【詳細】映画『ナミビアの砂漠』金子大地 インタビュー

Interviews 映画
2024-09-04 19:00:00
第77回カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞において、女性監督として最年少受賞に輝いた山中瑶子が監督・脚本、河合優実主演の『ナミビアの砂漠』が、いよいよ9月6日(金)より TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。

世の中も、人生も全部つまらない。やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている、21歳のカナ。優しいけど退屈なホンダから自信家で刺激的なハヤシに乗り換えて、新しい生活を始めてみたが、次第にカナは自分自身に追い詰められていく。もがき、ぶつかり、彼女は自分の居場所を見つけることができるのだろうか・・・?

監督は19歳という若さで『あみこ』を作り上げ、史上最年少でのベルリン国際映画祭出品を果たした若き天才・山中瑶子。主演はその『あみこ』を観て衝撃を受け、監督に「いつか出演したいです」と直接伝えに行ったという、河合優実。才能あふれる2人の夢のタッグが実現した本作は今年のカンヌ国際映画祭 監督週間でも絶賛され、国際映画批評家連盟賞を受賞。カンヌでのワールドプレミア、上海国際映画祭でのアジアプレミアを経て、いよいよ日本で公開となる。

河合演じる主人公・カナと徐々に関係を深めていく自信家のクリエイター、ハヤシを演じるのは、金子大地。また、カナと同棲し、身の回りの世話をやく恋人・ホンダを演じるのは、寛一郎。その他、カナを取り巻く面々として、新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりか、渋谷采郁らが出演。それぞれ印象深いキャラクターを演じ、本作を唯一無二の作品へと昇華させている。

今回、本作でハヤシを演じた【金子大地】を直撃!カナ役の河合とは『サマーフィルムにのって』(21)以来2度目の共演で、演じているうちに「カナに振り回されることに慣れてきた」という。カナとの壮絶なケンカシーンは、兄弟ゲンカをイメージして「来いよ、来いよ」という気持ちで演じるなど、河合との掛け合いで生まれていったシーンも多かったとのこと!その他、山中監督ならではの演出だと思った部分や、男性目線から見たカナの魅力、寛一郎が演じたホンダの印象、カンヌ映画祭に参加した感想についてもたっぷりと語ってくれた!
Q.カナを演じた河合優実さんの、生々しくてダイナミックな演技に圧倒されました。2度目の共演をされて、印象の変化はありましたか?

金子大地(以下、金子):僕が初めて河合さんと共演した時、河合さんはまだ10代で。そこから4年くらい経ちましたが、その頃から変わらずしっかりされていました。今回主演の河合さんにさらに引っ張ってもらった感じがすごくあり、いろんな面で支えてもらいました。心強かったです。

Q.山中瑶子監督は金子さんと同い年の27歳ですが、山中監督ならではの演出だと思った部分について教えてください。

金子:すごく自由度が高いというか、自分の好きなようにやらせてくださいました。ここはこういうシーンだと決めつけるのではなく、現場で起きたことを大切にしてくださるので、その場で一緒に作っている感じが役者として楽しかったですし、すごく素敵な監督だと思いました。
Q.今回演じたハヤシについて、どのような印象を持ちましたか?

金子:クリエイターの役で「いつか自分の脚本が大きなものになれば」という夢を見ているのですが、カナと出会ってだいぶ変わる役だと思って。寛一郎の演じたホンダもそうなのですが、カナに振り回されるというか、カナとの立場が映画を通してどんどん変わっていきます。作中、ハヤシが隠していた過去の秘密がカナに知られてしまうのですが、ちゃんと罪の意識も背負いながら生きている役かなと思います。繊細で優しい役だとは思うのですが、映画を通して観ていく中で、カナに振り回されることにどんどん慣れていってしまうというところがあり、そこが面白いと思います。

Q.「カナに振り回されることに慣れてきた」というのは、演じている最中にも感じましたか?

