映画『屋根裏のラジャー』鈴木梨央 インタビュー
特集インタビュー
2023年12月14日 10時00分
長編第一作『メアリと魔女の花』が150の国と地域で公開され、世界で鮮烈なデビューを飾ったスタジオポノック。その長編アニメーション最新作『屋根裏のラジャー』が、遂に2023年12月15日(金)に日本公開を迎える。イギリスの詩人・作家の A.F.ハロルドによる感動作「The Imaginary」を原作とし、誰にも見えない少年・ラジャーを主人公に、想像から生まれたイマジナリーフレンドたちによる現実と想像が交錯する世界で繰り広げられる大冒険を、スタジオポノックの圧倒的なアニメーションで描いた超大作がいよいよ今年の冬誕生!
声の出演者として、主人公・ラジャーに寺田心。ラジャーを生み出した少女・アマンダ役に鈴木梨央、アマンダの母・リジー役に安藤サクラ、イマジナリの少女・エミリ役に仲里依紗、謎に包まれたオーロラ役に杉咲花、猫のジンザン役に山田孝之、リジーの母・ダウンビートおばあちゃん役に高畑淳子、イマジナリの老犬役に寺尾聰、謎の男、ミスター・バンティング役にイッセー尾形。実力派俳優陣が、映画を一層盛りあげる!
今回、本作でラジャーを生み出した少女・アマンダを演じた【鈴木梨央】を直撃!スタジオポノック作品の魅力や、役作りのために行ったこと、想像力の大切さを感じた部分のほか、子どもの頃の思い出や、もし「イマジナリ」の友達がいたらやりたいこと、「これだけは誰にも負けない!」と自信のあるものについてもたっぷりと語ってくれた!
Q.出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
鈴木梨央(以下、鈴木):スタジオポノックさんの作品に参加して、その世界に入り込んで演じることができるんだ!と純粋に嬉しい気持ちでいっぱいになりました。2018年にも、ポノック短編劇場『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』に出演させていただいたので、今回また出演させていただけることが何よりも嬉しかったです。
Q.スタジオポノック作品の魅力について教えてください。
鈴木:キラキラしていて、それぞれのキャラクターに寄り添いたくなるような人物像や映像の中に本当に入り込みたくなるような景色など、その世界観が魅力的に描かれていると感じます。
Q.オーディションの前に、どのような準備をされましたか?
鈴木:資料をいただいて、見た目や年齢設定が自分よりも8~9歳下の役で自分と似ているところも多かったんですけど、よりアマンダに近づくために自分が小さい時に出演していた作品を観て声色やテンション感、気持ちの表現の仕方を研究しました。
Q.自分の過去の作品を参考にできるのは、すごいことですね。
鈴木:今とは違って、もう少し声のトーンが高かったり、言葉足らずな部分があったりしたので、純粋に驚き方や笑った時の表情などを、参考にしながら寄り添っていきました。
Q.「イマジナリ」の世界が舞台ですが、台本を読んでどのような感想を持ちましたか?
鈴木:小さい頃を思い出させてくれるような作品だな、と第一に感じて。例えばアマンダとラジャーの関係性だったり、ラジャーが新しく出会う「イマジナリ」の友達であったり、それぞれのキャラクターの人物像もそうですが、大人の方たちがこの作品を観ることによって、自分の小さかった頃の記憶であったり、小さなことでも喜んでいたピュアな気持ちを改めて思い出させてくれる作品だと感じました。自分自身も小さい頃は、ぬいぐるみを持ってお出かけしたり、小さなことですごく喜んだりしていましたが、年を重ねるにつれて、だんだんそれが落ち着いていったのを思い出して。自分もこうだったと気付かせてくれるな、と感じました。
Q.感情面でも、色鮮やかな描写がたくさんありましたね。
鈴木:アマンダと母親・リジーの親子関係の捉え方についても、人それぞれ感じることがあるのかな、と思います。私はまだ試写で一回しか観ていないのですが、何回も観ることによって、リジーに深く共感する部分があったり、エミリに対して「あっ!」と思う部分があったり、観ていくにつれて、それぞれの人物の思いがより深く受け止められるなと感じたので、もう一回観たいです(笑)。
Q.「イマジナリ」の存在については、どういう風に感じていますか?
鈴木:小さい頃からドラマを観ることが好きで、台詞を紙に書いて覚えて、相手役がいなかったので、似顔絵を描いて壁に貼って話しかけるなど(笑)、やりとりしていました。今思い返してみると、その遊びが当時の自分にとって心を豊かにしてくれて、楽しませてくれたので、そういったものが「イマジナリ」の存在だったのかな。自分にとっての「イマジナリ」は日常を豊かにしてくれて、鮮やかにしてくれたと感じています。
Q.そういった小さい頃の経験は、今回ラジャーやリジーとのやり取りにも生かされましたか?
