【詳細】映画『君の忘れ方』坂東龍汰&西野七瀬 Wインタビュー

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2025-01-17 20:00:00
映画単独初主演となる坂東⿓汰、共演に⻄野七瀬が出演する映画『君の忘れ⽅』が全国公開中。

映画『君の忘れ⽅』は、“死別の悲しみとどう向き合うか”をテーマに、恋⼈を亡くした⻘年が、悲しみの状態にある⼈に寄り添う「グリーフケア」と出会い、⾃らと向き合う姿を描いたヒューマンドラマ。

本作で初めての映画単独主演を務めるのは、若⼿実⼒派俳優として振り幅の⼤きい演技で存在感を発揮している坂東⿓汰。映画、ドラマ、CM、舞台と⼋⾯六臂の活躍をみせる⻄野七瀬がヒロインを演じる。監督・脚本は、国際映画祭で数々の賞を受賞し、第79回ヴェネチア国際映画祭「VENICE IMMERSIVE」部⾨の正式招待を果たしたVR アニメーション『Thank you for sharing your world』のほか、映画『光を追いかけて』『アライブフーン』の脚本を担当した作道 雄。⼈との繋がりやコミュニケーションにより、“孤独な⽇々”から抜け出すヒントが得られる感動のヒューマンドラマを繊細に紡ぎ出した。

今回本作で、結婚を間近に控えていた⻘年・昴(すばる)を演じた【坂東⿓汰】と、昴の恋⼈で、事故で突然亡くなってしまう美紀を演じた【⻄野七瀬】を直撃!ご自身の役柄について聞いた時の心境や、お互いの印象、「グリーフケア」に対して感じたこと、悲しみとの向き合い方のほか、SGS読者に向けた映画の見どころや、10代のうちにやっておいたほうがいいことについてもたっぷりと語ってくれた!
Q.作道監督からのオファーで出演が決まったそうですが、ご自身の役柄について聞いた時、どのような印象を持ちましたか?

坂東龍汰(以下、坂東):脚本を読ませていただいて、今までに読んだことのない本だと感じました。楽しみでもあったのですが、このテーマで初の単独主演ということで、同時にプレッシャーや責任を感じたのを覚えています。

Q.西野さんと共演すると聞いて、いかがでしたか?

坂東:喋らない役で、すごく難しい役なので、「美紀役、誰になるんだろう」と思っていました。「西野さんとかかな?」と想像したりしていたこともあり、マネージャーさんから「西野七瀬さんに決まりました」と連絡があって、「本当ですか!?」と。本当にぴったりだな、ご一緒できて嬉しいなと思いました。
Q.西野さんは、今回の役柄についてどう思いましたか?

西野七瀬(以下、西野):幻影として出てくるシーンがほとんどで、私にとって初めてのことでワクワクもするし、作品全体の構成も面白いなと思いました。ほとんど私の声をお客さんに聞かせないところが面白いと思ったので、ぜひお力添えできたらと思いました。

坂東:監督からお手紙をいただきましたよね。

西野:長文のお手紙をいただいて「美紀は西野さんしかいないです」と書かれていて嬉しかったです。「儚い」と言われることもあるので、今回の幻影の雰囲気と相性が良かったのかなと思います。

Q.坂東さんに対しては、どのような印象をお持ちでしたか?

西野:今回初めましてだったのですが、私はあまり「こういう人かな」と考えずに、まずはお会いしてみるタイプなので、現場でお会いして犬のような人懐っこい感じがあるように見えていました。

坂東:いやいや、そんなことないですよ(笑)。

西野:陰と陽、どっちの要素も持ち合わせている方だなって。すごく人懐っこい一面もあるんだなと思いました。
Q.坂東さんは「撮影期間中、感情がコントロールできなくなった」とコメントされていますが、役と向き合う中でそういう感情になっていったのでしょうか?

坂東:そうですね。僕は客観的にいろんなことを組み立てていくというやり方で作品に対して向き合うのですが、今回はそれをやりすぎたが故に、怖くなってしまって。自分が実際に昴と同じことを経験できるわけではないし、想像の世界になってくるのが怖いなと思っていました。でも監督が「昴の主観になって、撮影していく中で目の前に起きたこと、感じたことを坂東くんなりに表現してくれれば、そこを切り取っていきたいし、それを見たい」と言ってくださったので、自分の中でいろいろ作っていくのでいっぱいいっぱいになって、煮詰まってしまっていた部分が、肩の荷が下りたというか、楽になりました。ですが、逆に主観になったが故に昴と同じ感情に自分も乗っかってしまって、コントロールできない時があったり、昴と一緒に自分も混乱してしまったりして。でも監督は「映画を作るってそういうことだよ。周りの大人たちが支えていくから、頼ってもいいし、混乱してもいい」と言ってくださったので、僕も躊躇なく混乱と向き合うことができました。
Q.今回この作品をやることで違うアプローチが1つ増えた、こういうやり方もあるんだという、発見があったのでしょうか?