金子:感じましたね。河合さんがアドリブ演技でガンガン来てくれたので、僕自身なんとなく予想できました。ハヤシがカップ麺を食べていてカナに怒られるシーンの時に、僕の食べているカップ麺の箸をカナがポロッと落とすシーンがあるのですが、箸の次はカップ麺をこぼされるかもと思って、無意識にカップ麺をどかして話をするなど、本当に自然に出てきました。何をしでかすかわからないカナの本気度が伝わってきたので、それがハヤシとリンクしたな、と。ハヤシの気持ちがわかった気がしました。
Q.ハヤシは繊細な役で、心の機微を丁寧に表現するのが難しかったと思います。役を演じるうえで心掛けていたことについて教えてください。

金子:人間誰しも表と裏みたいなものがあって、裏の部分を一瞬でも見せられるか。あからさまに見せるわけではなく、人間の本質みたいなものを出すためには、自分の中から出てくる部分を大切にしていかないといけないなとも思ったのですが、そこまで深くは考えていなくて(笑)。

Q.河合さんとの掛け合いで生まれていったシーンが多かったのでしょうか?

金子:そうですね。カナとハヤシがケンカするシーンは、重くなりすぎないように意識しました。ハヤシは人を許す心みたいなものを持っているから、重く見えないのかなと思って。ケンカのシーンってやはり滑稽というか、面白いじゃないですか(笑)。リハーサルの時からアクション部の方々が来て、動きを細かく打ち合わせして、河合さんともコミュニケーションを取りながらやりました。生々しい男女のケンカを表現するのはどうすればいいか入念にリハーサルして、ケガだけはないように、心がけてやりました。河合さんが本気で怒った目をしていたので、本当に怖かったです。
Q.金子さんご自身は、どういう気持ちでケンカのシーンを演じていたのでしょうか?

金子:演じている時はお互い、楽しんでやっていましたね。バカバカしいなと思いながらもそれに付き合うハヤシ、みたいな。僕も「来いよ」くらいの感じでいました(笑)。河合さんは本当に手加減なく蹴って来て、迫力のあるパンチが来て。痛くはないのですが(笑)。

Q.「来いよ」みたいな感じは、そういう演出だったのでしょうか?金子さんご自身がそういう気持ちになったのですか?

金子:カナを力でねじ伏せようと思ったら、ねじ伏せられるじゃないですか。ああいう感じでケンカするなら、ああいう怒り方のほうが面白いなと自分なりに考えて。「あ?」というよりも「来いよ、来いよ」というほうが、きっと観ている人は面白いんじゃないか。兄弟ゲンカを見ているでもないですが、僕は一人っ子で兄弟ゲンカが羨ましかったので、それを頭に入れてやってみようと。
Q.カナは男性目線で見て、どんなところが魅力的ですか?

金子:すべてが魅力的だと僕は思います。本当に厄介だし振り回されるし情緒が不安定なのですが、それでも河合さんが演じることによってすごくキュートに見えて。カナの姿を見て、これは私だと思う方がいるんじゃないかと思うような役でした。

Q.山中監督は、金子さんに対して「かなり野生的に芝居をする方」「さっきの演技、良かったから同じことをもう一回やって、と言ったが、やったことを覚えていなくてできなかった。それがすごく良かった」とコメントしています。監督のコメントについてどう思いましたか?

金子:自覚はまったくなかったです。ちゃんと自分で考えてやっているつもりだったのですが、監督がいいと思うポイントが細かすぎて気づかなくて、自分ではわからなかったですね。どうやって演じているかとか。監督がいて、現場でその時に起こることを大切にして、それを切り取ってくださるカメラマンさんがいて、映画って成り立つものだから、何割かは委ねることも大切なのかなと思います。
Q.初めて完成した作品を観た時に、どう感じましたか?

金子:面白い映画だなと素直に思ったのと、これを僕と同い年の監督が作っていることにビックリしました。山中さんと僕と寛一郎は同い年で、若い世代で製作したのですが、山中さんは本当に大胆な監督だと思います。バッサリ行くところはバッサリ行くので、観たことのない映画を観た気持ちになります。きっとこれからどんどん日本映画も進化していくんだろうな、どんどん大胆にやってほしいなと思います。

Q.カメラワークが独特で、箱庭の植物から山のシーンにつながったり、回るシーンから回るシーンにつながったり、印象的な演出だと思いました。

金子:カメラマンの米倉さんと山中さんのタッグによって生まれたカット割り、シーンになっていて、やはり見事だと思います。シーンとシーン、カットとカットがどういうふうにつながるか、演じていてわからないじゃないですか。試写会で完成した映像を観て「すごい」と思いました。
Q.SGSは10代から20代までの原宿系ファッションが好きな女の子が読者です。今日の衣装はどんなイメージで選んだのでしょうか?

