前に原作を読ませていただいて、八千代君が自分との共通点が多かったので、「八千代役はぼくがやりたいな」と思っていたのですが、監督の中でもイメージがあったらしく、「いいんじゃない?」みたいな感じでその場で言われました。その時はちょっとビックリしてしまいましたね(笑)。

Q.八千代君について、撫子ちゃんから何度も告白されて、「『好き』という気持ちがわからない」、というところが印象的ですが、その気持ちをゆうたろうさんご自身はどのように感じましたか?共感されましたか?

ゆうたろう:そうですね、原作を読んで自分とつながる部分があった、というのもあって、実際に(撫子役の)箭内夢菜ちゃんと2人でお芝居をしたときも、すんなり台詞が言えたというか。そこに違和感を持っていたり、不思議な気持ちがあると、ただ台詞を言ってるだけだな、と思ったので。自分とつながる部分をちゃんと自分の中に落とし込んで、八千代君として言わなきゃ意味がないな、と。ナチュラルに言いつつ、自分の中でメッセージ性をこめたりしていましたね。

Q.小林監督には「八千代君の気持ちがよくわかる」とおっしゃっていたそうですが、「すごく共感できるな」という部分は具体的にどんなところでしょうか?

ゆうたろう:八千代君は、過去のとある出来事から人間関係や恋愛的な部分で自分を抑えつけているところがあって、でもその中で撫子ちゃんに出会ってちょっとずつ人間性を取り戻すというか、温かい気持ちを解放していくふうに感じました。(映画に登場する八千代君の初恋の人・佐藤玲さん演じる)さっちゃんの存在がすごく大きくて、さっちゃんとのシーンの台詞とか、その部分が心に残るというか、自分の中でも大事にしなきゃいけない台詞だなと思いました。共感というよりは、ぼくが八千代君に寄り添いたい、という気持ちが大きかったです。

Q.そういう八千代君を演じるにあたって、「これは難しかったな」ということはありましたか?

ゆうたろう:台詞の声のトーンとか、抑揚がない話し方が難しかったです。ぼく自身があまり抑揚のない話し方をするので、自分のままではダメですし、口調やトーンにはかなり気をつけました。ちゃんと役としてトーンを落として抑揚がなくなるようにという、自分とはまた違った話し方をするのが最初は難しかったですね。監督と何回も台詞合わせをして、話し合いました。
Q.撫子ちゃんからほぼ毎日、告白をされて、だんだん心境が変化していきますが、演じ分ける上でどういう工夫をされていたんですか?

ゆうたろう:けっこう1シーンのテイク数が多かったので・・・。全部で何回「好き」って言われたんだろう(笑)。

Q.毎日どころではない(笑)。

ゆうたろう:ゆうたろうとしての人生の何百倍くらい、1日に「好き」と言われていたので(笑)、感覚がマヒしてくるというか。最初はすごく新鮮な気持ちでできていたんですけど、だんだん『「好き」って言われているんだ』と意識している自分になっていた部分があって。それは八千代君としてはいいのかもしれないですけど、ゆうたろうとしてはあまりよくないな、と思ったので、それは撫子役の(箭内)夢菜ちゃんにちゃんと話しました。夢菜ちゃんも1回1回「好き」のニュアンスを変えてきたりして。

Q.全部違いますよね。

ゆうたろう:1年の中で1回目、2回目、3回目・・・と、撫子ちゃんに「好き」って言われるシーンがあるんですけど、冬だったり半袖だったり体操服で、とかだったんですけど、いろんな「好き」とか「好きです」とかを言われて、そこはすごく夢菜ちゃんに助けられました。
Q.今回、演技を小林監督と一緒に作り上げていく過程で、また、実際に作品をご覧になって、自分が成長したな、変わったな、影響を受けたなと思う部分はありますか?

ゆうたろう:2、3年前に役者という職業を始めて、今まではけっこう自分とイメージがあった役を選んでいただくことが多くて。学生役でも、中性的なかわいい男の子、みたいなのが多かったので、こういう影を持った役は初めてでした。また、現場で監督と話しつつ、半日とか、3時間くらいかけて1シーン、1カットを撮って、精神的に鍛えられる部分ももちろんありました。何十回もやっていくうえで、自分が言っている台詞の解釈が変わったりとか、スラスラスラって台詞が言えたりとか、なにも意識してなくても、ピタっとはまる部分があったというか。終わった後で「あっ、これは絶対OK出るな」と思うシーンがOKだったり、現場の中で役に寄り添う時間が増えたので、今思えば愛おしい時間だったな、と思います。

Q.本当に鍛えられたんですね。

ゆうたろう:最初はすごく大変で、正直しんどい、と思った部分はあったんですけど、後半からは形をつかんできたから、すごく楽しくなってきました。「じゃあ次はもっとこうしてみましょう」とか、逆に監督に自分で提案したりとか。やっているときは「ああ大変だな」と思っていたんですけど、終わると、それは心地よい時間だったり、ちょっとずつ終わりに向かっているな、とか。順番に撮影していったので、最後のシーンを撮ったときは、「もうこのシーンを撮れないんだ」、と思って、寂しくなりましたね。

Q.撫子役の箭内(夢菜)さんと共演した感想や、印象的だったエピソードはありますか?