坂東:そうですね。主演でないとできないことだと思います。スクリーンにずっと映っているし、すごく繊細で、余白のある映画なので。足し算だけじゃなくて、引き算をしたり、主観になって考えて迷って、みたいなのは、結果的に初めてのアプローチになりました。

Q.西野さんは今回喋らない役でしたが、やってみていかがでしたか?

西野:「難しそうかな」と思っていましたが、始まってみたらすぐに「大丈夫そう」と思えて。監督も任せてくださったので、幻影として心がないつもりで、私は引き算しまくりでした(笑)。

坂東:そうですよね。

西野:昴が話しかけてくれて、それに反応したくなるんですけど、そこは無で。かと言って表情まで無にしてしまうのもと思い、柔らかい時もあったり、そうじゃない時もあったり。そこはその時の昴が呼んでいる存在だから、一貫性がなくてもいいのかなと、思ったように演じていました。
Q.結婚式用の写真として、2人の思い出の写真が登場します。ワインを飲んだり、傘をさしたりしていましたが、どんな感じで撮影されたのでしょうか?

坂東:撮影が始まる前に、初めましての状態で丸1日時間を取って、10パターンくらい撮影しました。

西野:初めましてでしたが、いい意味で緊張感はなく。

坂東:傘をさして走っていくところとか「動きがある画もいいんじゃない?」みたいな感じになって、雨がちょうど降ってきたのでそれも利用して、傘をさして走りました。僕が自撮りして「青春!」とか言いながら(笑)。

西野:楽しそうな写真が撮れたほうが、切ないですよね。

Q.撮影中、「お互い助けられたな」と思った部分はありますか?

坂東:僕はめちゃめちゃ助けられました。存在に助けられていたというか、1人じゃないという気持ちでやれましたし、西野さんが(ロケ地の)飛騨に来てくれるまで、昴として幻影の美紀を呼ぶための訓練をしていました(笑)。西野さんが飛騨に来てくれた時、「美紀、来たー!」と思いました。
Q.本作で「グリーフケア」という単語が登場します。この映画に参加する以前から「グリーフケア」という単語をご存知でしたか?

坂東西野:知らなかったです。

Q.今回作品に参加するにあたって「グリーフケア」に対して知見が深まりましたか?

坂東:僕は、昴と一緒のタイミング、同じ感情で「グリーフケア」と出会いたかったので、事前にたくさん資料を読むことはしなかったです。今まで海外の映画などでああいう光景を見たことがあって、みんなの集まりみたいなイメージで捉えていたのですが、これが「グリーフケア」なのだと知って。今後人生を生きていく上で、悲しみや困難に直面した時に、自分がどういう選択を取るかの1つにはなりました。

西野:「グリーフケア」という場所があることで気持ちが楽になる方もいるし、きっと自分に合わないという方もいるんだろうなと考えました。

坂東:それぞれですよね。
Q.昴のように、悲しみや困難に直面するケースもあるかと思います。ご自身の中で、悲しみとの向き合い方や乗り越え方などはありますか?

西野:私はあまり引きずらないほうです。その日はへこむけど、寝たら自然と忘れてしまいます(笑)。「そういう時間も自分には必要だった」という考え方なので。自分から避けたり、無理に忘れようとかはあまりしないです。忘れられるから多分楽なんだろうな。

坂東:僕は引きずりますね(笑)。小さいことでも引きずってしまいます。例えば、友達とご飯を食べている中で、僕が余計なことを言ってしまって。相手はそれに対して嫌な顔もしてないし、「そんなこと言うなよ」と言われなかったけれど、次の日に思い出して自己嫌悪になって「最悪だ。あんなこと言っちゃって、絶対嫌な気持ちにさせてる」みたいに引きずったりとか。

西野:それは、相手に連絡したりする?「ごめんね」みたいに。

坂東:しません(笑)。でも「うわ、余計なことを言ったな」と勝手に気にしちゃう。相手が気にしているかはわからないですが。

西野:わかる!「ちょっと言い方ダメだな。もうちょっとこういう言い方をしたほうがよかったな」と思う時、ある。私、相手に言う。

坂東:言うんですね!「あの時、ごめんね」みたいに?

