【詳細】映画『火花』桐谷健太インタビュー

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2017-12-06 17:42:00
300万人が笑って泣いた、アホで愛おしい青春物語!お笑いコンビ・ピースの又吉直樹の初純文学作品にして、<第153回芥川賞>受賞作「火花」をお笑い芸人であり、映画監督でもある板尾創路の手によって映画化。

主演はあの大人気CMで共演中の2人、若手No.1俳優・菅田将暉とテレビ・ドラマで大活躍の演技派俳優・桐谷健太が抜擢されたことでも話題の本作。さらに、主題歌にはビートたけしの名曲「浅草キッド」を菅田将暉と桐谷健太がカバーし、見事に歌い上げている。

そんな注目作で、強い信念を持ち徳永の師匠となる先輩芸人【神谷】を演じた【桐谷健太】に独占インタビュー!相方・三浦との代々木公演での漫才練習秘話、徳永を演じた菅田将暉との仲や、主題歌「浅草キッド」について、さらには、10代の頃に目立つためにしていたいうファッションについてなど、作品、自身が演じた神谷、桐谷健太の魅力も余すことなくたっぷりお届け!
Q.又吉さんが書かれた原作「火花」は読まれましたか?

桐谷健太(以下:桐谷):「もちろんです!」

Q.どんな印象を持ちましたか?

桐谷:「最初にめっちゃ仲のいい友達が、原作が出たばっかりの時に購入していて。その頃はもちろん映画化もドラマ化もされる前でしたが、読み終えたその友達に『健ちゃんこれ実写化になったら、神谷あるで!』って言って、本を貸してくれた作品だったので、今回お話しをいただいてすごく縁を感じました。原作を読んで、俺っぽいかは自分自身わからんかったんですけど、そうやって思ってくれんだって嬉しかったですね」


Q.それで、神谷役のオファーが来たってすごいですね!

桐谷:「嬉しかったです!縁を感じたし、友達に言えるっていう喜びもありました」

Q.そのご友人に神谷になると報告したらなんて言っていましたか?

桐谷:「『だから、言うたやーん!やっぱり』って言ってましたね(笑)」

Q.自分と神谷が似ているかわからないとおっしゃっていましたが、先ほど菅田さんに桐谷さんと神谷の似ているところを聞いたところ、桐谷さんが持っている地で面白い部分と、ヒーロー感がある所がどちらにもあるとおっしゃっていましたよ。

桐谷:「やっぱ、ええ子やな(笑)!

俺自身、原作を読んだ時に神谷はいろんな面を持った人間やなって感じたんです。いろんな人間の要素が入っているって印象で、1人の人間としてなかなか繋がりにくかったというか」

Q.そういう面では、演じる上で苦労したこともあったんですか?

桐谷:「そうですね。でも相方の三浦君が桐谷健太が思う面白いものや面白いことをやったら神谷になるって言ってくれて。その言葉が俺にとっては有難くて、じゃあ俺しかできない神谷をやらしてもらおう、それでいいんやってシンプルに考えることができたんです。

原作を読んでいてこれさんまさんが言いそうやなとか、この辺クーちゃんぽいなとか、神谷をいろんな芸人さんに重ねていたんですけど、それを全部やっていたらおかしなことだし、誰かを真似するっていうのは違うなって思っていた中で、「俺が感じたままにやればそれが神谷になる」って三浦君が言ってくれたのは、大きかったです」
Q.コンビ愛が感じられます。その言葉は漫才の練習中に言ってもらったんですか?

桐谷:「撮影前にしょっちゅう代々木公園とかカラオケに行って練習していたんですよ。その時に言ってくれたんです」

Q.代々木公園って人が集まったりしなかったんですか!?

桐谷:「そうそう!でも2月とか3月だからあんま人おらんからね(笑)」

Q.寒くなかったんですか?

桐谷:「寒かったですよ。風がビュンビュン言いながらやっていました(笑)」

Q.練習から本当に芸人さんに近いというか、演じているというか芸人になった感じですね。

桐谷:「ちゃんと芸人として生きないとなっていうのがあったので、漫才師の役だからちゃんと外で人前でやって、すべったり、ウケたりするのも全部経験して、セリフを言わないと、ただセリフがあるから言っているだけになるのはちゃうなって思ったので。徳永に対しても芸人ってこうやんなって言っているのも、ただセリフだから言っているより、ちゃんと自分が皮膚で感じて、やって言わないと血が通わないというか。その点では短い間でしたけど、無限大ホールでスタッフさんたちの前でやらしてもらったりとかもできたので、そこは良かったと思いますね」

Q.完成した映画を観ていかがでしたか?

桐谷:「2回観たんですが、1回目はまだ客観的に観れなくて。2回目観た時にいい映画やなって思いましたね。なんかこう、もう1回観たいなって思ったし、あのシーンもう一度、観返したいなって思える作品になっているなって感じました」

Q.多くの名言を生み出している神谷を演じられた桐谷さんですが、その中でも特にこの言葉は自分で喋っていてグッときたなという明言を1つあげるとしたらなんですか?