金子:ナミビアの砂漠をイメージして。ジャケットの柄が絨毯っぽいのがポイントですね(笑)。

Q.「今気にしていることは、3年後には思い出すこともない」といった台詞も登場します。金子さんご自身は、嫌なことがあっても何年か経ったらすっかり忘れて切り替えられて いると思いますか?

金子:そうですね。嫌なことは時間が解決するんじゃないかと思います。忘れてしまっているだけなのか、時々思い出してうっとなることもありますが。
Q.ホンダは女の子に尽くして世話を焼くタイプですが、そういう男性についてどう思いますか?

金子:めちゃくちゃ素敵だと思います。ハヤシって冷たい部分、ドライな部分もありますよね。ホンダはやはりそれでいうと、すごく優しいなと思います。ちょっと女々しいところもありますが。
Q.カンヌ映画祭に参加されて、観客の反応を直に受けたり、カンヌの街を歩いたりされていかがでしたか?

金子:僕は完全に浮かれていました(笑)。なにこの素敵な映画祭、と。街全体がお祭り騒ぎで、きっとあの人は俳優さんだろうな、みたいなタキシードを着た方が歩いていて。本当にモチベーションが上がりました。もっともっと頑張ろうと思えましたし、日本の作品が海外の方にも楽しんでもらえるんだと自信になりました。縁のある河合さん、一緒にやってきた仲間である寛一郎、そしてずっとご一緒したかった山中さんと世界の舞台に立つことができて、本当に恵まれているなと感動しました。

ありがとうございました。


▼▼ [プレゼントの応募はコチラ] ▼▼

[プロフィール]
金子大地
1996年生まれ、北海道出身。「アミューズオーディションフェス2014」にて俳優・モデル部門を受賞しデビュー。以降、映画・ドラマ・CMに多数出演。2018年には、ドラマ「おっさんずラブ」(EX)で人気沸騰。2019年、ドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る。」(NHK)で初主演を果たし、一躍脚光を浴びる。主な出演作に、『逆光の頃』(17)、『ナラタージュ』(17)、『家族のは
なし』(18)、『殺さない彼と死なない彼女』(19)、『猿楽町で会いましょう』(20)、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(21)、河合優実との初共演を果たした『サマーフィルムにのって』(21)、『手』(22)などがある。近年の出演作は、映画では『モダンかアナーキー』(23)、『Winny』(23)、『52ヘルツのクジラたち』(24)、ドラマではNetflixの「サンクチュアリ -聖域-」(23)など。

ストーリー

いじわるで、嘘つきで、暴力的。そんな彼女に誰もが夢中になる!

世の中も、人生も全部つまらない。やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている、21歳のカナ。
優しいけど退屈なホンダから自信家で刺激的なハヤシに乗り換えて、新しい生活を始めてみたが、次第にカナは自分自身に追い詰められていく。もがき、ぶつかり、彼女は自分の居場所を見つけることができるのだろうか・・・?

本予告


映画概要


【ナミビアの砂漠】
9月6日(金)TOHO シネマズ 日比谷 他 全国ロードショー
脚本・監督:山中瑶子
出演:河合優実
金子大地 寛一郎
新谷ゆづみ 中島歩 唐田えりか
渋谷采郁 澁谷麻美 倉田萌衣 伊島空
堀部圭亮 渡辺真起子
製作:『ナミビアの砂漠』製作委員会
企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ

公式サイト:映画『ナミビアの砂漠』
公式X:@namibia_movie
公式Instagram: @namibia_movie

©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

この記事の関連キーワード

映画

以下のハッシュタグを付けてツイッターに投稿すると、その投稿内容が自動で抽出されこちらのページに表示されるようになります。

Tweet - 0

Tweet Loading

Related News

News Categories

News Search

Coming Up