西野:「なんか変な言い方になっちゃってごめん」って。

坂東:言うんだ。素晴らしいです。僕はそういうのを引きずっちゃうんですよね。
Q.本作が初共演だそうですが、作品に入る前にお互いの作品や出演番組をチェックされていましたか?

坂東:僕は映画・ドラマ大好き、情報通の俳優仲間が結構いて、そこから情報収集するのですが、西野さんの名前が度々上がるんですよ。「これは絶対見た方がいい、素晴らしいから」と言われていて。「孤狼の血 LEVEL2」と「恋は光」、「 シン・仮面ライダー」。あとは「ケンシロウによろしく」とか。結構観てるな。

西野:嬉しい!

Q.西野さんの印象はいかがですか?

坂東:人見知りで、ツンツンしてるのかなって想像していたのですが・・・

西野:言われがち(笑)。

坂東:めちゃくちゃ人当たりが良くて、楽です。気を使わなくてよくて、女優さんのオーラをぶわーってしてこない感じが好きです。

西野:(笑)。
Q.SGSは10代から20代までの原宿系ファッションが好きな女の子たちが読者です。ご自身は振り返って、どんな10代を過ごしていましたか?

西野:どうだったんだろう?17歳でお仕事を始めて、その前までは部活とバイトをやっていて、普通に楽しく生きていて。お仕事を始めてから上京して、ホームシックになることもなく、自由を手に入れて喜んでいました(笑)。芸能界にすごく憧れていたわけではなかったので、未知の世界で、逆に楽しめていました。同世代の女の子たちの集団だったので、みんなと楽しく過ごしていました。

坂東:僕は自我が芽生えて「あれやりたい、これやりたい」の日々でしたね。海外行きたい、留学に行きたい、アニメ作りたい、音楽祭で歌いたい、演劇やりたいとか。はっちゃかめっちゃか、やりたいことをとりあえずやり尽くして、高校の3年間が人生で1番忙しかったです。いろんなことを詰め込みすぎちゃって。

Q.「今は演劇の時間、今は絵を描く時間」などは、どうやって切り替えていたのですか?

坂東:切り替えてないです。1日を20分割ぐらいして、いろんなことを詰め込んで大忙しでした。
Q.「10代のうちにこれやっておいてよかった」「 これをやったほうがいいよ」などはありますか?

西野:今の子たちって充実してそうだなというイメージがあります。

坂東:わかる!

西野:「もっと写真を撮っておけばよかった」と思います。今の子、多分たくさん撮ってますよね(笑)。羨ましいな、と。

坂東:僕はSNSとかインターネットとか、情報から遮断されて育ったから、よかったこともあって。それを我慢するのはすごく苦しい瞬間もあったけど、情報過多の世界の中で、情報を遮断したときに見えてくる、自分の中から出てくる新しい発見みたいなものと出会ってほしいなと思います。環境を変えることによって、本来自分の周りしか見えてなかったけれど、もっと深いところで、10代のうちにやりたいことだったり、出会うべきものと出会えたりするのかなと思うので、例えば留学など海外に行ってみるとか、すごくおすすめします。
Q.昴は美紀の存在に依存していますが、ご自身が「これがあるから立ち直れる」「 これをやれば立ち直れる」みたいなものってありますか?

西野:私はあまり何かに頼らなくても、自然と流れていけるほうだと思います。なんなら困難に対しても「来い、来い」と思っていた時期もあったので。

坂東:めっちゃ忙しい時期もありましたよね。「今何してるんだろう?」「どこにいるんだろう?」みたいな。そういう時、どうしていましたか?

西野:そういう時は何も考えてない(笑)。忙しすぎて自分があまりなかった時期もあったけど、今は余裕があるので。大変だった時期があったから、その土台があるおかげで今楽しく過ごせています。大変なことやマイナスなこともはねのけず、受け止める(笑)。受け止めて、どんどん積み上げていくといいのかなって思っています。

坂東:僕もそこまで行けるように頑張ります! 僕もやりたい仕事と今後も出会っていくために、今はがむしゃらに頑張る時期でもあると思います。ここを乗り越えたらいい未来が待っていると信じています(笑)。

西野:待ってる、待ってる!

坂東:先輩の言葉がじわーっときて、僕も頑張ろうと思いました。
Q.1月17日(金)に映画が公開されますが、2024年を振り返ってどんな1年だったと思いますか?