桐谷:「やっぱり最後の『舞台に立った人間はみんな必要やった。何をやってても芸人に引退はないねん』っていう言葉ですね。この言葉にはこの『火花』っていう題名となんか通じるものがあるなって思っていて、又吉さんがどういう意図でこの題名を付けたかは分からないですが、火花ってチカって一瞬光って終わるイメージがあって、でっかい花火でもそこから始まっているというか。火花で終わってしまうのか、でっかい花火になるのかは分からないけど、でもみんなそこから始まっていて、だから誰一人無駄じゃないというか。チカって終わっても、本人がやり切ったって思っていればそれは幸せなことやし。だから、神谷が『誰一人無駄じゃないねん』って言ってるところは、すごくかっこいいなって思いました。

神谷もこれを言いながら、まだ芸人をやっていくんやなって想像させてくれた言葉でもあるし。徳永は諦める才能があったというか、芸人を辞めることによって大きい花を咲かせるかもしれないし。神谷は諦めない才能があるといか。このままずっとやってたら、時代が追い付くんじゃないかって、そういうのも感じられたからあの最後のシーンは好きですね」
Q.菅田さんと共演されて、いかがでしたか?

桐谷:「CMで共演する4、5年前にも売れないロッカーが学校の先生になるっていうドラマ「Y・O・Uやまびこ音楽同好会」で、先生役と生徒役で一緒だったんですよ。

その時からもう普通に喋っていたというか、向こうも気を使わずに、今みたいな空気感で喋っていて、確か将暉が20歳くらいで、その時からちゃんした子やなって印象でしたね。俺が20歳くらいの時はこんなちゃうかったなって」

Q.桐谷さんはどんな20歳だったんですか?

桐谷:「俺はめちゃくちゃだったんで、ちゃんと仕事ができるっていう状態じゃなかったっていうか。敬語なんて使えなかったし、21、2歳でも使えなかったというか使い方が分からなかったですね。でも、将暉は20歳でもしっかりしてましたね」

Q.徳永役が、その信頼できる菅田さんだったことで、劇中でも生かされている部分もあるんですね

桐谷:「そうですね。今みたいな将暉との間柄があったから神谷と徳永の関係性も築けたというか。

2人でいるところとかは、どこまでがアドリブで、どこからが台本なのか分からないくらいにアドリブも多かったですし、板尾監督も「じゃあよろしく!自由に喋って」みたい感じで言ってくださるから、アドリブで自然体でやれましたね」
Q.2人とも大阪出身だからこそ、神谷と徳永の関係をナチュラル演じられたんですね

桐谷:「まさに今回、セリフが大阪弁やったから、普段待ち時間に俺がボケたら将暉がツッコむっていういつもの風景を、いうたら神谷風、徳永風にした感じでしたね。

でもそれはすごく大事なことだなって思っていて、全く自分の中にない役でやるのも大事やけど、自分の中から出せる喜びというか。だからこそ生っぽさが出るというか。今回はその生っぽさが大事な作品やと思うんですよ。

別に観客に向けて笑いをとるんじゃなくて、2人だけで楽しんでいる感じ。そういうのって日常にあるじゃないですか。それは、なかなか台本だけじゃ描けないし、その時、一瞬一瞬に出た言葉だからリアルに映し出せたと思います」

Q.観ていて何気ない日常を観ている感じが伝わってきたので、今の話を聞いて納得しました。本物のお笑い芸人さんの日常を観ているような、ドキュメンタリーを観ているような感覚でした

桐谷:「そうなんですよ。これコメディー映画じゃないので、それが一番大事にしたかったですね。神谷も徳永もキャラクターにはしたくなかったんで、映画の中だけの人物じゃなくて、今も神谷と徳永どっかにおるんじゃないかなって。吉祥寺のどっかで呑んでるんじゃないかって、そういう風に感じてほしかったんです」

Q.今回、主題歌としてビートたけしさんの名曲「浅草キッド」を菅田さんと2人でカバーしたということで、実際にレコーディングしてみて歌っていかがでしたか?

桐谷:「向き合って歌うことが初めてやったから、面白かったです。やっぱり、最初は照れくさかったけど、やっていくうちにお互いの中で、もっとこうしようかとか生まれてくるものもあって。あとはなによりビートたけしさんのあの歌を歌えたのも光栄でした。

板尾監督の中でも歌を含め演出というか。それで「火花」が完成するって想いがあったみたいで。俺が1回目観た時はエンドロールも歌も入っていない状態で、2回目に入っているものを観れたので、歌があるだけで感じ方が違いましたね。あの終わって暗転して神谷と徳永が歌っている感じ、切ない感じも増しました。

それに、「浅草キッド」って言っているくらいやから、関東の芸人さんの歌じゃないですか。でも俺たちは関西の芸人やから、関東の芸人さんの歌を関西の芸人が歌うってことで凄い作品に広がりが出たというか。それも含めて板尾監督の演出やったんやなって思うと、グッときました」

Q.劇中で神谷は「リアルマッコイズ」などデニムにスカジャンなどアメカジ系のファッションを着られていますが、桐谷さんは普段、神谷のようなアメカジ系は着られますか?

