【詳細】舞台『無駄な抵抗』穂志もえか インタビュー

Interviews 期間限定
2023-08-21 18:00:00
撮影:伊藤大介(SIGNO)

無駄な抵抗はやめろ、と誰かが言う。
私の気持ちを挫こうとして。
抵抗は、やめない。まだ無駄と決まったわけじゃない。

目に見えないものと人間との関係、日常と非日常、現代と未来と過去―――
これまでも独創的な観点から、あらゆる空間や時間を自在に描き出し、日常と地続きにある不思議な世界を立ち上げてきた前川知大。
その前川と世田谷パブリックシアターが4年ぶりにタッグを組み、新作を上演。

前川が初めて世田谷パブリックシアターとタッグを組んだのは2009年。小泉八雲の怪奇文学作品集「怪談」の短編をもとに、“語り物”の手法を取り入れて構成した『奇ッ怪〜小泉八雲から聞いた話』を上演し、前川は第44回紀伊國屋演劇賞個人賞、第60回芸術選奨新人賞を受賞した。続く2011年には、能狂言から着想を得た『現代能楽集Ⅵ 奇ッ怪 其ノ弐』で現実と夢幻が交錯する世界を現出させ、第19回読売演劇大賞の大賞および最優秀演出家賞を受賞。2016年には岩手県遠野地方に伝わる逸話・伝承を記した柳田国男の説話をモチーフにした『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』を、2019年には古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」を原典にしたSF作品『終わりのない』を上演し、『遠野物語』で読売演劇大賞大賞・最優秀スタッフ賞を、『終わりのない』で文化庁芸術祭賞新人賞を受賞した。

作品のモチーフは、近代日本の説話から、能・狂言、古代ギリシャの叙事詩、宇宙と、作品を追うごとに多岐に渡るが、日常と地続きに描かれるリアルさは変わらず、前川の真骨頂が発揮されている。

前川知大×世田谷パブリックシアター5作目のタッグのテーマは、ギリシャ悲劇の大テーマでもある「運命」そして「自由意志」。
“運命と感じるのはいつも全てが終わった後で、私には知らない自由もあったのだ。”
「運命」とは。「自由」とは。

今回、本作に出演する【穂志もえか】を直撃!古代ギリシャ悲劇を源泉とした「運命」と「自由意志」をテーマにした新作へのイメージや、普段役作りのために準備していることのほか、ファンから言われて嬉しかった言葉や、仕事の合間に息抜きとしてやっていること、女子大生時代を振り返ってみてなど、気になる素顔が垣間見えるお話も盛りだくさん♪
Q.初の舞台出演が決まった時、どのようなお気持ちでしたか?

穂志もえか(以下、穂志):実は1年以上前から舞台をやってみたい、挑戦してみたいと強く思っていたので、本当に嬉しかったです。ファンといっても過言ではない前川知大さんの作品に出演できるということで「やったー」という気持ちでした(笑)。

Q.家族や友達には何と言われましたか?

穂志:「本当によかったじゃん!絶対、観に行く!」と言ってくれました。

Q.古代ギリシャ悲劇を源泉とした「運命」と「自由意志」をテーマにした新作に、どのようなイメージがありますか?

穂志:ギリシャ悲劇をモチーフにしていて「運命には抗えないのだろうか、我々は決まった道を歩くしかないのだろうか」といったことがテーマです。ギリシャ悲劇と聞くと難しそうだと思うのですが、「運命」や、そういった言葉に落とし込むと、誰もが共感できるのではないか、と思います。今まで自分が通り過ぎてきたことも全部「運命」だったとも言えます。例えば、通っていた学校のことも、人との出会いも。一見難しそうだけど、意外とみんなにとって馴染みのあるものかも知れないです。まだ台本をいただいていないのですが(※取材時)、前川さんがどのようにそのテーマに落とし込んでいくかが、すごく楽しみです。

Q.共演者の方とどのような舞台を作っていきたいですか?

穂志:舞台に関しては本当にわからないことだらけなので、みなさんの姿をたくさん見て吸収したいし、いろんなことを積極的に質問して勉強していきたいです。私のお芝居そのものが未熟なので、たくさん注意されてしまうかな、と思います(笑)。

ポスタービジュアルの撮影の際に池谷のぶえさんとご挨拶して、私が「わー!池谷さんご本人だ!」と感激してしまったのですが、本当に温かく受け入れてくださって。第一印象で優しい方だと感じました。安井順平さんは過去に映画で共演していて、すごく優しい方なので、きっとみなさん優しい人たちなんだろうな。と、思いつつも、いつも客席から観ていた方達との共演なので、やっぱりドキドキもしています。稽古は9月末から始まるのですが、みなさんと舞台を作り上げることが本当に楽しみです。

Q.役にアプローチするために工夫していることや大切にしていること、役作りとして準備していることについて教えてください。

穂志:台本をいただいた後、その役の人物が台本に書いてないところではどういうふうに過ごしているか、今までどういう人生を歩んできたか、というところをめちゃくちゃ埋めるようにしています。たくさん役の情報を集めています。

例えば薬剤師の役だったら、薬学部の人に話を聞いたり、薬学の本を読んだりします。役の人物が学んできたことを何も知らないで臨むというのは怖いので、薬学部6年間の学習を絶対に得ることはできないけれど(笑)、薬剤師という職業に必要最低限のリスペクトを込めています。役の人物の幼少期の歴史や、どういうバックボーンがあるかについては、共通認識として監督と話し合っています。
Q.観客の反応がダイレクトに伝わってくるのが舞台の魅力です。穂志さんが今までファンの方に言われて嬉しかった言葉、励みになったことはありますか?