西野:私はほとんど舞台に出ていたので、逆に落ち着いていたというか。いろんな現場に行くわけではなく、1つのものに集中していたので、充実していたかな。刀を持って毎日戦って。グループを卒業して5年ぐらい経っていて、体力も全然なかったからつけ直して、だいぶアクティブな年になりました。稽古期間を入れると、約半年間はそのお仕事でした。坂東さんはその間、いろんな作品に出て、いろんな現場に行っていたんじゃない?

坂東:僕も舞台や初めての声優のお仕事をやって、すごく濃かった。駆け抜けました。

Q.最後に、10代から20代の読者に向けて、見どころを教えてください。

西野:若い子の感性、どうなんだろう?

坂東:みんな結構大人びてるかもしれないですね。スマホでいろいろ学べてしまうから。僕が10代だった時よりだいぶ大人びている。

西野:スマホでは多分感じられない感情が、この映画にあるんじゃないかな。今、動画を倍速で見ることもできて、素早く情報を得られるけど、こういうじっくりした映画もいいなって思ってもらいたいです。

坂東:TikTokなど、スピード感のある映像をスマホで見ることに慣れていると思いますが、映画館は没入できる空間が整えられています。非現実として、エンタメとして没入できる作品に仕上がっている、何かしら持って帰れる作品になっていると思うので、ぜひ映画館に足を運んでもらえたら嬉しいです。

ありがとうございました。

[プロフィール]

坂東龍汰
1997年5月24日、ニューヨーク生まれ、北海道育ち。2017年デビュー。『フタリノセカイ』(22/飯塚花笑監督)で映画初主演を務め、第32回日本映画批評家大賞の新人男優賞(南俊子賞)を受賞。主な出演作に映画『春に散る』(23/瀬々敬久監督)、『バカ塗りの娘』(23/鶴岡慧子監督)、『一月の声に歓びを刻め』(24/三島有紀子監督)、『若武者』 (24/二ノ宮隆太郎監督)、『シサム』(24/中尾浩之監督)、劇場アニメ『ふれる。』(24/長井龍雪監督)、ドラマ「RoOT / ルート」(24/TX)、「366日」(24/CX)、「ライオンの隠れ家」(24/TBS)、舞台「う蝕」(24/作:横山拓也・演出:瀬戸山美咲)などがある。
映画『雪の花 ―ともに在りて―』が1月24日(金)より公開予定、舞台「ベイジルタウンの女神」(25/作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)が5月より上演される。


西野七瀬
1994年5月25日生まれ、大阪府出身。2011年にアイドルグループ「乃木坂46」のメンバーとしてキャリアをスタート。18年にグループを卒業後、本格的に俳優として活動。ドラマ「あなたの番です」(19/NTV)での演技で注目を集め、その後も数々のドラマに出演。主な出演映画に、『あさひなぐ』(17/英勉監督)、『シン・仮面ライダー』(23/庵野秀明監督)、『ある閉ざされた雪の山荘で』(24/飯塚健監督)、『52ヘルツのクジラたち』(24/成島出監督)、『帰ってきたあぶない刑事』(24/原廣利監督)など。『孤狼の血 LEVEL2』(21/白石和彌監督)では日本アカデミー賞優秀助演女優賞と新人俳優賞を受賞し、『恋は光』(22/小林啓一監督)でヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。公開待機作にW主演を務める『少年と犬』(25/瀬々敬久監督)がある。

<ストーリー>

思い出し⽅がわかった時、君をちゃんと忘れることができる

森下昴は付き合って3年が経つ恋⼈・美紀との結婚を間近に控えていたが、ある⽇、彼⼥は交通事故で亡くなってしまう。⾔葉にならない苦悩と悲しみで茫然⾃失の⽇々を過ごす中、⺟・洋⼦に促され、久々に故郷の岐⾩へと帰省する。洋⼦もまた、不慮の事故で夫を亡くし、未だに⼼に傷を抱えていた。悲しみは癒えないと思っていたが、ある不思議な体験を通して、昴は美紀の死と向き合っていくように――。

本予告


映画概要


【君の忘れ方】
全国公開中
坂東龍汰
西野七瀬
円井わん 小久保寿人 森 優作 秋本奈緒美
津田寛治 岡田義徳 風間杜夫(友情出演)
南 果歩
監督・脚本:作道 雄
エンディング歌唱:坂本美雨
配給:ラビットハウス
2024/日本/カラー/16:9/5.1ch/107分
映倫区分:G

公式サイト:映画『君の忘れ方』
公式X:@kimiwasu_eiga
公式Instagram: @kimiwasu_eiga

©「君の忘れ方」製作委員会2024

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