桐谷:「あんまり着ないですね。俺は、どっちかっていうと、最近はキレイめというか、シャツにコートをサッと羽織るみたいなのが多いですね。

でも今回、こういう衣装を着て、なんぼでも動けるし、これはこれでええなって思いました!」

Q.では今後、私服として取り入れていきたいですか?

桐谷:「実は、撮影前からこの衣装を着まくっていたんですよ!ジーパンの当たりを出したり、体に馴染ませるために。その間、すごく居心地よかったです。いろんなこと気にせんでいいし、将暉にも『その格好ホンマいいですよ』って言ってもらえたし(笑)」

Q.SGSは原宿系ファッションの子たちがたくさん出ているサイトなんですが、原宿系ファッションはどうですか?

桐谷:「全然やりたい格好やったらええと思いますよ!俺も高校の時そんなんやったから。俺の場合は、ファッションというよりは目立っていたらいいって思っていて、モード系のスカート履いたりしてましたね」

Q.男の子もファッションとしてスカートを履くことが流行っています。桐谷さんはそんな前から流行を先取りしてたんですね!

桐谷:「もうだから、卓矢エンジェルっていう和服のブランドがあったんですよ。それと同時期くらいにヴィーゲっていう黒い独特な店があったんですけど、それとか着て、高校の時は黒づくめなファッションもしてましたね。かなり好き勝手な格好をしていたんで、今歩いてたら、もうホンマ引くなくらいの(笑)

学校でも目立つために、シースルーのシャツを素肌の上から着て、乳首丸出しで行ったましたしね」

Q.ファッションを自由に楽しんでいたんですね。格好いいです!!

桐谷:「格好いいかわからないですけど(笑)。そういう事をしてたんですよね。俺はファッションとして、プラス目立ったろうみたいな気持ちもあって。

自分をアピールする場所とかってなかなかないじゃないですか。例えばスポーツマンとか、サッカー部とかやったらサッカーで上手いとこみせたりとかできるけど、そういうのがないから、やっぱりファッションで魅せるっていうことはすごくおっきなわかりやすい、自己主張じゃないですか。

だからそれはいっぱいやっていいんじゃないかなって思います。ファッションは、年齢と共に変わっていくものでもあると思うし、やりたい時にやっておかんとモヤモヤが残るというか。だから、俺はその時に好きなファッションをやってきたし、それこそ20代の時はジーパンにトレーナーみたいな感じのファッションもしてました」
Q.じゃあ10代の時はどちらかっていうと原宿系のファッションをされていたんですね。

桐谷:「原宿系っていうか、どこにもおらんみたいな格好ですかね(笑)」

Q.今もすごくオシャレな子たちは洋服じゃないものをカスタマイズして洋服にして独自のファッションを楽しんでいたりしますよ。

桐谷:「俺も、おかんの花柄のピチーっとしたトップスとかこれいいやんって着てたなー。それにボンタンみたいなズボンを合わせて。

『おかんとかの服でいいやん!』って思って着ること多かったですね。今はしないから、あの時やれて良かったと思ってます」

Q. 最後に、本作の見所や読者の皆さんへメッセージをお願いします。

桐谷:「芸人さんを題材にした話やけど、それ以外に何か必死になったりとか、夢を追いかけている人にも、やっぱり通じるところがあるというか、共感できる部分もたくさんあると思います。すごく素敵な青春映画になっていると思うので、ぜひ一人でも、デートでも、家族でも観てください。観終わって映画館を出る時には切ないけどいい気分になれる、そんな映画になっているんやないかなって思います!」
[プロフィール]
桐谷健太
1980年2月4日生まれ
大阪府出身
主な映画作品に2010年『BECK』、2012年『アウトレイジ ビヨンド』『黄金を抱いて翔べ』、2015年『くちびるに歌を』『種まく旅人〜くにうみの郷〜』『GONINサーガ』『バクマン。』、2016年『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』、今年2017年には『彼らが本気で編むときは、』、『ビジランテ』に出演。

映画「火花」予告2


<ストーリー>
若手コンビ「スパークス」としてデビューするも、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永(菅田将暉)は、営業先の熱海の花火大会で先輩芸人・神谷(桐谷健太)と出会う。神谷は、「あほんだら」というコンビで常識の枠からはみ出た漫才を披露。それに魅了され、徳永は神谷に「弟子にしてください」と申し出る。神谷はそれを了承し、「俺の伝記を書いて欲しい」と頼む。その日から徳永は神谷との日々をノートに書き綴ることに。

その後徳永は、拠点を大阪から東京に移した神谷と再会。毎日のように芸の議論を交わし、神谷の同棲相手である真樹(木村文乃)とも仲良くなり、仕事はほぼないが才能を磨き合う充実した日々を送るように。
しかし、いつしか2人の間にわずかな意識の違いが生まれ始める―。

映画概要


【火花】
11月23日(木・祝) 全国東宝系にてロードショー!
出演:菅田将暉、桐谷健太、ほか
監督:板尾創路
脚本:板尾創路、豊田利晃
原作:又吉直樹「火花」(文春文庫 刊)

[HP] 映画『火花』

Ⓒ2017『火花』製作委員会

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