映画『火花』菅田将暉インタビュー

特集インタビュー
2017年11月22日 17時51分 更新

300万人が笑って泣いた、アホで愛おしい青春物語!お笑いコンビ・ピースの又吉直樹の初純文学作品にして、<第153回芥川賞>受賞作「火花」をお笑い芸人であり、映画監督でもある板尾創路の手によって映画化。

主演はあの大人気CMで共演中の2人、若手No.1俳優・菅田将暉とテレビ・ドラマで大活躍の演技派俳優・桐谷健太が抜擢されたことでも話題の本作。さらに、主題歌にはビートたけしの名曲「浅草キッド」を菅田将暉と桐谷健太がカバーし、見事に歌い上げている。

漫才の世界に身を投じるも、結果を出せず底辺でくすぶっている青年【徳永】を演じた菅田将暉に、神谷を演じた桐谷健太の魅力や相方・川谷にかけてもらった言葉について、さらに主題歌「浅草キッド」に決定するまでの秘話などを、独占インタビュー!
Q.又吉さんが書かれた原作の火花は読まれましたか?

菅田将暉(以下:菅田):「読みました」

Q.どんな印象を持たれましたか?

菅田:「芸人さんに聞くと、いまさらそんなこと言うなよってくらいすごくあるあるで。納得する部分もありつつ、やっぱりそうなんやなって思う部分もありつつ。特に神谷さんから見えるものは現実にはもっといろいろあって、書けない部分もあるんやろうなって思いました。読んで改めて、大変やなお笑いって、すごいなお笑いってって思えた部分がありました」

Q.お笑いが好きだからこその芸人を演じる上で、プレッシャーはありましたか?

菅田:「凄く、ありましたね。芸人を演じるって、正直何から手を付けたらいいのか分からなくて。相方の修士さんと、スパークスとして漫才をただただ稽古していくしかなかったです。漫才だから一人で役作りができるものでもないなって思っていたので、相方がいてこそ、お客さんがいてこそってところがありました」

Q.相方を演じられた川谷さんは現役のお笑い芸人ということで、アドバイスをもらったりはしましたか?

菅田:「いろんなことを、1から教えてくれました。ただ、台本はあるんですが一言言われたのは「お好きに」って自由にやっていいって言われました。実際に修士さんからノウハウみたいなことを教えてもらうことはほとんどなかったんですが、単純に僕の思う瞬間瞬間での面白い出来事とか。特に漫才中は好きにやっていいよって感じでした。その修士さんの言葉は有難かったです」

Q.参考にしたものは?

菅田:「お笑いが好きなので、過去に見てきたもの全てに影響を受けて、漫才にも出ているんじゃないかなって思います」桐谷さんについて

Q.桐谷さんと共演されて、いかがでしたか?

菅田:「桐谷さんが神谷さんで本当によかったなって思います!徳永は神谷に弟子入りをするんですが、僕も関西出身として分かるのが、『おもろい奴はかっこいい』ってこと。それを地でもってる人が僕にとって桐谷さんだったので、『うわ〜、この人かっこええな』って以前から思ってた人でもあったんです。それが神谷と重なるんですよね」

Q.なるほど。菅田さんからみて、桐谷さんと神谷の似ているところを具体的に上げるとしたら?

菅田:「似ているっていうとパーソナルな部分は違うんでしょうが、桐谷さんには“ヒーロー的な存在感”があるんです。単純に学校とかで一番目立っていたおもしろい奴って誰もが近くにいたと思うんですが、そういう天性のおもしろい奴の行き過ぎた象徴が神谷さんにはあると思うんです。その感じと根っこにある真面目な探求心がどこか桐谷さんと神谷がリンクする感じがあります」

Q.徳永にとっての神谷のように、菅田さんにとっての師匠のような存在の方はいますか?

菅田:「強いて言うなら映画「共喰い」でお世話になった青山真治監督です。役者として大きな影響を受けました。この映画も含めお芝居も含め、俳優部っていう部署の見方も含め、僕にとってまだ未知数だった時期に、やっぱりお芝居って面白いなっていう感覚と、何かを創り出す楽しさを一番教えていただきました」Q.演じてみて、徳永はどんな人物だと思いますか?

菅田:「実は僕もまだよく分かっていないんです(笑)。変な暗さと変な真面目さを持っているかと思えば、神谷さんみたいに自分が面白いと思うものはこれだって言える感性もちゃんと持っている人なんです。改めてどんな人間なのかと考えると、今回はあまり自分が演じる役がどんな人物か意識して演じなかったので、難しいですね」

Q.意識せずに最後まで演じられたってことは、どこか菅田さんの中に徳永に通じるものあったのでしょうか?

菅田:「そうですね。映画の中で十年の時が経っているっていうのもありますが、(徳永が)賢いなって思う部分は、表現の世界や漫才の世界においても、自分の面白いって思うものと、売れるためにどうしてもしなきゃあかんねんってもの、どちらも考えて、そして感じてやっていく姿勢ですね。そこは、演じながらもどこか胸が痛いというか、すごく共感したし、その感覚は僕が役者だからかもしれないですが、自身に共通するところはありました。

漫才のベースとなる部分に台本はあっても、それを僕が思ったままに表現する感じで、あまり役を作り込む感覚ではなかったです」

Q.芸人さんを演じるよりは芸人さんになる感覚の方が近いんですか?