鈴木:アマンダがお母さんに素直に甘えたいけど、ぐっとこらえてしまうところだったり、いざ自分の気持ちを伝えようとすると感情が爆発してしまったりする部分は、自分も小さい時に経験したことがあるので、アマンダを見て自分の小さい頃を見ているような気分になりました。台本を読んだ時も、完成した映像を観た時も、自分と似ているなと思った部分が多かったです。
Q.共通点の多いキャラクターだったのですね。
鈴木:逆に「違うな」という部分を探す方が難しいくらい。好奇心旺盛なところや、楽しむ時は楽しむ、素直になりたいけど言葉がうまく出せずに感情が爆発してしまう。小さい頃に芸能界に飛び込んだ自分には、そういう瞬間もあったので、アマンダの葛藤にすごく共感できました。
Q.ラジャーとアマンダの関係がメインではありますが、アマンダと母・リジーとの関係という視点でも観られる作品です。2人の親子関係について、どのように捉えましたか?
鈴木:アマンダはすごく天真爛漫で素直なので、ラジャーとアマンダが冒険するシーンでは、アマンダが自分の気持ちを表に出せる瞬間でもあると思います。一方、お母さんのリジーはすごく忙しくて、アマンダの中で甘えたい感情があっても、不器用な部分が出てしまったり、構ってほしいがゆえに冷たく接してみたり。そういった親子関係については、友達の意見を聞いていて、そういう瞬間はみんなあるような気がして。例えば親子でこの作品を観た時に、親が感じる視点と、小さい子が思うそのままの感情がマッチしている部分があるような気がします。
Q.本作を通して、想像力の大切さを感じた部分はありますか?
鈴木:このお仕事をするうえで、一番重要なのは想像力だと思います。役と向き合ううえでの想像だったり、映画を観ていて「もし自分がこの役だったら」と想像したり。音楽を聴くことが好きなのですが、聴いた時に「この歌詞は本当は何を伝えたいんだろう?」と考えたり「この歌詞の意味って、具体的にはどういう意味なんだろう?」と常に考えたりしています。想像力の大切さは常に感じていますが、今回この映画を通して想像する楽しさも改めて思い出しました。
Q.ラジャー役の寺田心さんと共演されて、いかがでしたか?
鈴木:心くんとは、アフレコは別だったのですが、私が収録する時にはもうラジャーの声が入っていたので、私自身は一緒に演じている感覚でした。試写会で4年ぶりに会ったのですが、すごく大きくなっていて、成長していてびっくりしました。
一同:(笑)
鈴木:今までは、「梨央お姉ちゃん!」と呼ばれていたのに「梨央先輩!」と敬語でびっくりしました。心くんのラジャーは声の奥に優しさが感じられて。そんな心くんの表現が好きですし、ラジャーそのものですごく素敵だと感じました。
Q.寺田さんのシーンで「このシーンよかった、印象的だった」というシーンについて教えてください。
鈴木:アマンダが自暴自棄になって、自分の感情を押し殺して落書きしている時に、ラジャーに八つ当たりしてしまう場面があって。その時ラジャーも反抗してアマンダに対して思いをぶつけるのですが、ラジャーの奥底に眠っている優しさみたいなものが、すごくあふれ出ている場面だな、と感じて。相手を思って言っている言葉や言い方に愛情が感じられて「やっぱりラジャー好きだな」と思いました。
Q.『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』や『どろろ』など、声優としても活躍されています。アニメのアフレコに関しては、どういった心構えで臨んでいますか?
鈴木:アニメ作品は、キャラクターの仕草や動きの映像を目で見て、自分がその子の動きや感情にのっかるように、色づけしていく感じです。アニメ作品の世界観をこわなさいようにキャラクターと一心同体になれるように意識して収録しました。
Q.実際に演じている時の感覚、声の表現として違ってくるのでしょうか?
鈴木:今回のアマンダだったら、表情の動きであったり、仕草だったり、目の動き一つで台詞の言い回しが変わったりとか、その子に寄り添っていくということを第一に考えました。演じた役と自分自身の年齢が違うからこそ、勉強になった部分もあるので、そこはすごく印象に残っています。
Q.収録中、苦労した部分について教えてください。
鈴木:誰かと会話して、掛け合いで感情が生まれる場面よりも、アマンダ一人の場面で、自分の中からふつふつと感情が湧き上がっていく、気持ちが膨らんでいく場面の方が難しいな、と感じました。
Q.完成した作品を観て、お気に入りのシーンについて教えてください。
鈴木:ラジャーが、新しい「イマジナリ」の友達と出会う場面が一番印象に残っていて。その場面で現れた新しいキャラクターの子たちだったり、いろんな声や色みだったり、そういうものがキラキラしたハーモニーのように聞こえて、すごく印象に残りました。ぜひ注目していただきたいです。
ヘアメイク:河西幸司(Upper Crust)
スタイリスト:野田さやか(Bipost)
Q.ワクワクする場面もたくさんありますが、ご自身は普段何をしている時にワクワクしますか?