穂志:「俳優はプライベートを明かさない方がいい、発信する言葉は少ない方がいい」という意見もありますが、私は言葉で表現したいな、という思いがあります。先日「もえかちゃんのお芝居や普段の姿勢、言葉にいつも勇気をもらっています」と言われて、嬉しかったです。

Q.InstagramやX(旧Twitter)などのSNSをご自身で更新されていますが、プライベートの部分もみんなに知ってほしいという思いからでしょうか?

穂志:何といったらいいんですかね?枠に収まるのが苦手で(笑)。「俳優にはプライベートを見せないでほしい」という意見もありますが、それが行き過ぎると、表に出る人たちが息苦しくなってしまう。「俳優である前に一人の人間である」と思っているのですが、時々その人間の部分が忘れさられてしまっているような気がしていて。感情を吐露すると、フォロワーさんたちから「穂志さんも同じなんだ、一人じゃないんだと思えて救いになった」という言葉をいただけます。SNSで言葉を発信することでしか繋がれない部分もあるのかな、と思います。

お芝居と一緒で、何か言ったら反応が返ってくるんですよね。「これは伝えたい」と思うことがもしあれば、いつも伝えるようにしています。賛否両論ある内容も、あえて勇気を出して発信することもあります。

Q.普段お仕事の合間に息抜きとしてやっていることについて教えてください。

穂志:最近簡単な料理をしています。音楽をかけながら料理して、できあがったものを摂取する。外で買うと何が入っているかわからないけど、自分で作ると何を使ったかが目に見える。おのずと体調もよくなっていて。いい息抜きを見つけたと思っています。

あとはピアノを息抜きにすることもあるし、弾いてみたい曲もあるので、稽古中とても忙しいと思うのですが、ピアノや音楽に頼るかも知れないです。

Q.SGSには女子大生の読者もたくさんいますが、ご自身は振り返ってみてどんな女子大生でしたか?

穂志:痛い女子大生だったと思います(笑)。友達はいましたが、どこか浮いているのをいいことに、あえて浮いたまま生活していました(笑)。アルバイトも続かなくて転々としていましたが、今こうして生活できているので、大丈夫だと思います。「自分はダメ人間だ」と思っている子がいたら「大丈夫だよ」と言いたいです(笑)。

Q.「無駄な抵抗」というタイトルにはどのようなイメージがありますか?

穂志:「無駄」って何だろう? 料理など時短のために、同時進行できることはやってしまうとか、出かける前にバタバタしないように準備を早めにしておくなどしていますが、「無駄」も好きです。「無駄」も楽しいなと思います(笑)。

Q.穂志さんと同世代の読者に向けて、メッセージをお願いします。

穂志:推しの俳優が出演するから舞台を観に行く、というのはよくあると思うのですが、そういうきっかけがない子たちにもぜひ、思い切って勇気を出して、劇場に足を運んでみてほしいです。絶対に演劇でしか得られないものが、観劇することでしか得られないものがあります。前川さんの作品は、きっと今までにない感覚や感情を経験できると思います。ぜひ友達と一緒に観に来てくれたら嬉しいです。

ありがとうございました。


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[プロフィール]
穂志もえか
1995年生まれ、千葉県出身。2016年「ミスiD2016」グランプリを獲得。主な出演作は、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」「グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ」「100 万回 言えばよかった」「こっち向いてよ向井くん」、映画「少女邂逅」「花束みたいな恋をした」「街の上で」「窓辺にて」「生きててごめんなさい」など。
2022年にはアメリカテレビシリーズ「SHOGUN」出演のため約8か月間カナダで撮影に臨んだ。今回が初舞台となる。
撮影:伊藤大介(SIGNO)

舞台概要


【無駄な抵抗】
日程:2023年11月11日(土)~11月26日(日)
会場:世田谷パブリックシアター
作・演出:前川知大
出演:池谷のぶえ 渡邊圭祐 安井順平 浜田信也/
穂志もえか 清水葉月 盛隆二 森下創 大窪人衛/
松雪泰子
チケット料金:全席指定
[一般] S席(1階席・2階席) 8,500円(税込)、A席(3階席) 5,500円(税込)
[高校生以下] S席(1階席・2階席) 4,250円(税込)、A席(3階席) 2,750円(税込)
※劇場友の会、アーツカード、U24割引あり ※託児サービスあり ※車椅子スペース取扱あり

チケット取扱い:世田谷パブリックシアターチケットセンター
03-5432-1515(電話・窓口 10:00~19:00 発売初日は電話のみ)
世田谷パブリックシアターオンラインチケット:https://setagaya-pt.jp/(要事前登録・24時間受付)
チケットぴあ/イープラス/ローソンチケット/カンフェティ にてチケット取扱いあり
チケット一般発売:2023年9月10日(日)
お問合せ:世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515 https://setagaya-pt.jp/
主催:公益財団法人せたがや文化財団
企画制作:世田谷パブリックシアター
制作協力:エッチビイ
後援:世田谷区

<兵庫公演>
日程:12月9日(土)15:00、12月10日(日)13:00
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
チケット料金:8.500円(全席指定・税込)
チケット一般発売:9月23日(土・祝)
チケット取扱い・お問合せ
芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255(10:00~17:00 月曜休/祝日の場合翌日)
https://www.gcenter-hyogo.jp
チケットぴあ/イープラス/ローソンチケット にてチケット取扱いあり
主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター

公式サイト:舞台『無駄な抵抗』
公式 X:@muda_na_teikou

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