ゆうたろう:最初、相手役が箭内さんと知って、調べたらぼくの2個下で。今まで同世代とか、上の世代の方とお芝居することが多かったので。妹が18歳で、妹と(年齢が)変わらないので、最初どう接しよう、と思いました。10代と20代の差って、けっこう自分の中では大きいな、と思っていて(笑)。

Q.そうなんですね(笑)。

ゆうたろう:やはり一つの作品でずっと一緒にいる関係性なので、仲良くなりたいと思ってずっと話していたんですけど、しっかりしているし、役についてもむちゃくちゃ研究しているし、お芝居もすごく素敵な方で、尊敬する部分が多くてけっこう学んでいましたね。共通の話題がでてきて仲良くなって、距離が縮まったんですけど、お芝居をチェックしているときに、次のプランができている、というか、見えている、というか。監督の意図も全部汲みとっているというか、そういうのがすごく、頭がいいな、と思う瞬間がすごく多くて。だから、ぼくの方が年下、みたいな感覚でしたね(笑)。
Q.もう一人、共演者で恒松(祐里)さんですが、映画『3D彼女 リアルガール』のときは明るくパワフルな感じで、今回はまったく正反対というか、地味な「地味子」という、八千代君のお姉さん役でした。共演していく中で印象が変わった感じはしましたか?

ゆうたろう:『3D彼女 リアルガール』という作品では、みんな同い年でキラキラした青春ものだったんですが、祐里ちゃんは同い年で、そこですごく仲良くなって、遊んだりもしていたので、地味子が祐里ちゃんと知って、すぐ本人に連絡をしました。

Q.嬉しかったんですね。

ゆうたろう:まだ、(ぼく自身が)映像作品に出演する経歴が浅かったので、2回目に共演する人がいるというのが、すごく安心感というか。同世代とはいえ、みなさん初めましてだし、それこそテレビ、映画、ドラマに出ている方々なので、難しいというか緊張するし。「仲良くしてもらえるかな?とか、「仲がいい役なのに、全然仲良くなれなかったらどうしよう」、とすごく不安があったんですが、祐里ちゃんは、誰にでも分け隔てなく接してくれるので、すごく助かりましたね。お姉ちゃん役、というのもあって、千葉で撮影することもあったんですが、休憩時間におみやげを買いに行ったりとか(笑)。帰るぎりぎりまで一緒にしゃべっていたりとか。女の子なんですけど、あまり女の子女の子していないというか、サバサバしているというか、素はすごく地味子に似てる部分もあるのかな。すごくやりやすかったし、祐里ちゃんがいてくれたから、堀田真由ちゃんとか、夢菜ちゃんとか、一緒に話せたので、すごく嬉しかったです。
Q.完成した作品を見て、自分が出演したシーンで一番印象的だったシーンと、他の方のシーンで印象的だったところを教えていただけますか?

ゆうたろう:今回本当に(関係者の)半分以上の人が「泣いた」と言っていました。「感動が止まらなかった」とか、みんなで「ここよかったね」「あそこよかったね」、と言ったりとか。「キャストが泣くんだ!」「プロデューサーさんが泣く!」「マネージャーさんが泣く!」という感じで、すごくびっくりして。そこの時点で一つ成功したんじゃないか、と思うぐらい「いい作品に恵まれたな」、と思いましたね。感動するシーンって、なにか予兆があると思うんですけど、日常的なシーンの方がぼくは泣けるというか、「いいな」と思って。ふとしたときにメッセージ性が強いというか、背中を押してくれることが多いので、そういうシーンの方がぼくは好きなんです。自分が出ているシーンでいえば・・・なんだろう。

Q.選びきれない?

ゆうたろう:最初の八千代君が職員室から出てきたところを撫子ちゃんが引き留めるシーンですかね。その時の2人の関係値から物語が進むにつれて2人の距離がどこまで縮まるのか・・・。見終わった後にもう1回そこのシーンを見てもらいたいな、というのがすごくあります。八千代君が告白されて、つながっていくと思うと、、自分で観ていても最初の2人のシーンが可愛くてしょうがないんですよね。

Q.他の方のシーンでは?