菅田:「演じるって感覚はもちろんありましけど、映画の2時間という短い時間の中ですべてを伝えようとしたっていうよりかは、物語を伝えたってところがあります。『火花』の物語がなんやっていったら、この男たちの日常であったり、なんかやるせない思いであったり叶わないものであったり。そういった部分がすごく大事だと思うんです。そのほかは二の次って感じはしましたね」Q.その人間ドラマが芸人問わず観る人の日常にリンクする部分があるからこそひとつひとつの出来事に説得力を感じたんですね。もっと若いころに観ておきたかった作品でした。

菅田:「そうなっていれば嬉しいですね。なんで解散ライブであんなに叫んでんねんとか、思いながら観てほしいですね」

Q.解散ライブのシーンはもらい泣きしてしまいました。

菅田:「本当ですか。うれしいです。一回だけの通しで撮ったんですが、言葉が強い漫才だったのですごく印象に残っています」主題歌「浅草キッド」ビートたけしさんの名曲カバーについて

Q.ビートたけしさんの名曲「浅草キッド」での2人のデュエットも素敵でした。桐谷さんとデュエットされるというのは、どの段階で決まっていたのですか?

菅田:「撮影中にやりたいなって話はありました。でも、レコード会社の問題とか歌の権利の問題とかで、実際にやるってなったのは撮影が終わってからだったんですよ。歌えることが決定した時は、こんな栄誉なことはないなって一番に思いました。この歌には僕の知らない、いろんなものが詰まっていて、しかも東京の芸人さんの歌を関西人の俳優2人が歌うわけですからね。よく許可してもらえたなって、ほんと嬉しかったです」

Q.歌手活動もされているお2人ですが、今回はビートたけしさんの「浅草キッド」のカバーということで、どんなことを思いながら歌いましたか?

菅田:「歌っている最中も、神谷さんと言う師匠についていく弟子の徳永の距離感は意識してレコーディングをしました」Q. 最後に、本作の見所や読者の皆さんへメッセージをお願いします。

菅田:「最初、神谷さんが何を言っているかわからないと思います。でもきっと、特にものづくりをしている人は『火花』を観てから10年後くらいにガーンっと響くものがあると思うんですよ、絶対に。だから、その辺は難しく考えずに観てください。

撮影中、何で徳永たちはくだらない事して笑いあったり、ステージに立って人を笑わせたり、こんなことをやってんやろうなって考えていたんです。エンターテインメントって極論から言えば、生物学的には別になくても生きていけるものじゃないですか。

だけど、こうして存在しているってことはやっぱり“笑い”には意味があるんだろうなって。作品を通してその笑うことのパワーが伝わればいいなって思います。あとは単純に神谷さんを観てたくさん笑ってください!

もちろん芸人さんの話しではありますが、一つの青春群像劇として、世代問わず楽しめる作品になっていると思うので、ぜひ劇場でご覧ください!」[プロフィール]

菅田将暉
1993年2月21日生まれ
大阪府出身
主な映画作品は2016年、『ディストラクション・ベイビーズ』、『セトウツミ』、『何者』、『デスノート Light up the NEW world』、『溺れるナイフ』、2017年には『キセキ-あの日のソビト-』、『帝一の國』、『銀魂』、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(声の出演)、『あゝ、荒野 前篇/後篇』と出演が続いている。
Q.又吉さんが書かれた原作の火花は読まれましたか?…
桐谷さんについてQ.桐谷さんと共演されて、いかがで…
Q.演じてみて、徳永はどんな人物だと思いますか?菅…
Q.その人間ドラマが芸人問わず観る人の日常にリンク…
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Q. 最後に、本作の見所や読者の皆さんへメッセージを…
[プロフィール]菅田将暉1993年2月21日生まれ大阪府出…
<ストーリー>
若手コンビ「スパークス」としてデビューするも、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永(菅田将暉)は、営業先の熱海の花火大会で先輩芸人・神谷(桐谷健太)と出会う。神谷は、「あほんだら」というコンビで常識の枠からはみ出た漫才を披露。それに魅了され、徳永は神谷に「弟子にしてください」と申し出る。神谷はそれを了承し、「俺の伝記を書いて欲しい」と頼む。その日から徳永は神谷との日々をノートに書き綴ることに。

その後徳永は、拠点を大阪から東京に移した神谷と再会。毎日のように芸の議論を交わし、神谷の同棲相手である真樹(木村文乃)とも仲良くなり、仕事はほぼないが才能を磨き合う充実した日々を送るように。
しかし、いつしか2人の間にわずかな意識の違いが生まれ始める―。

映画概要
【火花】
11月23日(木・祝) 全国東宝系にてロードショー!
出演:菅田将暉、桐谷健太、ほか
監督:板尾創路
脚本:板尾創路、豊田利晃
原作:又吉直樹「火花」(文春文庫 刊)

[HP] 映画『火花』

Ⓒ2017『火花』製作委員会

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