鈴木:音楽が大好きで、寝る前などにお部屋の中でよく音楽を流しています。明るめの曲や落ち着く曲を流すだけでも、気分が上がるというか、ワクワクするひとときです。いろいろな方の曲をたくさん聴いて、友達とプレイリストを共有したり、逆に友達から勧められた曲を聴いたり。
Q.「イマジナリ」の町として、ヨーロッパの街並みのような美しい風景が登場し、冒険をしている気分が味わえます。鈴木さんご自身がこれまでに目にした、美しい風景について教えてください。
鈴木:イルミネーションが大好きで、クリスマスや冬の時期になると、遠出したくなります。あとは空の景色が大好きなので、お散歩をしている時にも空の景色を携帯電話のフィルム風のフィルターで撮影し、オシャレに加工することが多いです。
Q.もし「イマジナリ」の友達がいて、自由に過ごせるとしたら、一緒に何をしたいですか?
鈴木:羽根をつけて、晴れた空を一緒に飛んでみたい。空から見る景色がどんな感じかも気になるし、そういうのを楽しんでくれる「イマジナリ」の友達がほしいです。
Q.「大人の中に残る子ども時代の記憶」がテーマですが、ご自身は振り返ってみてどのような子ども時代を過ごしていましたか?
鈴木:割と気になったことは知るまで知り尽くすくらいの、好奇心旺盛な子だったのかな。芸能界に入る前は、人見知りで泣き虫で、もじもじしがちな面もあったのですが、自分の好きなことや趣味を見つけだしてきたらすごく夢中になるというか、今でも好奇心旺盛なところはあるので(笑)、小さい頃とあまり変わってないかも知れないです。
Q.子どもの頃の思い出で、印象に残っていることについて教えてください。
鈴木:4歳くらいの時に、夢なのか現実なのか分からないのですが、夜目が覚めた時に、何かが発光していて驚いた記憶があります。よく見えず人かどうかも分からなかったのですが、当時は不思議と『怖い』という感覚にならなかったんです。あれは「イマジナリ」だったのかな??(笑)
Q.「心揺さぶるファンタジー超大作」ですが、最近ご自身の身近で起きた、心揺さぶられるできごとについて教えてください。
鈴木:先日バラエティ番組に出演させていただいた時に、ずっと昔から好きだった方と一緒に歌える機会があったのがすごく嬉しくて。夢なんじゃないかと感動しました。
Q.「決して負けない母と娘と、見えない友だちの大冒険の物語」ですが、ご自身が「これだけは誰にも負けない!」と自信のあるものについて教えてください。
鈴木:人の名前を早く覚えられることです。名前を覚えたり、あだ名をつけたりが得意で。最初は人見知りしてしまう部分が多いので、学校などでも友達に最初にあだ名をつけて仲良くなっています。
Q.友達からは何と呼ばれていますか?
鈴木:「おりお」って呼ばれています。あだ名やニックネームに憧れていて、自分から「おりおって呼んでね」と言うとみんながツッコんでくれます。
Q.本作を観る方に向けて、おすすめポイントを教えてください。
鈴木:それぞれのキャラクターの純粋な思いが、皆さんに届いてくださったら嬉しいです。ラジャーの冒険を通してワクワクやドキドキ、切なさなどたくさんの感情をぜひ劇場で体感して下さい!
ありがとうございました。
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[プロフィール]
鈴木梨央
2005年2月10日生まれ。埼玉県出身。2012年、ドラマ「カエルの王女さま」(12)でデビュー。大河ドラマ「八重の桜」、ドラマ「Woman」(13)、連続テレビ小説「あさが来た」(15)などに出演。その他、CM・舞台・声優でも活躍の幅を広げている。主な出演作品に、『僕だけがいない街』(16)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)、スタジオポノック短編劇場『ちいさな英雄』(18)、『こどもしょくどう』(19)、『最高の人生の見つけ方』(19)、『おしりたんてい スフーレ島のひみつ』(21)。予告
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<ストーリー>
彼の名はラジャー。
世界の誰にも、その姿は見えない。
なぜなら、ラジャーは愛をなくした少女の想像の友だち―イマジナリ―。
しかし、イマジナリには運命があった。
人間に忘れられると、消えていく。
失意のラジャーがたどり着いたのは、かつて人間に忘れさられた想像たちが
身を寄せ合って暮らす「イマジナリの町」だった――。
映画概要
【屋根裏のラジャー】
2023年12月15日(金) 全国公開
声の出演:寺田心 鈴木梨央/安藤サクラ/仲里依紗 杉咲花 山田孝之/高畑淳子 寺尾聰/イッセー尾形
原作:A.F.ハロルド「The Imaginary」(「ぼくが消えないうちに」こだまともこ訳・ポプラ社刊)
監督:百瀬 義行
プロデューサー:西村義明
制作:スタジオポノック
製作:「屋根裏のラジャー」製作委員会
公式サイト:映画『屋根裏のラジャー』
公式X:@StudioPonoc
公式Instagram: @ponoc_jp
公式TikTok: @studioponoc
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