ゆうたろう:地味子ときゃぴ子が2人で職員室に行くシーンがあって、そこの2人の掛け合いというのがすごく好きで、バカップルなんじゃないか(笑)というくらいなんです。全然違う2人なのに、地味子もきゃぴ子のことをわかってて仲良くしてあげたりとか、一緒にいてあげたりとか。地味子は(きゃぴ子に対して)「やめてよ!」みたいな感じだけど、本当はすごく、きゃぴ子のことを支えたくて、きゃぴ子のことが好きで。
Q.本当に大好きですよね。

ゆうたろう:ちょっと八千代君と似ているツンデレな部分があったり。堀田真由ちゃんはこの作品で初共演だったんですが、声が本当にきれいで、こんなに声に魅かれる方はいないと思うくらいでした。第一印象で声にすごくキュンとしたというか。地はすごく透き通ったきれいな声をしているけど、きゃぴ子を演じる時は少し声を高くしていて、きゃぴ子のちょっとねちっこい話し方とか、きゃぴ子が1人になったときの”素”を見せる部分だったり、そのセリフを言いながらもたぶん違うことを思っているんだろうな、というきゃぴ子を繊細に演じていて、本当に上手だなと思います。

Q.撫子ちゃんが「今この瞬間から未来よ」と言う台詞がありますが、ゆうたろうさんは俳優としてどのような未来を描いていきたいですか?

ゆうたろう:この業界に入ったのも、ショップ店員をしているときに声をかけていただいて、今の事務所に入ってデビューという形になったので、なにも準備していないし、それこそ表に出る人になれない、と思っていたんです。なんですけど、せっかくだったらやりたいな、と思って始めたらすごく楽しくて。毎日違う場所に行って、毎日違うことをこなす、みたいな仕事なので、「なんでも屋さん」という考え方がぼくの中でしっくりきています。こうやってゆうたろうとして、役になってお話したりとか、明日は撮影でまた別のところで役としてなったりとか。いろんな人生を見れたり、いろんな人生を考えたりする面白い職業だな、と思います。

20代になって、いろんなことを背負うというか、考えるようになりました。ゆうたろうとしてではなく役を背負って話すときに、変に考える癖があって、疲れてしまう部分もあります。そういう部分では、「あまり頑張りすぎない」というのをテーマとして、マイペースに「求められることを全力でやりたいな」、と思っています。

役者という仕事は、今の生きがいになっているというか、楽しくてやりがいがあるので、人間力がついているなというのはすごく感じます。そういう部分では、(目標や今後については)何も考えていないですけど、漠然と楽しみな未来ではあります。

Q.最後に、公開を楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。

ゆうたろう:今、しんどくて、人間関係とか、いろんなことで悩んだり苦しんだりしている人も、どこかこの作品に救われてほしいな、と思います。出演した側ですけど、ぼくも見ていて救われた部分や、1人の一言のせりふで楽になれた部分があったので、そういう意味ではたくさんの方に見ていただきたい作品です。きっと見た後に温かい気持ちになっていると思います。

いろいろなメッセージが詰め込まれているので、共感したり、自分に響くメッセージがあると思います。1度とは言わず2度、3度と見てもらえたら、新しい発見や違う捉え方ができるので、楽しんでもらえたらな、と思います。

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[プロフィール]
ゆうたろう
1998年6月3日生まれ
広島県出身
2016年、可愛すぎる美少年モデルとして芸能界デビュー。以降、ドラマや舞台でも幅広く活躍。2018年、『3D彼女 リアルガール』(英勉監督)で映画初出演を果たし、同年、バカリズム脚本の2.5次元舞台「ひらがな男子」に出演。2019年、ドラマ「ゆうべはお楽しみでしたね(MBS/TBS)、松居大悟作・演出の舞台「みみばしる」、映画『かぐや様は告らせたい-天才たちの恋愛頭脳戦-』(河合勇人監督)に出演。

今後も、Netflixオリジナルシリーズ「Followers」(2020)など話題作への出演が続々控える。現在放送中のフジテレビ「シャーロック」、AbemaTVオリジナルドラマ「フォローされたら終わり」にレギュラー出演中 。

予告編


<ストーリー>

すべての孤独をあたたかく癒す、予測不能の感動作!衝撃のラスト、タイトルの本当の意味に涙する。

何にも興味が持てず、退屈な学生生活を送っている高校3年の小坂れい(間宮祥太朗)。ある日、小坂は教室で殺されたハチの死骸を埋葬しているクラスメイト・鹿野なな(桜井日奈子)に出会う。虫の命を大切に扱う心優しい一面を持ちながら、ネガティブな言動で周囲から孤立し、リストカット常習者で“死にたがり”の鹿野に興味を抱く小坂。<ハチの埋葬>をきっかけに、2人は一緒にいることがあたりまえになっていくのだが・・・。

映画概要


【殺さない彼と死なない彼女】
2019年11月15日(金) 全国ロードショー
キャスト:間宮祥太朗 桜井日奈子
恒松祐里 堀田真由 箭内夢菜 ゆうたろう
金子大地 中尾暢樹/佐藤玲 佐津川愛美/森口瑤子
監督・脚本:小林啓一
原作:世紀末「殺さない彼と死なない彼女」(KADOKAWA 刊)
音楽:奥華子
主題歌:「はなびら」奥華子(PONY CANYON)
配給:KADOKAWA/ポニーキャニオン

©2019 映画『殺さない彼と死なない彼女』製作委員会

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